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落とし穴を作ってみた

「そういば、アキラさんって何歳なんですか?」


「俺は、35歳、独身だ」


「そこは聞いてませんが。。。」


「彼女もいないってことですね」


「アツシ、それはいっちゃいけないのでは?」


「そうだぞ、アツシ、人にはいっていい事と、ダメな事がある。でも俺には問題なーし、だははは」


 アキラはだいぶ酔っぱらってきているようであった。


「アキラさんのギフトってなんだったんですか?」


「俺のギフトは、お前よりも面白味の無い普通のギフトさ」


「。。。。。」


「鍛冶師ってヤツ」


「凄いじゃないですか、結構羨ましいと思いますけど」


「そうか?レア度が低いぞ」


「レベルアップはできるんですよね?」


「まあな、鍛冶師の中では、ちゃんと序列があってな」


「どうなっているんでしょう?」


「上から順番に、神話級、伝説級、最上級、上級、中級、低級になっているが、神話級なんて、昔の昔にいたらしいが、まあ物語の世界だろうな、今までにそんな奴はいない。伝説級なら、今も世界中に何人かいる。まあ事実上、伝説級が最高レベルだな。俺は上級だ。武器屋に行くと、俺の武器を査定して、それなりの金額で買ってくれるよ。武器屋の値付けで俺たちのレベルが決まるってな感じかな。でも俺はさ、同じ場所に座って仕事してるより、仲間と探索に出るのが好きでな、俺も戦うし、仲間の武器の補修もするし、ってそういうのがいいんだよ」


「かっこいいですね」


 などと話しながら、夜は更けていった。

 

 -----☆

 

「じゃあな、アツシ、待ってるからな、来いよ」


「アキラさん、ありがとうござます。絶対に行きます」


 アツシは、アキラたちと別れて次の場所へ向かった。


 ラウェップから次の村であるニッキドまでは、だいぶ距離がある。2-3日の野宿が予想された。

 10歳の子供の1人での野宿は、なかなかスリリングである。

 夜盗、肉食動物、虫、環境の変化などへの対応が必要であった。

 しかし、アツシは夜露をしのげる程度のおもちゃの家を作る事ができた。

 更に土でかまどを作る事が出来た。かまどで火を起こし肉を調理した。

 そんな野宿を本人はそこそこ楽しんでいた。


 しかし夜中。

 ガサ、ガサ


 アツシは疲れて寝入っていた。


 おもちゃの家が揺さぶられている。

 グラグラ、グラグラ


 アツシは飛び起きると、その瞬間

 バキバキ、と家が壊された。


 何かがのしかかってきた。

『……なんだ?動物か?モンスター?魔物?分からないよ〜』


 そしてついに家が潰された。


 アツシは、なんとか家から這いずり出ると、熊が家を破壊していた。


 熊はアツシに気がつくと興奮して襲ってきた。


 アツシもびっくりして逃げたが、熊が追ってくる。


 だがアツシの脳裏に昔読んだマンガのイメージが思い浮かんだ。それは主人公が落とし穴を作り、動物をその穴に落としているという絵。


 すると、後ろでズドーンと音がした。


 自分は穴なんて掘ったつもりは無かったが、イメージしただけで瞬間に穴が空いた?様であった。


 穴は結構深い。


 熊の身長の2倍はあるだろうか。熊は登ってこれずにいた。


 まあ放って置けばいずれ出てこれるであろう、と思い、ちょっと早いがニッキドに向けて出発した。


 それにしても、急に土が無くなったのは、なぜだったんだろう?


 少し周りが明るくなってきたので、試しにもう一度やってみた。


『土に穴が空くイメージ』


 なるほど、本当に穴が空いた。


 土が別の空間にでも行ってしまった様であった。

(きっとどこかでは、急に土が出てきて困っているんだろう)


 などと考えながら歩いていると、だいぶ日が高くなってきていた。


 小さい店が1軒だけ見えてきた。


(街道に途中にこういう店があるのか。襲われないのかな?)とか考えつつも店に立ち寄った。


「いらっしゃいませ」


 30歳位の探索者風の女性が応対した。


「ここに書いてある、お茶と団子のセットを下さい」


 ・・・・


「はいお待ちどうさま」


「坊や、一人なの?」


「そうです。これでも一応探索者です」と冗談っぽく胸を張ってみせた。


「へー、まだ10歳くらいでしょ?凄いわね」


「そうです10歳ですが、この前初級2になりました」


「へー優秀ね」


「ありがとうございます」


「でもこの辺は、熊とかちょっとしたモンスターも出るから気をつけてね」


「はい、それでおねーさんも、探索者ですか?」


「あらやだ、おねーさんだなんて。もうおばちゃんよ。ふふ。そう、私も探索者よ。それで中で料理を作ってるのが私の旦那で、彼も探索者。二人とも上級1なの」


「へー凄いですね。それであれば、この辺のモンスター何て問題じゃ無いですね」


「この辺ならね。それできみはどこに行こうとしてるの?」


「僕は、ハーレを通ってから王都に向かうつもりです」


「そうなんだ。この街道は比較的安全だけど、ハーレから王都までは少し気をつけた方が良いわね」


「強い怪物がいるという事でしょうか?」


「そうね、たまにサラマンダークラスが出現するし、特殊な個体の出現例もあるわ」


「あなたのギフトは?」


「”遊ぶ”」です。


「へー、初めて聞いたわ。ユニークかしらね。どういうことが出来るの?」


「遊ぶものをつくったり、それで遊んだりするだけです。子供に人気がありますよ。それでユニークってなんですか?」


「ユニークっていうのは、この世界に一つだけのギフトっていう意味よ」


「そうなんですか?ギフトって何種類くらいあるものなんでしょうか?」


「さあ、私も正確にはしらないけど、うちの人なら知ってるかも。彼は王都の学院出身だし」


「あなた~。。。。」


「。。。。聞いてきたわ、ギフトは知られているだけで10,000種類くらいあるらしいわ。そのうちユニークは数百の様ね」


「10,000もあるんですか?」


「そうね。でも世界で20億人もいるから、平均したら、一つのギフトに20万人はいることになるけどね」


「そういうことですか」


「たいていは、農夫、木こり、漁師のような生活に係るものが多いけどね」


「旦那さんは、貴族の方なんですね?」


「そうよ、あなたもね?」


「僕は、追い出されたので、今は単なる探索者です」

「あの、僕はアツシ・マトバと言いますが、お名前を教えて頂いてもいいですか?」


「珍しい名前に改名したのね。私は、エイミル・サキアスで、夫がヴィエット・サキアスよ。私たちは、探索ついでに色々な街道で気ままに店を出してるの。それであなたの様な面白そうな探索者から色々な話を聞いて楽しんでるわ」


「探索も色々な楽しみ方があるんですね」


「そうだ、あなたにはこれをあげる」


「なんですか?この玉」


「私たちの場所が分かるマジックアイテムよ」


「ただし、特殊な地図が必要なの。それは道具屋さんとかで買ってね。少し高いけど」


「ありがとうございます。またお会いできるっていう事ですね。うれしいです」


「あなた可愛いからね」


「それじゃあ、僕は行きます。楽しかったです。また必ず会いに行きますね。ありがとうございました」


 ・・・・・


「あのマジックアイテムを渡すとは、お前にしちゃめずらしいな。何か感じたか?」


「そうね、あの子は、少し、いえ、かなり気になる子ね。それに”遊ぶ”なんてギフトは本当にユニークかも知れないしね。それであれば価値はあるわよ」


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