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誕生日・・・サイド亮

日は流れる

彼女と放課後を過ごして数日

僕たちの距離は前よりさらに近くなった

そんな風に僕は感じていた。

早朝の時間いつものようにあいさつをして

少しの談笑・・・

そんなことをやっているうちに人が増えてきて

二人はお互いに教室の景色に溶け込むように会話は終わり

世界は一度自分のもとに・・・

清水との悪ふざけ・・・

古典の授業・・・・

お昼のお弁当を食べた後のけだるい午後の数学・・・

授業が終わり騒がしくなる教室・・・・

そして二人の世界は再び交わる・・・・

「佐伯君?」

「うん、今行くね!」

今日は遠藤さんから声をかけてくれた。

少し前まではこんな場面があった瞬間に教室は大騒ぎだったが

今は・・・

「今日はどこいこう?」

「いやー。やっと終わった~」

・・・・

周りは各々に帰りの支度や放課後の予定をはなしている。

“あの”清水でさえ

「みなさんお疲れ様~でどこ行く?」

「いや、なんでお前も行く前提なん?」

「え!?ちがうの!?」

そういうと周りは笑いに包まれる。

「じゃ~さ~・・・・」

そういってちがうグループの話に入っていく

前はあんなに食いついてきたのに今はこのありさま。

(なんというか・・・・)

慣れとはすごいというか

僕たちが話していることはすでに日常になっていて

付き合ってるとかなんとか言っていたころのように

騒いだりしていない。

どんな形に見られているのかはわからないが

変に勘ぐられないのはいい。

「佐伯君??」

「ああ、ごめん、いこうか!」

「うん!」

彼女のもとへと向かった。

「どうしたの?ぼーっとして」

「いや、なんか変わったなって」

「?何が?」

「なんていうか・・・うーん・・・周りが?」

「周り・・・確かにそうかもね・・・」

彼女も周りを見渡す。

そして

「ちょっと前までは大騒ぎたった・・・かな?」

そういって軽く笑う。

周りが変わったように僕も変わった。

彼女と何気なく話していても

なんというか心がざわつくようになった。

それはけして嫌なざわつきではない

なだらかでありたまに飛び跳ねていくような

楽しい胸の高鳴り。

「どうしたの?なんか楽しそう?」

「うん、そうだね・・・楽しいかな?」

「そうか」

彼女もどこか楽しそうに返してくれた。

彼女も楽しそうにしてくれているのは本当にうれしい。

「じゃ、いこうか」

「うん」

彼女に声をかけて教室を出る。

放課後の学校は教室をでても

廊下から下駄箱まで人々の声は絶えることなく

校門を出ても人の波は続く

その中

「これからどうしようか?」

「そうだね~すこし食べてから街みてまわろうか?」

「うん、そうしようか」

彼女は基本僕が言うことに反対はしない。

いつも様子をうかがっていたけど彼女はどこにいっても楽しそうに僕の相手をしてくれる。

あるとき彼女は

「ごめんね、いつも任せて・・・」

と言っていたことがあった。

僕は

「べつにいいよ!だってあまりいつもいいところに行ってるわけじゃないし」

正直僕も本当にどこに行っていいかわからずに

街の中をあてもなく歩いたり

ファミレスやファストフードの店で話したりと

ノープランで動いていた。

「逆にごめんね、なんだかいつもぱっとしないところばかりで・・・」

自信なさげに答えると

「ぜんぜんだよ、いつもどこかに連れってくれて私はうれしいよ」

彼女の言葉にすこし高揚感を覚えながらも

「・・・うん・・・よかった・・・」

なんだか言葉がうまくでなかった。

けど「うれしい」という言葉は僕の中に響いた。

それから今日まで彼女と何気ないところを何気なく歩いていた。

・・・・・

「うーん、あれだね?放課後の食事は罪の味だね?」

彼女がニコニコと話す。

「そうだね、おいしさも倍増だね」

僕も笑顔で返した。

変わらず学校ではあまり表情を変えることはないが

放課後は前とは変わり表情をコロコロと変えることが多くなった。

その顔は本当に学校での彼女とはぜんぜん違う様子で

外であったら別人だと思うのではいかと感じるくらいだ。

すると

「あ」

と彼女が声をあげてすこし表情を落とす。

学校の制服をきた人

そして僕の背の方に隠れるように姿勢をずらす。

そのまま彼女は人が過ぎ去るのを待ちまた姿をだす

「ごめんね、佐伯君盾にしてる感じで・・・」

「いいよ、別に盾にされてるとも思ってないし!」

そういうと彼女は僕の顔を見上げて

「ありがとう」

といった。

彼女と朝に話すようになって数日

時間の流れとともにお互いのことを思いやるようになって

親しい仲になっていってるように僕は感じていた。

そしてきっと彼女もそうであったらいいなと勝手に思っていた。

ショーウィンドウに映る二人は・・・

周りはやはりカップルだとおもっているのだろうか?

それとも仲の良い学生?

見方はそれぞれでもきっといい方向には見られているのだろうとは思う。

それはどこか誇らしかった。

そんなことを考えていると

「ねぇ?佐伯君?」

「ん?」

「佐伯君って誕生日いつのなの?」

彼女はショーウィンドウに並ぶあれこれを見ながら僕に問いかけてきた。

「え?突然どうして?」

困惑する僕に

彼女はこちらには目をむけずに聞いてくる。

「なんかね?こうやってたくさんの物が並んでいるとね、みんなこういうの見て自分のほしい物はもちろんだけどその中には誰かのことを思ってみてる人もいるのかなって」

その彼女に

「たしかにそうかもね・・・誰かをおもって・・・でもどうしてそれで誕生日?」

「プレゼントってなんだか誕生日のイメージあってね」

彼女はそう言ってこちらをみた。

「たしかにそうかもね」

誕生日・・・

小学校の頃は楽しみで仕方なかった行事

でも今はそこまで気にしてなくて(今月誕生日だな~)程度にしか考えてなかった。

「それで佐伯君の誕生日は?」

彼女が聞いてくる。

「3月17日、生まれなんだ僕・・・しかもこの時期って春休みでしょ?ありがたみがいまいちね」

そういって笑った。

すると彼女は

「3月17日か・・・まだ先だね」

すこし残念そうに言う。

そのまま彼女は続けて

「もし佐伯君の誕生日が近くなら何かプレゼントでもって思ってたから・・・」

「え?」

「最近いつも佐伯君にいろいろなところに連れて行ってもらってるからその感謝も込めてなにかできないかなって思ってね」

彼女の突然の言葉に驚いてつい

「いやいや!そんな!!」

大きな声で反応してしまった。

彼女は少しびっくりして

「ごめん、突然なれなれしかったよね?」

申し訳なさそうに彼女がいうその姿に僕はあわてて

「違うんだ!いや、その・・・プレゼントをもらえるようなことをしてなかったからびっくりしちゃって、だからその嫌だとかそういうことじゃないから!」

と否定した。

その言葉を聞いた彼女は

「・・・そうか・・・よかった・・・」

少し安堵したようにつぶやく

「なんかごめん、驚かせたみたいで・・・」

彼女にそう告げると

「んん、逆に驚かせたから私が」

「いや・・・うん、お互い様ってことで」

彼女に告げて微笑む

「うん、そうだね」

彼女も納得したようだ

その中僕は

「遠藤さんは言ったけど僕もいろいろなところに行けて楽しかったって思ってるよ」

と言葉を返した。

すると

「・・・・・」

彼女は下を向いて無言になる。

微かに頬が赤い気がした。

「ずるいよ・・・・」

ぼそっと一言

聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で聞こえる。

「・・・・・」

どう答えたらいいのか・・・

一瞬無言の時間が二人の間を流れる。

「・・・・誕生日・・・・」

僕は言葉を出した。

「え?」

「遠藤さんの誕生日は・・・いつ?」

「私の?」

「うん」

・・・・・

彼女は少し間をとって

「5月21日・・・」

「5月21日か・・・早生まれだったんだね・・・僕とは約1年違うのか・・・」

5月21日彼女の誕生日を知れた。

でも

「5月か・・・それだと僕もプレゼント渡せないね・・・」

「僕”も”って佐伯君?」

彼女は不思議そうにこちらを見る。

「遠藤さんからだけだとなんか悪いしさ、さっきも言ったけど僕も何か感謝を伝えたいからさ」

そういうと彼女はどこか恥ずかしそうに

「そっか・・・佐伯君もか・・・・うん・・・」

そういうと下を向いた。

・・・・

「そういえば約1年・・・不思議だね・・・」

彼女に言った。

「不思議って・・・何が?」

「だってもし僕の誕生日が数か月違うだけで僕は遠藤さんに会えなかったかもしれなかったんだから・・・・」

そういうと

「それは私も同じだよ、佐伯君の誕生日がもう少し違ったら学年が違ったかもしれないんだから」

その言葉を言い終えると

「私の学校生活には誰かといることが楽しいとか学校の放課後が楽しいとか・・・」

そこで一息つくと

「本当にないって思ってたのあなたに会うまでは」

僕の方を見た彼女は

「だからね、あなたにあの朝声をかけてよかったって本当に思ってるんだ」

笑顔で彼女は答えた。

胸の中で温かく広がる何か・・・

それと同時に抑えられなくなる僕の想い・・・

「・・しめて・・・いい?」

「え?何?」

彼女に言葉にならない想いをぶつけるが

言葉にならずに疑問が返ってくる。

そして僕はもう一度言う

「抱きしめていい?」

「!?」

言葉が返ってくる前に僕の体は動いてしまった。

彼女の肩をそっとやさしく抱き寄せた。

「!?!?佐伯君!?!?」

言葉は驚きに満ちていたが彼女の体自体は固まったままで振りほどくような感じはない・・・

って!!

「ごめん!!!」

急いで彼女から距離を取る。

周りも少しざわつく

すると

「佐伯君!こっち!!」

彼女に手を引かれて人の少ないところへと連れていかれた。

(やばい!!どうしよう・・・あんなことするなんて僕は・・・なんてことを・・・)

僕の心の中はかなりパニックで自分の行動すらわからなくなるほどで

「ごめん、僕・・・本当にごめん!!」

とりあえず謝ることしかできなかった。

「佐伯君!佐伯君!!」

彼女は僕に声をかける

「本当にごめん・・・」

まだ謝り続けると

「亮君!もういいから!」

「!?」

彼女は僕の名前を呼ぶ

しかも苗字ではなく下の名前で

「あ、あの遠藤さん?」

「やっと落ち着いた?」

彼女は僕の顔を覗き込んで話しかける。

「大丈夫だよ、亮君」

優しく彼女は声をかけてくれる

「あの・・・・」

言葉が見つからないで「あの」を連呼する。

その僕の様子をみて彼女は

「大丈夫、びっくりはしたけどそんなに謝るようなことじゃないから・・・」

という

けどその言葉に僕は

「でも、突然僕は・・・」

あの行動が頭がよぎる

(ああ、なんてことを・・・)

すると

すっ・・・

僕を覆うように彼女が近づく

そして首元に彼女の腕が・・・

「え??」

温かいぬくもりと彼女の香りが目の前にあった

それに

「ほら、いっしょだよ?」

彼女はいう

「いっしょって・・・」

「私も亮のこと抱きしめてる」

その言葉に僕の胸はどきどきと脈打つ

「私はべつに嫌じゃなかったよ、亮は嫌?」

彼女の問いに

「嫌じゃ・・・ない、ただびっくりして・・・」

「ね?びっくりするでしょ?」

笑いながらすこし距離が空く

そして彼女の表情が見えた。

声だけでわかった彼女の笑いが表情も見えてきて安心が心に広がる。

しかも

(亮って・・・)

彼女が亮と呼んでくれていることに恥ずかしさがすこし出てきていた。

でも彼女は自然と呼んでくれてる。

そんなことを考えてると

「亮・・・君?」

彼女が声をかけてくれる

「え?何?」

「ごめんね、亮って呼び捨てにして・・・」

「全然いいよ!うん、全然大丈夫だから」

言葉が足りなくなってしまったが彼女の行動をなんとか肯定したかった。

その様子をみて

「うん、いつもの感じになってきたね」

すこしほっとしたように言う。

「でも大胆だったんだね?あんなに人がいるところで・・・」

すこしいたずらっぽくいう。

「いや、あれは・・・うん・・・あの・・・ごめん」

言葉がなかなか出てこない。

「ふふふ、ごめん。ちょっと意地悪したかったから・・・」

笑って言う。

「でも、恥ずかしかったからこれでおあいこかな?」

「う、うん・・・・」

彼女の言葉になにもいえなかった。

「ねぇ?」

「何?」

「今度から佐伯君のこと亮って呼んでいい?」

「・・・え?」

「やっぱりだめかな?」

残念そうにこちらに聞いてくる。

「そんな嫌とかじゃないけどどうして急に?」

「なんか・・・亮の方がしっくりきたんだよね」

「しっくり?」

「うん、なんだろう・・・すこし近く感じたっていうか・・・なんていったらいいのかな?でも亮の方がいいなって」

彼女が僕の名前を口にするたびに少しくすぐったい気持ちになったが

それはけして嫌なものでなく逆にうれしさがこころに広がる。

そして

「うん、遠藤さんの好きな呼び方で呼んでくれていいから!」

そういうと彼女は笑顔になり

「じゃ、亮も私のこと奏ってよんで?」

「え?僕も?」

「うん、私だけ名前で呼んでいるのも変でしょ?」

たしかになんか変な距離感は感じる

「うん、わかった僕も奏って呼ぶね」

「なんか一気に進んじゃったね」

「え?」

「んん、なんでもないよ」

彼女の言葉は本当は聞こえていた。

でもどうやって返事をしていいかわからなくて言葉を濁した。

僕は今日大きな一歩を無意識のうちに踏んだ。

くわしく言うと無意識ではない。

彼女に対する想いが募って動いてしまった僕がいた

でもそんな僕を受け止めてくれた彼女・・・

温かい気持ちが広いたそんな一日だった。


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