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久々に会った初恋の訳アリ幼馴染とワンナイトした  作者: テル


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第二話 出会いは突然に

『昨日飲みすぎたから今日は休肝日』

『同じく』


 夕方の自室、友人たちから送られてきたそんな返信に一樹は少し落ち込んでいた。


 酒に酔いたいと思ったので、友人二人を飲みに誘ったのだが、こうして断られてしまったのだ。

 一樹が飲みたいと思った時ほど、友人たちはそんな気分ではないことが多い。


 朝から落ち込んでいたのだが、さらに落ち込む結果である。

 というのも、昨日、後輩と恋バナしたからか、朝に元カノの夢を見てしまったのだ。


 それで過去の傷が抉られて、今日一日いい気分で過ごせなかった。

 

 友人と飲むのが楽しくて、悪い気分も全部流せるのだが、仕方がない。

 今日は一人で飲むしかないらしい。


 夕方だろうが関係ないと、一樹はリビングに行って冷蔵庫を開ける。


「……って、ないのか」


 しかし一樹が目にしたのはビールが入っていない冷蔵庫。

 ビール以外のお酒もないので、買いにいくしかないらしい。


 快楽に浸って、酒に酔って、ぐうたら過ごしたい気分の一樹。

 しかし、EDゆえに快楽には浸れないし、お酒もないので外出しなければならない。

 

 非常に面倒である。

 今日はとことんついていない。


 久々にストロング缶に手を出してもいいかもしれない。

 一人なのでそんなに飲まないだろうが、とにかく酔いたい。


 まだ大学生にも関わらず、そんな思考に陥っている自分が怖い。


 そう思いつつも、一樹は財布を手に取ると、アパートの一室から出ることにした。


 そして、準備を終えて、ドアを開けた瞬間である。


「……雨かよ」


 やはり今日はついていない。

 だからと言って酒を求める旅をやめるつもりはない。


 一樹は玄関の傘立てから傘を取ると、雨の中、コンビニへと向かいだした。

 

 最寄りのコンビニに着くと、一樹は真っ先にビールが陳列されたお酒コーナーの前まで行く。

 

 少し大きいコンビニだからかビールの種類は豊富だった。

 スト缶以外にも美味しそうなお酒は多くある。


 今日飲むもの以外にもストックを買っておいてもいいかもしれない。


 とはいえ、とりあえずはスト缶である。

 

 一樹はレモン味のスト缶でも取ろうと、手を伸ばす。

 すると、一樹の左から同じ方向に手が伸びてきて、一瞬、手が触れた。


「あっ……ご、ごめんなさい……」


 一樹は左を向く。

 すると、可愛いらしい容姿をした美少女とも言える人物が一樹の隣に立っていた。


 年齢はぱっと見同じくらい。


 急に降った雨の影響からか髪や服は少し濡れている。

 化粧は少し崩れていて、格好はラフである。

 というか、服が乱れていて、色っぽい。


 それでも、可愛さが残っているのだから美少女というのはずるい。

 

 しかし、一樹はこの美少女に見覚えを感じた。

 声にもどこか聞き覚えを感じた。


 とはいえ、こんな美少女と関わる機会なんて人生には一度も……。


『かぐや様』


 ふと、一樹は初恋の幼馴染のことを思い出す。

 ずっと一緒にいて当時はわからなかったが、彼女は男子からずっとそう呼ばれていた。


 彼女の名前は七瀬 美月(ななせ みつき)

 月という名前が入っていて、美少女と話題になっていたから、かぐや様。

 

「あの……どうかしました?」

「い、いえ、すみません。ぼーっとしてました」


 考え事をしながら、目の前の美少女を見ていたので、首を傾げられてしまう。

 一樹は顔をすぐに逸らして、ビール棚に視線を戻した。


 まさかあり得ない話だろう。

 美月が転校して以来一度も会っていないのだ。

 ここで再会するはずがない。


 それはそうと、名前は聞いてみたい。

 無論、下心から来る理由である。


 しかしED童貞にそんな勇気があるはずもなく、一樹はもう一度スト缶に手を伸ばそうとした。


 すると、彼女の方から話しかけてきて、一樹はその手を止める。


「あの……もしかして一樹くん……?」


 そして、彼女は一樹の名前を呼んだ。

 一樹は彼女の方を向く。


 今度は彼女が美月以外の女性に見えなかった。


「お、おう……美月、か?」

「そうだよ。久しぶり」


 美月は柔らかい笑みを浮かべる。

 その笑みは当時に何度も見た笑みとあまり変わっていなかった。


 変わっているといえば、前よりも可愛いことくらい。

 

 まさか数年見ないうちに美少女に変身しているとは思ってもいなかった。


「こ、こんなところで会うとは思わなかった」

「だね。地元から離れてるのに」

「……ていうかなんで気づいたんだ?」

「違うかもって思ったけど……なんとなく? 一樹だって気づいてくれたじゃん」

「まあ……な。お互い様だな」


 一樹が気付けたのは女子との関わりが絶望的に少ない人生を歩んできたからである。

 まともに絡んだ女子があまりいなかったので、数年経っても覚えていた。


 そんな一樹とは対照的に美月はモテそうな容姿をしている。

 男子とも多く絡んでいそうだ。


 しかしそんな彼女に顔を今でも覚えてもらっていたことが嬉しい。


 月日が経ったとはいえ、初恋の相手。

 一樹好みの美少女にもなっている彼女に、内心では胸をドキッとさせている。


「一樹は今、大学生?」

「ああ、一人暮らししながら近くの大学通ってる」

「……ふーん、そっか」

「美月は?」

「私も……そんな感じ。ここからは遠いけど女子大行ってる」


 お互いに大学生になって、二十歳にもなって、再会を果たしたということだ。

 

 懐かしい。


 話しているだけで当時を思い出す。


「一樹は今から何するの?」

「家に帰って飲もうかなって。そういう気分」

「誰かと飲むの?」

「いや、一人」

「……じゃあさ、私も一樹の家上がって飲んでいい?」


 美月のそんな急な提案に一樹は少し驚く。


 男子大学生と屋根の下に二人きりになることを承知の提案である。

 警戒心というものがないのだろうか。


 それともそういうことなのだろうか。


 いやでも、ED童貞である。

 喜ぶに喜べない。


 正直にEDのことを言うべきだろうか。

 しかし彼女が純粋に話したいだけの可能性もある。


 童貞なので美月の気持ちがわからない。


「一樹といっぱい話したいことあるし……だめ、かな?」


 とはいえ、どちらにせよ上目遣いでそう言う彼女の提案を断れるわけがなかった。


「わかった。ちょうど飲む相手がいなくて困ってたし、一緒に飲むか」

「……ありがと」


 美月はそう言って、また柔らかな笑みを見せた。

 

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