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いない?

今朝も早くに学校に登校した。

それはすでに僕の当たり前になって

朝の幻想は現実になっていた。

いつものことに

いつもの行動。

教室に何気なく入っていく。

ガラガラ

・・・

あれ?

いつもとは違っていた。

「いない?」

いつもなら僕よりも早くに席にいる

遠藤さんがいなかった。

「?」

おかしいな?

そんな思いとともに時計に目を向ける。

「・・・」

時計の針はいつもの時間とさほど変わらない。

当たり前はあっけなく崩れた。

しかし、ここに突っ立てるのもなんだ・・・

疑問を感じながらも自分の席に歩いていく

もしかしたらこの日は僕の方が先についたのか・・・

そんなことを頭で考えて何気なく席につく

「・・・・」

わずかな音のみが存在する空間・・・

物思いに窓の向こう側を見た。

「早くこないかな・・・」

つい言葉になった自分の感情。

それにすこし驚く。

なんだかんだで彼女がいた空間が楽しかった

そんな自分の真実がなんとなく心をくすぐった。

・・・・

ざわざわ・・・

時間経ち人があふれていく。

その中に彼女はなかった。

「・・・」

その光景をなんだか物足りない感じで見ていると

「おはよ!!」

清水が元気よく声をかけてきた。

「ああ、おはよ・・・・」

その声に合わないすこしトーンの落ちた声で返す。

「なんだよ!いつもより暗くない?」

「そうか?」

「最近早く来てるみたいだから疲れたのかな?」

そんな風に冷やかしたように話す清水。

「う~ん、かもな・・・」

実のところは

遠藤さんがいなくて気になっている・・・

なんて言えない。

だから差支えのない感じで答える。

「そうかそうか~でも朝から暗いのは良くないぞ~」

トントン

と肩を叩く。

「そうだな」

清水の言葉に同意して心のスイッチを切り替えた。

遠藤さんは休みなのかもしれない。

人間である以上は体調がすぐれないこともあるだろう。

それに

言ってしまえば一方的に考えていたことであって

彼女が必ず朝にいるなんてことは言ってないのだ。

こんな日があっても当たり前・・・

だけど・・・

残念ではあった。

そんな思いの中

時間は進んでいきあっという間に朝のホームルームになった。

その時間も彼女の席は空いたまま

やはり欠席かと思いながら先生の話を聞いていた。

すると

「ん?遠藤!遠藤奏はどうした?」

・・・・

教室は静かになった。

「誰か遠藤のことわかるものはいるか?」

・・・・

誰も反応がない。

「・・・まぁいい。じゃ次は・・・」

先生は話を戻して次の話題を話す。

だが、先生のその言葉に僕は引っかかったままだった。

(欠席じゃないのか?)

頭の中で言葉が行き過ぎた時に

ガラガラ・・・・

先生の声だけが聞こえていた教室内

引き戸の無機質な音が響いた。

そしてそのあとにつづくように人影が扉から現れた

「おはよう・・・ございます・・・」

そこには彼女が顔に下に向けたまま教室内に入ってきた

その瞬間が目に映った。

それは僕だけではなくこの教室にいる全員の視線を奪っていて

彼女が歩いていく様子をクラスメイトは目で追う。

そしてそのまま彼女は席につく

ガタン

席につく音が鳴った。

そのあと

「おい、遠藤!遅刻だぞ!!」

「・・・はい・・・すいません・・・」

「どうして遅刻した?」

「寝坊しました・・・」

「うーん・・・まぁいい。あとで遅刻届を出しなさい。」

「はい・・・」

先生は遠藤さんが席につくや否や怒涛の質問攻めだった。

しかしそれに対して遠藤さんはそつなく答えていた。

その間、教室は無言でどことなく重い空気が漂った。

そんな中先生の出席確認はつづく

彼女に目を移す

そこには普段と変わりのない

平坦でどこか遠くを見ているよ・・う・・・な?

なんか違う?

今日はなんというか・・・

心持ち少し暗い気がする。

表情がどうとか雰囲気がどうとか

そういうのとはなんか違うけどほんの少し違和感を覚えた。

しかもそれはいい意味ではなく

彼女にとっては良くないことがあったのではないか?

そんな推測が働いた。

でも僕に知る由もない。

もやもやとした気持ちを抱えて今日の朝は始まった。


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