主人公擬きのイベント観察
あれから数時間掛けて広大な校舎を案内された。半分以上は忘れたが、凄かった事だけは覚えている!
解散後、飼い主の両親と合流して家に帰宅した。波内家は共働きの家庭で、父親は魔術ギルドの職員をしている。食事の時には、飼い主にギルドで話題になっている事を、父親が話すのがいつもの流れである。
『うっひゃー!今日はサーモンだ!』
「よかったね」
私が食べていると、飼い主父が話し出した。
「そうそう、数年前に倒された第一級指定魔獣『BD』を倒したとされる存在の名前を決めたそうだ」
「え?ついに見つかったの?」
『BD』日本語で『黒い絶望』と呼ばれたアメリカに存在していた魔獣種竜型である。
五大厄災と呼ばれる存在の一種で、アメリカの一部の州を一瞬で消滅させる力を持つ、この世界における最強格の一体。アメリカはかつて討伐を試みたが、結果として甚大な被害が生じて、放置している黒でか魔獣だ。
それが数年前に倒されて世界を驚愕させていたらしい。その頃、飼い主とゲームして遊んでたわ。私たちがゲームでハントしているときに、どっかの誰かがリアルハントしてたみたい。
「いや、捜索から魔術師が倒した訳ではないと発表された」
「つまり、新しい第一級指定魔人が誕生したの?」
「そうだな、詳しいことはわかってないが、『unknown 』と呼ばれるらしいぞ」
「そうなんだ。せっかく、人類の脅威が減ったと思ったのに変わらないのか」
「まぁ、仕方ないさ。ところで白桃、入学式どうだった?」
「新しい友達出来たよ!」
「おお!良かったな。母さん!白桃新しい友達もう作ったらしいぞ!」
「そうな?いい滑り出しじゃない」
まだ、追加の料理を作っていた飼い主母は顔を覗かせて笑顔を見せていた。
家族団欒と私のサーモンが無くなる頃、飼い主が話しかけてきた。
「そういえば、白は僕の授業中は何するの?一緒に勉強する?」
『ん〜、気分次第!最初は一緒にいる予定』
「そっか。何か面白いものあったら教えてね?」
『Of Course !』
「白ちゃん可愛いから人気者になるわね」
『ナンバーワンアイドル目指します!』
「それなら白桃はボディーガードだな」
「あんまり強くないけどね?」
おどける様に飼い主が話すと皆んなは笑って、団欒時が暫く続いた。
翌日、飼い主と登校すると、道端に人が埋まっていたーーー
ーーーので、勿論、無視して張り出されたクラス分け表を見て、2組の教室に向かった。
クラスでは、入学式の時にいた友達一号もいた。飼い主が友達一号と話をしている間、お尻ふりふりダンスで女子生徒を誘惑して、アイドルの第一歩を踏み出そうとしていると、若くて美人な先生ーーーではなく、ゴリラ…じゃなかった、体育会の男子教員が入ってきた。
そのせいで、誘惑していた女子生徒たちもそれぞれの席に座って行った。
ゴリラの癖に我がアイドル道を邪魔するとは……。
『あのゴリラ、ゴリ子にしてやる!』
「何言ってるの……」
あのゴリラが名前を名乗ったが、ゴリラはゴリラだ。ゴリラで十分だろう。教員の自己紹介の後、生徒の自己紹介が始まった。やはり、顔面偏差値が高く、女子生徒の中にはこの世界でモデルをしている生徒もいた。有名らしく、男子生徒が歓声をあげていた。勿論、私も喜びの舞を捧げた。
順番が進むと、飼い主の番になった。特に面白くないので説明しないが、私の紹介の時にお尻ふりふりダンスを披露した。何人かの女子が黄色い声をあげたので、ファンクラブが出来るのは時間の問題だろう!有名なモデルもその中にいたので勝ち確だな。
登録した際にはサーモンとスイーツを捧げさせよう!
自己紹介が終わると、学校生活の説明だった。つまらなかったので、窓を開けてもらって校内探索に出掛けることにした。
「レクリエーションまでには戻ってね?」
『かしこま!』
そして私は飛び立った!目指すは空島!宝を手に入れてザックザクよ!
『アイキャンフライ!』
『そういえば、刺さってた人まだ居るのかな?』
そう思って、現場に急行すると、容疑者は既に立ち去った後だった……。
『流石に居ないか。それじゃあ、どこに行こうかな〜』
空路で蛇行運転(煽り運転じゃないよ)をしていると、入学式当日に活躍してた主人公擬きがいた。
『こちら白、ターゲットを捕捉。追跡します!over』
おうおう、主人公擬きは既に両手に華を作っていた。
『何処の主人公も女癖が悪いことよ』
暫く観察していると、少し離れていた男子生徒が主人公擬きに話しかけてた。少しすると、見ていた場所の生徒が騒ぎ始めた。なんだ?告白でもしたのかな?と思っていると、話しかけた男子生徒と主人公擬き……以降、擬きと呼ぼう。が、異世界あるあるの闘技場みたいな場所で向かい合った。
『これは展開早すぎでは?バトル系漫画かな?』
予想通り、両者が見え……るな。そこそこの速さで組み手を始めた。剣を使わないのかよ……。ま、いいか。中々膠着状態が続いていたが、進展がありそうな時にでかい時計塔を見ると、そろそろレクリエーションの時間に近付いていた。
見たい気持ちも強かったが、アイドル道を進むためにも我慢して飼い主の元へと戻った。そういえば、全然探索してないや。
「綺麗な鳥……」
「笹木さんどうしたの?」
「……なんでもない」
こんな感じで分類されてます。
〈魔獣階級〉
・第零級:世界の文明が終わる危機
・第一級:周辺諸国も滅亡する危機
・第二級:国が滅ぶ危機
・第三球:複数の町が滅ぶ危機
・第四級:一つの町が滅ぶ危機
・第五級:一般人に被害が出る危機
・第六級:一般人でも対処可能