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850歳の猫

 次の日は、休息日であったので、アツシは王都の外へ出た。


「どういうのがいいかな?ネズミでは嫌われそうだし、猫とか犬かな?それとも鳥。。。。そうだな、飛んでいく方が早いし確実だよな。そうすると、どの鳥がいいだろう?」


「カラス、はと、鷹とか。。。」


「そう簡単に見つからないよなぁ~」


 ふらふら歩いていると、王都を流れるオルム川の河口のまで来てしまっていた。


 河口を10分も船で下れば、海に出る。

 すこし塩の臭いもしてきた。

 カモメが数羽いた。


「あれがいいかも」


 アツシは干し肉を取り出すと、手を上にあげてカモメを引き寄せた。

 カモメが近寄ってくる。


 シャ

「あれ?取られた」


 カモメが取る前に何者かに干し肉が取られた。

「なんだったんだ?」


 アツシは、もう一度干し肉を取り出すと、手を高く上げてカモメをおびき寄せた。


 シャ

「まただ」


 アツシが周りを見回すが、何もいない。


「そうか、誰か分からないが、僕の邪魔をする奴がいるんだな」


「おもちゃにしてやるぞ」

 するとアツシの影から猫の様な姿の物が出てきて、ぬいぐるみの様になっていた。


「なんだ、こいつ?」

「きみ何?元に戻すけど、逃げないでよ」

「解除」


「ゲホゲホグホ、お、お前何者にゃ」


「それはこっちのセリフだよ」

「君だろ?干し肉を奪っていったのは?なんで僕の干し肉を奪っていくんだ?」


「腹が減ってるからに決まっとろうが」


「そうかい。じゃあもう一個あるけど、食べるかい?」


「お前が食べて欲しいと出せば、食べてあげない事もないが。。。」


「なんだ、要らないってことね」


「いやー、食べるのだ。食べさせて欲しいのだ。お願いしますのだ」


「語尾は、”にゃ”じゃないの?」


「どっちでもいいのだ、早く食わせるのだ」


「はいはい」


 むしゃむしゃむしゃ


 ・・・・・・


「腹いっぱいなのにゃ」


「それで、君はなんなの?」


「わちきか?わちきは、白老という化け猫なのにゃ」


「化け猫か。そういうのもこの世界にはいるんだね。だけど、モンスターはしゃべれないんじゃないの?」


「あのなぁ、お前、何も知らんのか?わちきら魔物は、人語をしゃべる事ができるんにゃよ」

「魔物は、モンスターみたいな下等な生き物とは違うんにゃ」


「へーそうなのか?」


「それよりも、お前、さっきわちきの事を変な風にしたが、あれはなんじゃったん?」


「これかい?」

 白老は、風船になった。

 しかし、なんとなく苦しそうに見えたので、元にもどした。


「がほがほがほ、何すんじゃい、げほげほ」


「苦しかった?」


「死ぬかと思ったわい」


「ごめんよ、自分では風船になったことが無いから、その苦しさは知らなかったよ」

「僕のギフトは、対象をおもちゃにできる能力なんだよ」


「は?なんだその狂った能力は?そんなの齢850歳のわちきでも聞いたことないにゃ」


「850歳、そんなに生きてるの?そりゃ、化け猫だね」


「でも君あまり強くはないんだね?」

「は?お前、わちきがどれだけ強いか教えてやらにゃいかんにゃ?」


「いや、僕の能力は、レベルが高いモンスターには効かないんだけど、君には効いたから、君は弱いのかと思ったんだよ」


「そうなのか?わちきは、お前等人間がいうレベルだと、2500らしいぞ」


「へーそうなんだ」


「きさま、舐めとるな」


「だって僕の能力は、レベル400のアラクネにも効かなかったのに、2500に効くわけないでしょ。そんなウソは誰も信じないよ」


「まあええにゃ」


「そうだ、白老、ちょっと相談があるんだけど?」


「なんにゃいきなり、お前とは友達でもないぞ」


「食べる?」


「あ、サンキュー」

 むしゃむしゃ

「それで相談とはなんにゃ?」


「ちょっと、友達のところへ手紙を届けたいんだけど、持って行ってくれないかな?」


「なんでこの魔物界の超有名魔物である、わちきがそんな事せにゃいかんのじゃ」


「そうだよね。だから、誰かいないかな他に?」

「おるぞ、ちょうどよいのが」

「むにゃむにゃむなにゃ」

「にゃにゃん」

「にゃ」

「今来るにゃ」


 どどどどどど


 すると、数百匹の猫が一斉に集まってきた。


「うわ、凄い。なにこれ」


「適当な奴を選んで、依頼すればよいにゃ」


「へー白老、凄いんだね」


「そういうたにゃ」


「じゃあ、王都アカデミアに行ったことのある子はいるかな?」


「にゃー、にゃー」


 あちこちで手が上がった。


「じゃあ、君、場所は、ここね。それでこれがその人のハンカチ。すこしマナが感じられるかな?」


「白老、猫はマナを感じられるの?」


「ここにきている奴らは大丈夫にゃ」


「そうか。そしたら、君、この手紙を届けてくれる」

 アツシは、近くにいた三毛猫に頼んだ。


「にゃー」

 

 -----☆

 

 その夜、


「にゃーにゃー」


「ねこ?」


 がりがりがり

「なにかしら?」


 アイリスが、窓を開けた。


 ---がちゃり


 すると、一匹の猫が飛び込んできた。


「きゃ」


「にゃーにゃー」


「あれ?首輪に手紙?」


 アイリスは猫を撫でながら手紙をとった。


「なになに、えーと『アイリス、手紙届いたかな?こちらアツシです。今度の日曜日に、王都中央の噴水に10時に来れる?返事を下さい』」


「あれ?猫ちゃんをテイムできたのかな?」


「あなたと会話が出来ればいいんだけど。私ももっとレベル上げをしないと。アツシにどんどん離されるわ」

「猫ちゃん、返事を書くから、ちょっと待っててね」


 と言いながら、アイリスはひとしきり猫と遊ぶと、猫は疲れて寝てしまった。

 アイリスのところで朝まで休んだ猫は、その後手紙を持ってアツシのところへ向かった。

 

 -----☆

 

 翌朝


「にゃーにゃー」


 がりがりがり

「お、戻ってきた」

「ありがとうな。これ食べるか?」


 アツシは、猫に干し肉を与えた。


「アツシ、わちきにも、肉だ。ほれ」


「はいはい、これでいいかい?」


 むしゃむしゃむしゃ


「どれどれ、どんな返事だろう」


『アツシ、ちゃんと届いたわ。猫をテイムできるなんて、すごい能力ね。時間と場所は問題ないわ。それではまた』


「おーやった。できたよ。白老ありがとう。それと名前分からないけど、お前もありがとな」


 アツシは三毛猫を膝に乗せ撫でながら白老に話しかけた。


「それで白老は、いつまで僕のところにいるつもりなの?」


「そうさにゃ~わからんにゃ。お前は暇つぶしが出来そうだから、しばらくはいっしょにいてやるにゃ」


「そうだ、白老は、なにか特殊な能力は持ってるの?しゃべれる以外に」


「あのにゃ、しゃべるのは魔物ならみんな人語はしゃべる。特殊な能力ではにゃい」


「わちきの能力は秘密にゃ。そのうちわかるにゃ」


  -----☆ そして日曜日の10時、中央噴水前


「アツシー、まった?」


「いや、今来たところだよ」


「チャコルも元気そうだね」


「任せて。元気だけはあるの」


「だよね」


 三人は王都でも有名な甘い物の店に入った


 そこで食べられているものは、どこからどうみてもクレープにしか見えない。

 日本から誰かが持ち込んだんだろうとしか思えなかった。


「アイリス、この食べ物は、間違いなく、あれだよね」


「そうね、クレープね」


「何言ってんの、クレップよ、クレップ」


「そうだね、クレップ、クレップ、はは」


 アツシは、2人に自分のプランについて話をした。


「でもさ、アイリスは、以前は断ったのに、なんで今回は承諾してくれたの?」


「あれから色々考えたの。それで、こういうのもアリかなって思いなおしたのよ」


「そうだったのか。それでチャコルには、色々話さなきゃいけないと思うんだけど?」


「そうね、それでは、ここで話をするわけにはいかないわよね」


 3人は、川辺まで移動しアイリスからチャコルに話をした。


「えーー?うそうそうそうそ。そんな話、聞いたことない」


「そりゃそうだろにゃ。わちきもびっくりしたにゃ」


「わー、誰この人?」 チャコルが大声を上げた。


「もしかして、白老?」


「そうにゃ。わちきにゃ」


「ちょっと、アツシ、誰よ」


「850歳の化け猫だよ」


「わちき事なんかよりも、お前らの方がびっくりにゃ」


「やっぱり、お前には何かあると思っておったが、お前、神核種だったんだな」


「なんで、850歳の化け猫がここにいるのよ」


「なんだか、取りつかれちゃって、僕の影に潜んでいるみたいなんだよ」


「追い出せばいいじゃない」


「これ、小娘、わちきを追い出すといったか?」


「とーぜんでしょ、これは、私たちの問題なんですけどぉぉ」


「アツシよぉ、あの小娘がわちきをいじめるんにゃ、何とかしとーせ、たのむにゃ」


「まあ、アイリスも、化け猫の1匹や2匹で、そこまで騒ぐこともないよ」


「あのね、化け猫よ、ば・け・ね・こ。1匹でも問題よ」


「猫に戻れるの?」 チャコルが割って入ってきた。


「もちろんにゃ」


 デロン


「あ、白くてふわふわ。かわいいじゃない」


「。。。。まあ、猫になると、まあまあかわいいけど」


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