03
数分後、飲み物を取りに行っていたお兄様が戻ってきてさっきの出来事を話した。
「それでお前さっきから上機嫌だったんだな」
「だって今まで美しいとか言われたことなかったし」
それに私にとっては嬉しいことだ。
「グレイン家の息子に言いくるめられるなよ?」
お兄様はああは言ってるけど、どことなく少し嬉しそうだった。
「分かってるって!じゃあ、私そろそろバルコニーへ行くねっ!」
◇
「やあ、プリシラ待ってたよ」
「少し待ったせちゃった?」
「うんうん、僕もいま来たところだから大丈夫だよ」
赤いバラがたくさん咲くバルコニーで私はギルにお茶をご馳走になりギルはクロステーブルにカップとポットを置き乾燥させたバラの花びらを使用したローズティーを頂く。
それは、心身をリラックスさせるいい香りでとても美味しかった。
「お、美味しい!こんな紅茶生れて初めて!」
「喜んでもらえて良かったよ」
この後ギルと二人で些細な会話を楽しみあっという間に時間が過ぎていく。
「私そろそろ会場へ戻るわ」
「待ってプリシラ!」
ギルに手を掴まれ引き止められた。
「どうしたの?」
ゆっくりとギルに引き寄せられて。
「僕はどうやら君のことが好きになったみたいだ‥‥だから結婚前提で付き
合ってくれないか?」
これってまさかプロポーズ!?まだ、出会って間もないというのに。
私はここでお兄様の言葉を思い出しながら頭の中を整理させた。
「もうギルったらからかうのも顔だけにしてくれる?」
「いや、からかっていない。僕は本気だよ」
真っすぐに彼の視線がこちらを向いている。どうやら本気みたいね。
でも、悪役令嬢の自分がここで玉の輿に乗るのもありかしら?
妄想はどんどん膨らむ一方、突然身体に異変が起きる。
「な、に、こ、れ‥‥」
舌が痺れ上手く喋ることができない。徐々に視界も狭くなり足もふらつき
私は、崩れ落ちるように床に倒れゆっくりと瞼を閉じた。




