忘れるもの
新しい物が部屋にある
なんとなく落ち着かない一日
説明書を片手に操作して
何か良いねと呟いたが
一ヶ月も経てば
当たり前になる
余程、居心地が悪くなければ
そうなるのだ
多少の悪さがあったとしても
新しい考え方に
違和感が出るのは
普通の事で
使ってみて楽なら
文句は少ないのだ
使ってみて何も無いのなら
前の方が良かったと
言い切れる理由になる
新しい考え方に問題があると
言い切れる理由になるのだ
人間はわがままだからさ
用の無い物は深く考えずに
捨ててしまうのだ
だからさ
気づいたら復活していたり
名前を変えて
存在していたりするのだ
人間が同じところを
回っているように見えるのは
古さを知らないからだ
樹齢の長い木を見に行くのも
見たという新しい記憶を
求めているに過ぎない
寿命が短いくせに頭が良いと
そうなってしまうのかもしれない
それすらも
科学技術で何とかするのか
記憶を忘れないだけでも
時間軸の長い会話になる
今度は新しい物が
生み出せなくなるだろうか
きっと、出来るだろう
忘れないということは
それほど大きいのだ