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おはよう!②

「なんだ、また床で寝てるのかルベール」


窓を開けた後、部屋の扉を開け起こしてくれたハリアーに

朝の挨拶をし顔を洗い終わるまでちょっと待てくれと

伝えると、「はいよ」と言いつつ部屋の中に

入ってきてからの一言だ。

ハリアーは僕と違ってまっとうな人間族であり

ショートの茶髪、茶色の瞳でやはりあどけなさの残る少年である。

結構人当たりの良い性格である。


まぁ見られて困る事は僕自身の本当の姿が一番で

それは魔法で隠してあるので、特には問題は無い。


「ああ、固めの寝床じゃないと、なんか寝付けないんだよ。」


そう決めておいた言い訳を言いつつ

僕はシャワールームに入り洗面台で顔を洗う。



この世界は、前世に生きていた世界と理が異なる

所謂『異世界』と言うものだろう。

なぜかわからないが、その前世の記憶が僕にはある。


科学を軸に発展した前世の世界と比べて

生活水準はやや低く感じる。

前世の知識で言うなら近代くらいの生活基準だろうか。

とりあえず上下水道があり風呂がありトイレが水洗なのがうれしい。


そしてこの世界には前世ではなかった『魔法』と言う理が生活を支えており

これがまた僕の異世界感に拍車をかけてくれる。


火・水・風・土・光・闇の元素魔法

神の奇跡を体現する神聖魔法

などなど、前世で言うファンタジー感あふれている。


元素魔法自体はこの世界の住人なら

強い弱い、得意不得意の差はあれど

基本的に誰でもすべての属性を使えるらしい。

僕自身も、ケルベロスの根源属性である

闇と火の属性を得意とし

さらに他の属性も最低限は使うことができる。

ちなみに髪の色は個々が持つ強い属性に引かれて髪色に現れる。

火が強ければ赤色に、闇が強ければ黒色に

髪は血余なりと言ったところか。


「火の魔法は破壊のほかに精神の高騰にもつらなる」

「闇の魔法は闇や影を操る他、精神の不安と安然の両面性を持つ」

「どかーんどかーん」



その『魔法』やこの世界の知識を学ぶため

僕はここ『グラスウェル国立中等学校セコイア校』に

数日前入学したのである。



この国の学校ンシステムは初等・中等・高等に分かれ

初等は、全国のほぼどこの村や町にも存在し

最低限の識字と計算を教えてくれる。

7歳から3年間教育を受けることとなり

そこそこの街や都市では学校の形態をとるが

地方の村では、教会や村の集会所などを

利用してでも教育が施されている。

国の律として、国民には初等教育までは受ける義務と

その地域の首長には初等教育を施す義務を課しているからだ。



中等部は初等部より高度な教育を求める者が

集う場所である。ある程度大きな都市にしか存在せず

入るにもそれなりの知識を備えているかと入学テストが行われる。

入学資格はテスト合格者で10歳以上

また義務の教育でないため、授業料も多少かかるのである。



高等学校は専門職訓練校的な意味合いが強い。

将来、騎士になりたい者は騎士学校。

より強力な魔法を使いたい者、魔法を探求したい者は魔法学校と言うように

専攻により学校が分かれることになる。



ちなみに僕は初等教育は受けていない。

ケルベロスの集落というか縄張りは

とある森の奥、それも人間から『魔獣の森』とか

呼ばれている人間にとっての危険地帯だ。

当然、学びの場もなければ教師も派遣されない。

それ以前に人間のルールが適用されるわけがない。


そこで10歳になった年に入学試験に挑戦し合格したのだ。

中等部の入学テスト1発で入学を決められたのは

前世の知識が残っていたことと

縄張りの中の1匹のばあちゃんケルベロスが

昔人間世界で暮らしたことがあり、

ばあちゃんから人間世界の常識を学べたからだ。

ちなみに『メタモルフォーゼ』の魔法も

ばあちゃんから教わったものだ。

ばあちゃんの話によると、何世代かに1匹は人間の世界に興味を持ち

縄張りを離れ人間の世界に飛び込むアホが生まれるそうだ。


「アホ呼ばわりに後悔無し!」「うむ我が道を行くのみ」「アホって言う方がアホなんだよ~」




「ハリアー、お待たせ~。飯いこうぜ。」


僕は顔を洗った後、制服のシャツとスラックスを着こみ

窓の外を眺めていた友人に声を掛けた。


「おう!朝飯なにかな?」


「とりあえず、肉があれば良いよ、肉!」(肉!)(おにくぅぅ)


僕の勢いのこもった即答にハリアーは一瞬うおっとのけ反ったが

ニヤリと笑いながら


「それは絶対だよな!」


と勢いよく返してきた。まぁ肉食のケルベロスはもとより

この年代の男子など、ほぼほぼ肉モンスターだ。


そう話しながら、廊下へと出て

まわりにちらほら見える同級生に「おはよう」と

挨拶をしながら寮の食堂へと向かった。







閲覧していただき、ありがとうございます。

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