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ある日

「ここは・・・」

キンコンカーコン・・・

先生の言葉をチャイムがかき消す

「ああ、今日はここまで!」

「起立、礼!」

ざわざわ・・・

ざわざわ・・・

授業が終わり先生の声しか響かない教室に

生徒の声がすこしずつあふれていく。

僕はその中終わった授業の教科書を片付けて

次の授業を確認する。

特になにかがあるわけではない時間。

この時間は誰かが話しかけてくることがあれば

そうでないときもある。

なんというか学校の落とし穴みたいなそんな時間。

僕も例に漏れずこのなんでもない時間を軽く持て余していた。

次の授業の準備をしたら特にやることは無くなり

なんとなく教室を見まわしていた。

そこには席を離れて友達のもとに行き話す人

トイレへと席を立つ人

机に突っ伏して顔をうずめる人

いろいろな人がいる。

その中

僕は一人の生徒に目を止めた。

「・・・・」

その生徒は確か・・・・

遠藤奏えんどうかなで

このクラスになってから知った女子で

特に誰とも話をしているところを見たことがない

一人で席に座り

周りには関心がないように遠くをみて

そして学校が終わると誰よりも早く席を立ち

この場所から消えていく・・・

「・・・・・」

その瞬間なぜだかわからないが彼女から目を離すことができなかった。

彼女のうつろ気な瞳は黒板を見ているようで

そうではない感じがした。

遠くを見ている・・・

いつも彼女は遠くを見ている・・・

目線は物体に向けられているが

見えているものはきっと違う。

そう感じるような彼女の目。

それが今

なぜかこの瞬間

妙に気になった。

前から感じていた。

彼女は同じなんじゃないかって・・・

何かこの状況に違和感を感じているんじゃないかって・・・

でも決定的に違うのは

彼女はこの状況すら見ることなく

自分の立ち位置なんて考えてもいない

そんな感じがした。

そんな感じがしたから余計に今日は彼女のことを見てしまった。

ス・・・

彼女の顔がふとこちら側に向いた。

「!?」

驚き顔を伏せてしまおうと思った。

しかし

それより先に目線がお互いにぶつかり

そのまま伏せることがなんだが気まずい感じになってしまった。

だがそれは僕の一方的な思いで

彼女はたぶんこちらが目を伏せても何も思うことなく

またそのまま前を向くだろう。

そうとはわかっていても何かしないといけない

そんな感覚が抜けることなく

何を思ったか彼女にむけて軽く微笑み会釈した。

(うわ!!何やってるんだ!!僕は!?)

普段ならしない選択がここにきて出てしまった。

恥ずかしくてすぐにでもこの場から離れたかった。

でも

その思いはすぐに変わった。

その様子をみた彼女は

僕がしたみたいににこりと笑い会釈を返してくれた。

「・・・・」

言葉は出ないがなんだろうか?

不思議だった。

そのあとすぐに彼女は顔を前に戻してまた黒板を見つめていた。

胸の中が・・・

心臓が・・・・

ドキドキとしている・・・・

明らかに鼓動は早くなって脈打つ。

僕にとってはそう

彼女の行動は予想外だった。

僕は思っていた。

きっと彼女は僕の顔をみてそのまま

また元の体制にもどり

何事もなかったように過ぎるものだと

そう思っていた・・・

でも

彼女は・・・・

ガタ

そのまま顔を机に伏せた。

なんだろう?

どうしたのだろう?

予想外の出来事に僕は顔を隠すことしかできなかった。

いつもは普段の出来事になんらかしらの疑問しか浮かばずに

覚めた目で見ていたこの教室。

そのなかで表情や心の動きなく

ぼーっとしていた・・・

いわば凪ぎの状態でいた僕なのに・・・・

ほんの少しの予想外にこんなに動揺するなんて・・・

かっこ悪い・・・


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