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「で、柚は最近恋愛どうなの?」
4限目が終わった昼休み。丸山柚は同じクラスの親友、松木里佳と一緒に教室で弁当を食べていた。
「どうもこうも何もないよ」
「どうもこうもってあんた、女子高生なのよ?花の女子高生って言葉知ってる?」
知ってるー、って思いながらお気に入りおかずである、味付けゆで卵をパクリと口に入れる。
うん。美味い。
里佳は保育園からの仲で、とんとん拍子で高校も同じになった。だいたい思っていることは互いに分かるし、一緒にいて楽な存在。ちなみに家も近いし、部活も一緒である。
そんな里佳は、少しパーマのかかったショートの髪で、身長は柚より少し高い163センチ。肌は小麦色に近くて、スラッと細身の体型。瞳は綺麗なアーモンド型でキリッとした印象を持つブラウン。美人って言葉が似合う女の子だ。そしてもちろん彼氏がいる。
「別に今の生活で満足してるし、こうしたいとか、ああしたいとか何も思い浮かばないんだよねぇ」
「あんたほんと枯れてるわ」
「だよねぇ··」
「ほんとにマジで枯れてるからね」
里佳が呆れた顔をして言う。
そんなこと言われたって、ほんとにこれで何も不満ないんだけどなぁ。柚はそんなことを思って苦笑して返事をする。
「ほんとヤバいよね〜、、」
「柚は可愛いよ?肌が白くて綺麗なところなんてほんとに羨ましいんだから。もっと頑張んな。」
「···うん?」
いまいち反応の薄い柚の返事。
里佳は本当にもったいないと思っていた。本人がもう少しアンテナを張っていれば、けっこう周りに恋愛のきっかけやチャンスが転がっている状況だったからだ。
柚の肌は透き通るような白さを持っており、瞳は少し目尻が上がってツンとした表情を与えていた。身長は日本の平均である158センチ、髪はストレートの黒髪を後ろに1つ結びしていた。
活発というよりは、大人しめの印象で、ボーッとしていることも多い柚だったが、不思議と人を惹きつける雰囲気があった。
まぁ本人は全然気づいてはいないが··。
里佳は食べ終わったお弁当を片付けながら、柚を見る。
「ごめんけど、ちょっと彼氏のところ行ってくるね。」
「あれ?もしかして彼氏と約束してた?」
「うん。ちょっとね。すく戻るから。」
里佳は少し照れた表情で返事をした。お弁当を片付け終わると、パタパタと教室を出ていく。ゆっくりしてきていいよー、と柚も返事をして箸を持ったまま見送る。
いつも食べ終わるのが遅いのに、今日はやけに早いなぁと思ったんだよねぇ。照れるってことは、里佳って本当に彼氏のこと好きなんだ…。里佳って恋してるんだなぁ。
恋ねぇ···。
うん。わからん。ほんとわからん。
考えるだけで疲れてくる。わたしってほんと枯れてるわ。里佳が言ってること間違いないわ。
そう思いながら、柚はまだ食べ終わっていない弁当をもぐもぐと食べるのであった。