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バードオブザーバー  作者: 山芋
日常回(1)
13/13

日常の一幕


「白はオレンジジュースでいい?」


『良き良き』


「果実本当好きだね、白ちゃん」


 入学してから早数ヶ月、夏休みが迫っている頃合いで、外から蝉の声が聞こえてくる。空を飛ぶにも日差しが暑くて殆ど夜に散歩している。それでも暑いが。


 そうそう、飼い主と赤坂は一週間前くらいに付き合い始めた。一応、飼い主の一大イベントだが、私が外をウロウロしている間に凄く進展していてビックリ。


 今も周りに結界(ラブラブ)を振り撒いて何人かの男子諸君は血眼になっていた。どんまい。


 後、主人公擬きは女子生徒二人と、時折他の男子や女子と一緒にイベントをしていた。因みに、ラッキースケベもありました………F◯ck!!


 俺すげ〜!!……みたいな感じだったので記憶に残ってないけど。まぁ、なんだかんだでこの飼い主との生活も楽しんでいます。このカップル、ここで乳繰り合うなよ?


 そんな肉食獣が飼い主を狙っている平和な食堂が、無粋な存在による警告音とともに崩された。


「警告、現在校内にてテロリスト及び、魔獣の出現が確認されました。魔獣の推定階級は第五級、第四級です。一般生徒は至急、付近の地下シェルターに避難を開始してください。繰り返します、一般生徒はーーー」


「ここからだと食堂の奥かな?」


「そうだね、早く行こうか」


 二人は慣れた様子で避難を開始した。それは、他の生徒にも言える事で驚く程()()とした様子で避難していた。


『皆んな平然としてるね』


()()()()()だからね。流石にテロリストには驚いたけど」


 つい前世と同じ基準にしていたが、自然災害の一つに魔獣が入っている世界だから当たり前と言えばそうかも。


 飼い主に着いていくと頑丈な扉が少し開かれた状態で続々と生徒が駆け込んでいた。入り口には先生らしき人が二人ほど警備として立っていた。この世界は先生になる為に魔術師として最低でも四級以上が義務付けられている。


 その分前世に比べて先生に対する拘束時間、仕事は少なく、給料もいいらしい。この世界でも人気な職業の一つになっている。


「入り口で止まらずに奥から詰めて入るように!」


「魔術が使える人は避難所内の上級生の指示に従って、結界装置への魔力提供を!」


 先生たちが声掛けしている横を通り中に入ると、中心に球体が置かれた台座がある広い空間に出た。バスケットコート二つはある。


 入り口で上級生らしき男性に地面に敷くブランケットを飼い主と赤坂は貰っていた。………私の分はないの?ペットは物扱いだから……か。あとで飼い主の分奪うか?


 待機する場所も決まり、二人と一匹である程度落ち着くと今回のテロリストが周囲で話題になっているのを聞いた。


「今回の魔獣はこのテロリストのせいかな?」


「可能性は高いよね。もしかしたら、魔獣が溢れるのを見越して同時に攻めてきた可能性もあるけどね」


『魔人の可能性もありけり?』


「魔人…ね……」


「魔獣と種族は同じだけど、敵対関係であるのは有名だから考えにくいね」


 この世界では、人間の魔術師としての階級と魔獣などの階級では力の差が存在する。簡単に言うと、魔術師3人に対して魔獣や魔人一体だ。


 目安なので一概には言えないが、人間が世界の支配層に君臨しているわけでは無いことはハッキリしている。


 魔人は飼い主の授業でしか聞いた事ないけど、数少ないけど敵対していない存在もいるらしく、人類が数、質に劣っている魔獣に対抗できている要因の一つに、一部の魔人との協力関係があるそう。


 日本は食文化が良いらしく、世界でも魔人の協力者が多いらしい。なので、魔人を見掛けても基本的に最初は会話が推奨されている。知性も人間同様にある上位種的な存在らしいので味方にするのは建設的だね!


 そのせいで魔人を崇拝する宗教や違法学者が世間を騒がせたりするけど。


 前に一度だけ見かけたけど、全員泥ダルマにしてやったわ!



 しばらく時間が経過したが、中は平穏そのものだ。避難も完了したのか、先生たちがドアを閉めようとしていた。


『…………』


「……白、今、何考えてる?」


 先程から二人の会話に混ざらず黙っていると、疑いの目をした飼い主が見てきた。


『外行ってくる!ほな、バイなら〜』


「あっ!ちょ!うげっ?!」


 掴もうとした失礼な飼い主を蹴飛ばして勢いよく閉じかけの扉の隙間を駆け抜けた。


『私は自由だ〜!!』


 

 鳥の事など気にせずに完全に施錠された扉を飼い主こと、白桃は疲れた顔で見ていた。


「白桃君?!白ちゃんが飛び出したよ!どうにかしないと?!」


 心配した赤坂が白桃にさりげなく腕を組み、ちょっと興奮した様子で畳み掛けるように話した。


「ハハッ、問題あるけど大丈夫だよ」


 ちょっと乾いた笑みを浮かべた白桃だが、その顔には面倒くさそうな様子しか浮かべていなかった。


「それは……どういう事?」


 更に白桃に山を押し付けながら不思議そうに、本当に不思議!という顔で問い返した。


 ただ、肝心のお相手は懐かしむように思い出に更けており、気付いてなかった。


「心配する必要はないよ。ただ、面倒ごとに首を突っ込まないか心配だけど……」


「?」


「まぁ、()()()()()()()()()()()()()()()



 白桃はもしもを考えて、巻き込まないで欲しいな、と心底願っていた。

 





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