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青葉

教室替えが終わり

時間も少し進んだ。

教室内ではもうすでに勢力というのか

決まった人たちが決まったところに集まり

そして集団をなしている。

教室の中はあいかわらずの様子で

その中に僕はまたうまく溶け込んでいた。

ふと窓の外を見た。

外の景色は・・・

「変わったな・・・」

言葉が漏れてそのまま外の景色を見ていた

この教室の来たときはまだここから見える景色はピンク色

桜は舞い散り

その散りぎわを僕たちに見せつけるように

ゆらゆらと

そして柔らかに時間が流れていくことを教えてくれていた。

そう

この変わらない教室内では起こらない出来事が

この窓の外では起こっていた。

今は

「青葉・・・か・・・」

言葉が漏れ出て宙に舞った。

青々と茂る木の葉はもうそろそろ来るあろう初夏を思わせた。

今は春だというのに青い・・・

なんというか・・・

そう

きっとこれが青春というのだろうか?

でも

僕はそんな甘い気分を今抱いてない。

それにこの季節にそんなに甘酸っぱいことばかりだったら

人生疲れてしたかたないだろう。

ものの例えなのだろうけども・・・

人生の先輩方は何をこの季節に思ったのだろうか?

「ふー・・・・」

「おやおや、またため息ですか?佐伯先生?」

笑いながら声をかけてくれた

「清水、またか?」

「だってさ~先生はいつもため息吐いてますからね~」

「そうか?」

頭をひねり清水の顔を見た。

「ああ、結構高確率でため息吐いているぜ?」

「うーん・・・」

あまり実感がわかないが確かに清水には

毎回同じようにいじられている気がする・・・・

入学してから仲良くなったが

偶然2年時も同じになり

そのときもなんかいじられたな・・・・

「悩みの多い若人よ!!青春ですな!!!」

「じじいかお前は!!って・・・は!!!」

「?どうした?佐伯?」

「いや・・・なにも・・・」

どうやら僕はすでに青春しているらしい・・・

って言うても清水の観点の青春は・・・

「あやしいな・・・」

「?なんとなくだけど今なんか俺に失礼なことかんがえただろう?」

「いやいや」

「声がうわずってますよ!!先生!!」

そういうと清水のチョップが飛んできた。

それを

コン

特になにもせずに頭で受ける

「おいおい、こんな時は白刃取りだろ?」

「いや、白刃みたいに見えなかったから」

「このこの!!」

そういって続けて手を振り落としていた。

清水には・・・

うん

感謝している。

ある意味この学校という生活を僕の中に定着させているのは

きっと彼がいるからだ。

ヒエラルキーを安定させてくれてる。

彼自身が人懐こく

誰でも彼のことは好意的に受け入れている。

そのおかげで僕がこの学校で浮くことなく

このクラスでこのようにぼーっとしていても

孤高感はなくその姿が普通のようにいれる。

「わかった!わかったから!!ほらそろそろ時間だぞ!!」

彼のチョップを食らいながら言う

「うん・・・そうだな!!じゃ!またな!!」

言葉を残してその場を去っていた。

「まったくあいつは騒がしいな・・・」

そんなことを言いながら彼の背中を見ていた。

その時目の端に彼女が映る。

「・・・」

彼女はいつものようにどこを見ているかわからない感じで

教室の空を見ていた。

なんというか

彼女はここに来てからその姿を崩さない。

いつも一人でどこを見ているかわからない。

そんな彼女の雰囲気に教室のみんなは近づけないで

距離を保ち

そして

そのまま彼女は一人になった。

今では誰も彼女を気にとめることなく

彼女がそこにいてもまるで空気のように接している。

つまりは無視というやつだろう。

でも、みんな無視をしているわけではない。

彼女との接し方がわからないから仕方なく接しない

そんな選択をしているにすぎないのだ。

もちろんみんながみんなそのような良い感覚で彼女に感情を抱いてはない。

彼女のことを疎ましく思っている人もいる。

その理由はさまざまだが

単純に雰囲気がよめてないとかだ。

これは教室という特殊な状況が引き起こしたものなのか

日本という協調性を重んじる国民性が引き起こしたものなのか

それはよくわからない。

でもそんな視線を受けていても彼女はその姿勢を崩さない。

まるでそのようなことには全く興味がないような感じだ。

いやむしろ何にも興味がないようにすら感じる。

僕はそんな彼女がとても・・・

そうとても興味深いと感じた。

僕自身もどんな感覚を抱いているのかがわからないが

彼女のことが気になっていた。

あの日彼女と目が合い

そして・・・

笑った。

変化の乏しいこの空間

そして彼女の表情。

あの時一瞬だが変化があった。

僕はただ気まずかっただけなのに

彼女はその気まずさを察してか

またはただの気まぐれか・・・

だがあの時は確かに変化があったのだ。

そんな思いを胸に抱いて彼女の横顔を眺めてしまった。

「・・・」

ガラガラ

「!?」

ドアがスライドする音

そしてそのまま現実に戻される僕。

先生は教団に向かって歩いている。

その様子に顔をその方向に移す。

その刹那

ほんのすこしだけ彼女がこちらを見た。

そんな気がした。


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