鳥の恩返し
これから主人公とよく関わっていく人物たちの紹介です。
飼い主の元に戻ると、丁度、レクリエーションが始まっていた。窓から飼い主の肩に着陸した。
「お帰り、白。何か面白いモノでもあった?」
『擬きが誰かと決闘してたよ!』
「も、擬き?誰か分からないけど、入学早々に決闘なんて、血気盛んな人がいるんだね」
『最後まで観たかったけど、時間がないから戻ってきた。どうせ、擬きが勝つであろう』
「そっか」
あんまり興味なさそうな飼い主は、私を軽く撫でるとレクリエーションに戻った。内容はランダムのグループでのすごろく型自己紹介だ。
『チッ!最初は野郎どもか……』
「こら、失礼だよ」
一般人でのイケメン顔の野郎どもだ。興味ないので肩でスタンバイしてる。何度か触ろうとしてきたので、嘴で叩いてやったわ。飼い主は楽しそうに話していたので許してやろう。
すごろくが一周すると、次のグループが回ってきた。今度はモデルをしていると言う女子生徒がいた。他は男子2人、女子2人だ。
「改めて、赤坂玲香と言います。よろしくね〜!」
「俺は福山章都だ。宜しく」
「私は四元芽衣!よろ〜!」
「僕は波内白桃、宜しく。この子は白」
『よろ!』
他2人は声が小さくて分からなかった。取り敢えず、隙を見てお尻ふりふりダンスで有名人を籠絡してやろう。くくく、芸能界デビューまで遠くはないな!
すごろくがある程度進み、声が小さい奴の時に赤坂の前にやってきた。
「どうしたの?」
こっちに視線を向けてきたので作戦開始!
「ピッピッピッ〜、ピピピ〜」
「かわっ!!」
「……白、また媚び売ってる」
「あざといね」
ふふふ、赤坂は悶絶するように口を隠してこちらを凝視している。四元とか言う女子生徒もニコニコして見ている。ここで、あざとく上目遣いと首を傾げる動作を入れてやれば、グエ!!
「〜〜〜〜〜?!?!」
やり過ぎたのか、掠め取るように体を攫われるとガッツリホールドされた。気分は攫われの姫よ。あと、赤坂の突然の行動に驚いたのか、話していた少年以外の注目を集めた。
すまんな少年、アイドルは自然と視線を集めてしまうものでな。え、目の前に口がーーー
「「「え?」」」
「あ、あの〜赤坂さん?」
「っ?!ご、ごめんなさい!」
『ナイスだぜ飼い主!あと少しでおやつにされる所だったぜ!』
踊り食いをされるところだった。久しぶりに命の危険を感じたぜ。反省している赤坂だが、目だけは未だにこちらを見つめている。
「波内くんだっけ?」
「そうだよ?」
「この子ちょうだい?」
「ちょっと、無理かなぁ」
「お願い!一欠片だけでいいから!」
「『一欠片?!』」
このモデルもしかしてヤバいのでは?
しばらくして、冷静になった赤坂が申し訳なさそうに謝ってきた。なんでも、元々、小動物が好きで、偶に理性が外れるそうだ。それを聞いてから、このモデルへのファンサは辞めようと決意した。
折角のチャンスなので、私の写真を偶に送信することを条件に、波内に赤坂と連絡先を交換させた。
いや〜、飼い主に芸能人、しかもモデル女性の連絡先を交換させてあげるなんて!流石、ペット界隈のエリートだな!
「いつでもいいからこの子の写真送ってね?」
「いいよ。何枚か写真あるから後で送るね」
そのまま、レクリエーションは続き、なんだか周りの男子は飼い主に棘が少しあったが、本人は苦笑いしながらも楽しそうに過ごしていた。
赤坂と四元もついでにと、連絡先を交換する程仲良くなっていた。あの女子、なかなかやるな。
その後は、予定は無くゴリラが解散と言って初日は終わった。ただ、殆どの生徒はしばらく残っており、友人を作ろうとしていた。特に赤坂の周りには多くの男女問わず集まっていた。
飼い主は福山という名前のメガネと友達になっていた。アニメとかゲームの趣味があったらしい。その間、私はアイドルとしてお尻ふりふりダンスをしていた。何人かの女子生徒が堕ちた様子だが、再び赤坂に狙われた為、急いで逃げた。
彼奴の前では気をつけなければ。