体力測定と魔獣
入学2日目、体力測定が始まった。全学年1,500名が一斉にする為、一年生は学科問わずに同時にすることになっている。
身長や体重、聴力などはそれぞれ別の校舎で効率化されているが、魔力調査や魔法精密度は特製の施設でやる必要がある為、三組ずつ詰め込んで行う。
その施設もかなり広い為、そこまで気にならない。飼い主のクラスは二組で、一組と戦闘科の生徒と重なった。
戦闘科での決闘騒ぎは西門時家次期当主の西門時照彦と、十年前に起きた四国防衛戦の時に敵の首領を単独で討伐した英雄仙洞成道の息子、仙洞左介が起こしたそう。
結果は西門時照彦が勝利したそう。予想通りだったな。まだ、実践経験がない時は魔力量で殆ど結果が決まるので、必然的な結末だ。ただ、この高校では実践経験を積ませるそうなので、今後のこの結果は変化していくだろう(解説:福山)。とのこと。
ちなみに、西門時こと擬きの魔力量についてはすぐわかる。
「次、西門時照彦!」
「はい」
「あれが噂の西門時家次期当主か……!」
「世界から注目されてるんだろ?」
「凄いな〜」
『説明しよう!』
「どうしたの白?」
『魔力量調査では、水晶玉みたいな装置に魔力を流し込む型がこの学校では導入されている!流し込まれた魔力の固有波長を記録して、全体を数値で表示するのだ!一般人は100、一般魔術師(第五級)は500が平均だ!』
「そうなんだね」
『中学校で習ったよ!』
「……忘れてたな」
擬きが水晶に触れると、周囲でどよめきが広がった。
『なんだなんだ?50万か?』
「西門時照彦、魔力量10万!」
テレビ的には駄目な予想してしまった。
「これ!既に第二級魔術師と同等の魔力量じゃないか!」
「凄えぇ!!」
周囲は騒いでいる状態で魔力量調査が続けられると、魔力量が1万の生徒もチラホラ見当たり、教師陣も「今年は豊作だ!」と、少し興奮気味だった。その殆どが魔術師の名家や大企業の令嬢だったことがなんとも言えない。
どうせ全員「当然だわ!」「やれやれ、困ったな」なんて言ってるんだろ。痛い奴らだ(偏見)
どうせ擬きのハーレム要因だろう、ケッ!一人、高校生では珍しい第三級魔術師がいた。魔術師界隈で言えばエリートだな。
注目の戦闘科が終わると、次は普通科の番になった。ここからは特に変わり映えなく、偶に魔力量が多い人もいるが、1000を超える生徒はいなかった。
飼い主は一瞬数値がバグって10万とか出たが、安定すると600が出た。これは擬きのせいだな。
教室に戻り、着替えるとそのまま解散になった。希望者は従魔の魔力量を測定してもいいらしいが、興味ないし、下手に魔力量が多かった場合に、従魔契約していないことが問題になってしまうのでパスになった。
まあ、例え弱い魔獣でも一万とかあったりするから、気にしすぎても意味ないけどね。
それと、赤坂とか言うモデルと飼い主の距離が昨日より近づいてた。それに伴い、周囲の目も嫉妬が強くなってた。励みたまえ男子諸君。
そう考えながらも、ファン獲得のためにダンスを始めた。
他クラスにも行き、ダンスをしていると飼い主がモデルを連れて帰ると言うので、最後に必殺上目遣いでキュン死させておいた。
ふ、罪なアイドルよ……あぶな!
また、モデルに喰われそうになった。もしかして、飼い主と付き合い始めたら命の危険か?
真実に気付きかけた鳥は、そっと飼い主の手の中で震えていた。
家に帰ると、真面目な飼い主は勉強するそうなので、おやつを貰った後は外に出掛けることにした。
既に夜になっていたが、風が涼しい。鳥目?ふっふっふ、私は特別なのだよ!気分は獲物を見つめるフクロウの気分だ!ナイトフライ!
フラフラ飛んでいると、魔術師が魔獣と戦闘している場所にたどり着いた。盾と剣を使うアタッカーと、魔法を使うサポーターの組み合わせ。アタッカーを主軸としたパーティーかな。
折角なので、近くの木に止まって観察開始!
お相手は目が6つあるキモ鹿!体長は人1.5人分だな!因みに日本人の平均身長(男性)。
アタッカーが木を上手く使いながら相手の攻撃を防いでいる。どうしても防げないものは盾で受け流したりして、消耗を軽減している。
サポーターは木で姿を隠しながら、動き回って注目されるのを避けている。
数十分は続けているから何か狙ってるのかな?そろそろ他の場所に行こうか迷っていると、キモ鹿が苛立ったのかサポーターを狙いに行った。
その瞬間、アタッカーの剣が稲妻を纏うと一瞬でキモ鹿の首を跳ねた。
二人組は鹿の前で何か話している。どっちが解体するか話してるな?確かに解体前に見たけど面倒くさそうだったもんーーービュンッ!
「……ピッ」
「逃げないね?」
「仕方ない、やるか」
どうやら、こちらについて話し合ってたみたい。
アイドル道を歩む私に傷を付けようとは!許さんぞー!我が珍魔法の一つを見せてやる!
「ピッピ!ピピピー!!(喰らえ!泥団子魔法!!)」
「なんか怒っt」「ベチャ!」
「騒いでるn」「ベチャ!」
ついでに二人組を泥塗れにして満足したので、サッサと逃げた。この魔法、魔力をより費やす事で、綺麗な団子と、汚物団子があるので綺麗な団子にしておいた。
アイドルは綺麗好きなのだ!
その後、ベテランの二人組の名前が『泥団子二兄弟』になったとかなってないとか。
家に辿り着くと、飼い主に窓を開けてもらいさっきの出来事を話した後、さっさと専用ハンモックベットで寝た。
夜更かしは美容の敵なのだ!
主人公擬きともう少し関わりが多くなるまで、日常回続きます。
急いで進まなければ……!!