天才魔術師と鬼1
歌に関してのデータが欲しい
魔法は、もし使ったら確実に死人が出てしまうのでデータを取ることは叶わない
腕力の方しか試せないな
校庭の倉庫にある武器庫から剣を取り出し7年ぶりに剣を握る、りりの頭を撫でる
「えへへ」
校庭に再び出ると
元猫教師もといトラ耳教師の声が鳴り響く
「皆集まったな!はじめは、デュオのパートナーとの親睦をより深めるため、パートナーと戦ってもらう。はい!挨拶」
茜のパートナーは、いないのか
まぁ、俺が入って偶数になったんだから当たり前か
「空良。どこ見てるの」
千秋が俺の視線の先を確認するとジト目で俺のことを見てくる
「千代さんに言いつける」
「それだけは勘弁してくれ。飯が、虫になる」
りりにまで虫を食わせるわけない
「本当に幼女趣味だったのね」
「ちあき!でゅお!ぱーとなー。あいぼう!かっこいい!」
「この子、かわいい」
「そうだろう。うちのむす・・・召喚獣だからな」
千秋は、りりの頭を撫でる
「この子、倒さなきゃいけないの?絶対無理。ケガさせたくない」
「安心しろ、りりは強い。な?」
「りり!つよい!」
「かわいすぎる。で、でもそこまで言うんだったら」
「お前ら!準備はいいか?流れ弾だけには気をつけろよ!はじめ!」
始まりの合図が告げられると同時に、千秋との距離をとる
「一気に距離、詰められちまったら元も子もないな」
「それは、召喚獣がいる前の話。今は、この子もいて最強」
千秋は、地獄猫を召喚すると
同時に千秋は肩に地獄猫を乗せる
そして、一気に距離を詰めてくる
りりを持ち上げて、千秋の斬撃を躱し、後退すると地獄猫の炎を吐き出してきた
それを、ぶった切ると
煙が発生した
それに乗じて、地獄猫の射程外へと移動する
「歌ってくれ。りり」
「うん!《♪♪♪♬♪♪♬♪♬♪♪♪♬♪♪♪♬》」
体に力が湧いてくる
千代がいないのでりりをおいていくと危険だな
りりを抱えたまま距離を詰める
「喉、疲れたらちゃんとやめろよ。りり」
「うん!《♪♪♪♬♪♪♬♪♬♪♪♪♬♪♪♪♬》」
片手でりりを抱えているため、
片手のみで交戦するつもりだ
学校に、りりを一人にさせるわけにはいかない
千秋に接近し、力任せで攻撃するとわかっていたことだが躱されてしまう
その時、勢いをつけすぎて地面に突き刺さってしまった。
力が強すぎる。地面すらも豆腐のように感じられた
あ、抜けない・・・
剣なら・・・多分魔法を使っても大丈夫だろう
「《伝熱》」
剣の根本を通して、鉄を溶かし地面から引っこ抜くと
すると、一瞬のうちに剣が持ちての部分だけになってしまっていた
鉄が蒸発した
あ、あれぇ、比較的に魔法の威力も抑えたはずなのに
あ、りりの歌の影響!
魔力にも反応するのか
と我が子に感心していたら、タイムリミットが来た
「コホコホ。りり、つかれちゃった」
「ありがとうな。無理させて悪かった」
「だいじょうぶ。コホコホ」
りりの頭を撫でて、喉を触る
ひくひくしていて、熱をもっている
酷使させすぎた
回復魔法を使うと楽になったようで眠ってしまった
歌える時間は、安全なラインでは3分ってところか。
ウルトラ〇ンみたいだな
「俺の負けだ。千秋」
「まだ、空良と3回くらいしかやりあってないわよ?」
「ちょっと、俺の体力がなさ過ぎてな」
頭をぽりぽりさせながら笑う
「笑う余裕があるなら、まだ、戦えるでしょ?」
「本当に疲れたんだよ。すまんな」
当然。りりが歌ってる間も今も全然疲れていない
有能すぎるだろ
回復魔法に耐性が付いたら最悪だ
歌は使わせたくはない
これが最後だ
「一度、帰るぞ」
「うん」
千代には連絡入れとくか
りりが眠そうなのでおんぶをして帰る
抱っこより幾分ましだろうからな
*
おかしい、なぜ家に着かない
いつもなら、15分くらいで着くはずなのに
1時間はもうすでに歩いているが、いつになってもつく気配がない
いや、別に俺が体力がないというわけではない
ずっと、同じ道を歩いているような感覚がある
幻術か?いや、俺が気付かないはずがない
俺の背中で、りりはぐっすりと眠ってしまっている
前に人影らしき、ものを発見した
「こんにちは。小さな女王様」
「だれだ。」
索敵魔法に引っかからなかった。
よほどの手練れと思われる
「あなたは、我が鬼の女王の召喚主と見受けられる。あなたは、始末対象だ」
「お前、鬼か!!通りで魔力量がおかしいわけだ」
「あなたも、本当に人間か怪しいほどの魔力量だがな」
言語魔法を使って、意思疎通を図っているようだ
俺が気付かないとはな
「魔獣を倒したのもあなただな?」
「コンビニの?!」
「女王様の歌声が感知されたので、うちのペットでここら辺を嗅ぎまわっていたのだがよくもうちのペットを殺してくれたな」
ペット?魔獣が?
「行きますよ!」
鬼がまさしく、鬼の形相で迫ってくる
「《火竜》、こいつを塵にしろ」
魔方陣から出てくる2体の竜が、鬼に襲い掛かる
しかし、
「効いていない?!くっそ《ファイアメイデン》」
鬼を一瞬閉じ込めるできたがすぐ破壊され、鬼が俺にパンチを一発決める
すると俺の体は吹っ飛び一軒家をぶち壊す
ぎりぎりで防御魔法を展開していなければ確実に死んでいた
ってか、腕一本イカレた
「なかなか、やるようだな」
力任せのパンチ一発で、これって
マジ化け物だな、みんなが恐れるのもわかるわ
一歩一歩と鬼が近づいてくる
「おい、なぜお前は鬼を恐れない」
「は?めっちゃビビってるんですけど。調子に乗るなよ?」
「意味が分からない」
治癒魔法が間に合わない
体が動かない
「でもまぁ実験開始だ」
「その状態で何ができる」
「くっそ。《火りゅ》」
全く動かない体を、動かすことだけに集中して魔法を放つが魔法の発動に失敗し、ただの火の粉になる
当然、その火の粉は手で払われてしまう
「死に際にこんなことしかできないのですか。死ね」
鬼が手を振りかざす
「あるじをはなして!《♪♪♪♬♪♪♬♪♬♪♪♪♬♪♪♪♬》」
綺麗な歌声が誰もいない街道に響き渡る
歌声で体が治る
りりは、失敗した魔法が偶然当たってしまって起きてしまった
すまん。りり、歌は使わせないって決めたばっかなのに
「りり、来い!逃げるぞ!」
「うん!」
俺はりりに手を伸ばし、りりの手を掴みとり走る
「なぜ逃げるんです。女王様」
鬼が跳んで追いかけてくるのを俺らはがむしゃらになって逃げる
「あるじ。りりのことおいてって」
「なぜだ?」
「りりがいけば、あるじがたすかる」
「じゃあさ、歌ってくれないか?」
俺は立ち止まり、りりのことを見る
りりが最期の思い出と思って、歌ってくれる
「《♪♪♪♬♪♪♬♪♬♪♪♪♬♪♪♪♬》」
相変わらず、いい声をしている
わらって周りの建物のぶっ壊していく鬼を一瞬見る
「・・・俺は、りりに教えていなかったことがある」
俺はある5つの魔方陣を展開して、話す
「子供を守るのが親の仕事だ。親が守ってもらうわけには行けないんだよ。それと子供は!知らない人にはついて行っちゃ!いけないんだよ!!」
さらに、10つの魔方陣を展開する
魔方陣を増やして増やして、数が100を到達する
俺らがいきなり止まったことに驚いたのか
俺が走りながら仕掛けていた多重のトラップに鬼は引っかかってしまう
「《炎熱地獄》」
炎の槍が何本も、火竜の攻撃が全く効かなかった鬼に突き刺さった
そして、炎の斬撃が腕や足を切り落とし、火竜がその四肢を焼き尽くす
「炎が、冷たい・・・・・?」
燃やされてダルマになってしまった鬼が、震える
「お、お前の名を聞いておこう。」
「なんで、知らないやつに名前を言わなきゃいけないんだ」
鬼が名前を聞いてくるが、答える義務はない
こいつは危険だ
一瞬すら、油断してはいけない
「仕上げだ。塵になれ」
「クソガキがッ死ねぇ《夜桜》」
鬼が、最後の抵抗か。
・・・俺の作った魔法が使われている
黒い桜吹雪が俺らを襲う
「《炎兎》」
片手サイズの炎の兎を作り出し
黒い桜吹雪を燃やし尽くす
「いない?!」
ダルマだったはずの鬼がいなかった
協力者がいると思われる・・か
なぜ襲ってこなかった。
あいつはなぜ俺が作った魔法を?
「あるじ、ありがと。しらないひとについてかない」
「いい子だ」
帰るとするか
問題は、山積みだな




