いじめ開始(下)
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暗闇の中を目線が彷徨う。昼間あれだけ寝たのだから当然ながら布団に入ったところで直ぐには眠れない。さっきから何回も寝返りを打っている。
気が付いたら父が帰ってきていた。それからはいつも通りに時間がしっかりと流れていった。
いつも通り夕飯を食べてお風呂に入り、学校で流行のお笑い番組とドラマを観て、父に
「宿題はおわったのか?」
と聞かれて
「うん」
といつも通りに気の抜けた返事をして、十二時にベッドに入って今に至る。
眠るのをあきらめて起き上がり、小窓のカーテンを開ける。
空には程よい光で満月が輝いている。太陽と似てるくせに太陽と違ってしっかりと直視することができる。
このまま朝が来なければ良いのに・・・そんなことを一人の人間が望んでも一億人の人間が望んでも冷たくも朝は訪れる。
カーテンを閉めて再びベットに潜る。頭の中から志保のことが離れない。
なぜ? どうして? どんなに疑問をぶつけたところで空想の中の志保はなにも言わない。
カーテンの隙間から朝日が射す。壁に掛かっている時計に目をやる、時間は七時十五分。
結局寝たのは三時頃だったのだがきっかりとこの時間に起きてしまった。
いつも通りにカーテンを開け伸びを一つするが気だるさは抜けない。睡眠時間が少ないからではなく、きっと精神的な部分から来てるのだろうと思う。 だるい体をいやいやながら持ち上げて居間に行くといつも通り父が朝ご飯の準備をしていた。
「おはよ」
いつもより更に低いトーンで言う。
「おう。おはよう」
いつも通りの朝の光景。でも、それも今のうち。一時間後には昨日とはなにもかもが違う今日が流れだす。
「今日はちゃんと半熟と固焼きは間違えてないぞ」
そう言っていつも通りのソーセージと目玉焼きが乗った皿を差し出した。「つか、間違えることが信じられないから」
そう言いながら橋を黄身に刺すと中から黄色い液体が流れ出て来た。
「わざとやってるの?」
「んじゃ、お父さん会社行くから戸締まりとか頼んだぞ」
「はーい」
いつもの様に血液型占いをみながら気のない返事を返す。
もうこんな占いなんか信じる気はないが、形だけ見ておく。
「あ、それと」
ケツポケットから財布を出して、そこから2000円程出して
「今日帰り遅くなりそうだから適当に食べておいてくれ」
そう言って食卓の上にお金を置いた。
「じゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
今日のO型はビルだった。
時計は八時を指している。学校に行くのが非常にだるい。まだパジャマを着たままだらけているのが何よりの証拠っある。
「ヒキコモリ」
そんな言葉が頭の中を右から左に流れ、胸に空いた穴を風がすり抜ける。
気が付けば立ち上がっていた。ひきこもりなんて絶対かんべんだ。
ほかの学校はどうなのだか知らないが、私的にはうち学校は登校拒否児が多いと思う、うちの学年はひとクラスに二人程はいる。
うちの学年は五クラスあるから、十人程度だ。理由はいじめが主だが、一年生の初めに少し来て来なくなった生徒もいる。恐らく小学校の時から不登校気味だったのだろう。 はっきり言って、私はその生徒達を嘲笑していた。
ひきこもったらいじめっ子に負けを認めたことになるし、親や親類にいじめられていたことを知られて恥ずかしくないのか?
そういうことを考えると絶対にひきこもりに、登校拒否児にはなりたくない。
結局家を出たのは八時二十分だった。丁度マンションを出た辺りで学校から予鈴の音が聞こえる時間だ。
いつも通りに階段を使って一階まで行って、オートロック式の扉からでる。
予想通りマンションを出た辺りで予鈴が聞こえたが今日は走る気にはとてもなれなかった。
ゆっくりと歩いて二年生の昇降口に向かう。
下駄箱に近くなる程 不安が大きくなる。もしや、上履きが無いかも…という不安があった。
が、下駄箱の前まできたら不安は飛んで行った。
上履きはいつもと同じ形でいつも通りにあった。念の為、上履きを逆さまにして画鋲が入っていないか確かめた。
さすがにそんなちんけな仕掛けはないか、と思わず鼻で笑ってしまった。
右足から靴を脱いで上履きを履き、続いて左足を上履きに突っ込む。
その瞬間体に電気が走った。
「っ……」
っと、言葉にならない低い呻き声をあげてすぐに左足を抜いた。
白い靴下の親指の部分がたちまち血で赤く染まる。
ぶっきらぼうに上履きを拾いあげる。上履きのつまさきの部分に待針が刺してあった。
痛いからではなく無性に泣きたくなった。
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