表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/26

寄り道・・・サイド亮

「・・・・」

緊張していた。

彼女からのお誘いをうけて出かけることになった・・・が

「「・・・・」」

いつもなら特に何も思わない沈黙も

なんだか埋めなければならない間のように感じる。

「ね?」

彼女の問いかけ

「え??」

過剰に驚いてしまう。

「ふふふ、どうしたの?」

「いや、何も・・・どうしたの?」

急いで平静を取り戻して彼女に聞き返す。

「どこにいこうかって・・・佐伯君はどこか行きたいところとかある?」

「行きたいところか・・・・」

こういう時はどうしたらいいのだろう?

(彼女にお任せ・・・・でも・・・)

優柔不断と思われないだろうか?

ここは男らしく決める方がいいだろうか?

(あぁ、こんなことなら普段から出かければよかった・・・)

インドアな性格を恨んだ。

「うーん・・・」

「・・・・」

彼女は悩む僕を見つめる。

(長くも考えてるわけにはいかないよな・・・・)

どっちにしても決断できないのは情けない。

こんな時はあれだろうか?

「ゲーセンとかカラオケとか・・・かな?」

自信なさげに彼女に伝えた。

「ゲーセンかカラオケかぁ・・・」

その言葉を聞いて彼女も少し考える。

(間違えたかな・・・)

僕の答えが間違えてないか不安を覚えた

しかし

「じゃ、カラオケにしようか?」

彼女は意外とあっさり答えを出した。

「カラオケ好きなの?」

彼女があまりに簡単に答えを出したので聞いてみた。

「うん・・・そうだね・・・歌うのは好きかな?」

そういうとはにかみながら言う。

そのまま彼女は続ける。

「佐伯君は好き?」

「え?あ!歌うの?」

「うん」

「そーだな・・・」

自分から言い出したことだが正直

(自信はないなぁ・・・・)

歌は好きだけど歌うのはどうなんだろう?

合唱とかは声がまぎれてるからそこまで気にしないが・・・

「歌うのは好きかな?うまくはないけど・・・・」

すこし尻つぼみに答えると

「私もうまくはないよ」

彼女はにこやかに話す。

(そうか・・・それならよかった・・・)

心でつぶやき

「そうか・・・でもどうしてカラオケに?」

「うーん、単純に歌が好きなのとあと・・・ゲームセンターって騒がしいでしょ?私はあまり人とか多いと苦手だから・・・」

「そうか、うん・・・じゃ、楽しもうか?カラオケ?」

「うん!」

そういうと最寄りのカラオケ店まで歩く

その間二人は何気に話をしながら道を歩いた。

(なんか自然だな・・・)

二人の間に流れる自然な空気感に心安堵してそれでいて

うれしい気持ちも心の隅に流れる。

友達とまったく出かけないわけではない。

でもその機会もまれで行っても人との距離を意識して

楽しむなんて心はなかった。

でも今は彼女と話して目的地に行くこと・・・それがたまらなくうれしかった。

別に普段が楽しくないわけではない

でも僕だって思春期の男の子

女子と話すのが嫌いなわけがない。

ただ恥ずかしさと周りの目が気になったそれがストレートに心にこないだけで

二人きりの今ならそんなことかんがえることもない。

そんな時間は一瞬で気が付いたらもうカラオケについていた。

「ついたね」

「うん」

二人は手短にはなして中へ入る。

店内ははやりの歌やアーティストコメントなんかが流れていて

外とは違う騒がしさがあった。

「いらっしゃいませ」

男性の店員が慣れたように接客を始めた。

そのまま

「会員アプリおもちですか?」

「会員アプリ?あー・・・」

カラオケに来ることなんてなかったので自分では持ってなかった。

「あの持っていないんですが・・・」

「それでしたらこちらのQRコードを・・・」

店員さんは優しく丁寧に教えてくれたのでスムーズに登録を終える

その間彼女は店の中をまじまじと見まわしてたまにこちらを気にして声をかけてきた。

「大丈夫?」

「うん、親切に教えてくれるから」

そんな会話をしながらの登録を終えてそのまま流れるようにカラオケの機種を選ぶことに

「うーん・・・」

いろいろあるが何がいいのかはよくわからない。

そんな困った状況に彼女に目配せするが彼女もわからないのか困ったように笑った。

「「・・・」」

二人ともに沈黙

その時

「こちらの機種が今開いてまして人気ですよ」

店員さんのナイスなフォローに

「じゃそれで」

と案内のままにその部屋を選択して

「ではこちらの部屋は・・・」

簡単に道順を聞いてそのまま歩き出した。

たったったった

足音に交じりながら最近はやりの曲が店内に流れている。

「ふー・・・」

緊張から息が漏れた

その時に

「どうしたの?」

彼女が僕に問いかけてくる。

その問いに対して僕は

「なんか・・・ちょっと緊張してきた・・・かな?」

照れながらも素直に彼女に気持ちを打ち明けると

「ふふふ、そうだよね?私も緊張してきたかも」

彼女もはにかみながら言った。

その仕草は普段学校では見ない顔・・・

いつもとは違うことになにか胸がどきどきしてしまう。

(こんなことでどきどきしてたら心臓が壊れるぞ)

自分に言い聞かせて

普通を装う・・・って何回も同じようなことをしてるんだろうか?

彼女の前だとどうもいつもどこかおかしい感じになる。

意識しすぎてるのか・・・・

そんな僕とは逆に彼女はいつも通りで

いや少し違うか。

彼女は僕の前だとよく話してくれる

それに笑顔も多い・・・気がする・・・

どっちも僕の勘違いでなければの話なんだけど

これで勘違いだったら・・・

そうきっとこれ

自分の感じていることが彼女も同じように感じているのか

それがきっと不安でわからなくてそんな思いがずっとあるから

彼女のことにたいして自信が何のだろう

そんな思いを巡らせていたら

「ここだね」

彼女の声が僕の耳に入った

「あ、うん・・・じゃ入ろうか」

少しぼんやりとしていたからまた現実の世界に意識を向ける。

目の前の扉に視線を移してそのまま

扉のノブに手をかけた。

ガチャ

扉をあけるとカラオケ独特の音が鳴り

二人で使うには十分な広さの部屋が目に入る。

「じゃ・・・わたしは奥に行こうかな」

そういって彼女は奥の方へと向かって椅子に座る。

その様子をみて僕は手前に座った。

「なんか来ちゃった感じだね?」

「そうだね・・・なんか来ちゃったね?」

「ふふふ」

彼女が笑う。

緊張はさらに高まる。

元々慣れてないのは大前提だがそれ以上に

この独特の空間が緊張を高める。

(あぁ、なんかすごい胸が・・・)

手を胸にあてるそして

鼓動を確かめるように静かに目を閉じた。

・・・・

(やっぱりそうだ、なんかいつもより鼓動が早い)

案外そんなことは冷静にできていて何となく自分に少し驚く

そんなことをしていると彼女はカラオケの準備を何気なくしている。

その途中こちらを見て

「佐伯君はい」

マイクをこちらに一本渡してれた。

「ありがとう」

そういって彼女の手から受け取る。

その時にほんの少し指が降れる。

そんな些細なことでも僕の鼓動はまた早くなる。

きっと彼女は何も感じることなく普通にカラオケの準備をしている。

こんな普通の高校男子のような感覚が自分自身にあるとは・・・

なんとも言えない感覚が自分の中に流れていると

「佐伯君?どうする?はじめに歌う?」

そういうとカラオケの端末を僕に差し出す。

その手を見ながら

「・・・ごめん、なんか緊張してて・・・」

そういって苦笑いをした。

その反応を見た彼女は

「そうだよね、緊張するよね」

と彼女も苦笑いを浮かべる。

そのまま彼女は

「私もね、なんか緊張しててつい佐伯君に先に歌ってもらおうって話ふっちゃった」

そんな風に笑う。

その柔らかな微笑みにやはり顔が熱く赤くなっていくのを感じる。

彼女はいつもクールで周りになんて流されないで・・・

そんな彼女がほほ笑んでいるのはまるで夢みたいで

それでいてとても“かわいい”

あのクールな表情からのその顔は正直ずるい

そんな思いが心を覆って中

彼女は僕の方を見ていたので意を決して

「うん!僕から歌うよ!」

勢いよく彼女に言う。

その勢いにすこしびっくりしたのか

「わ!?そんなに大きな声出さなくてもいいよ?」

笑って返してくれた。

そのまま彼女は

「ありがとう」

と感謝の言葉をくれた。

そして彼女から端末をもらうと何を歌おうかと検索する。

(なにを歌おうか・・・・)

考えはなかなかまとまらない。

こういうモノには本当にうといからどうしたものかと困りながらも

なんとか自分の知ってる曲を見つけてそれを入れた。

曲名が画面に出て彼女は拍手をしてくれる。

(あぁ、なんか緊張してきた・・・・)

心の中で焦る心をなんとか落ち着ける。

そして思い切って声を出した。

「♪~」

なんとかリズムにのり

それでいて音程を外さないように

注意を払いながら歌う。

(やばい、こんなに緊張するなんて・・・・)

歌いながらも歌には集中できずに彼女が変に思わないか

そのことで頭の中はいっぱいだった。

そしてそう思えば思うほど歌がぎこちなく感じた。

そんな思いを背負って歌っていたらなかなか時間が長く感じる。

それでも精一杯歌い終えると彼女が

バチバチバチ

と拍手してくれた。

その拍手に照れくさくて下を向きながら

「ありがとう」

と答えた。

その答えに彼女は

「佐伯君歌の時と普通の時の声なんか違うね?いつもよりなんか・・・甘い声?」

そういうと僕の方に視線を移す。

その視線を感じながらさらに恥ずかしくなり下を見ながら

「そうかな・・・」

となんとも歯切れ悪く答えた。

そんなこと答えにも彼女は笑顔を絶やさなかった。

そして

「次は私が歌うね」

そういうとマイクを手に彼女の選曲した曲が流れる。

その曲が流れたのと同時に顔をあげる。

そして彼女の声に耳を傾けた。

「~♪~♪」

彼女の声はリズムになりいつもとは違う声が室内に響く

(・・・・)

なんといったらいいのか・・・

僕の声を褒めてくれたがそんなのは比じゃないくらいにきれいで澄んだ声が響く。

リズムにのって聞こえる声に僕の心は簡単に奪われた。

何度だって彼女は僕の心を奪っていたけど今日この瞬間はもう違った。

僕自身の心を完全にとらえて首を振ることすら許されないほどに彼女が僕を染めた。

彼女が奏でるリズムに心は踊り

彼女の歌声は僕の琴線を優しくなでる。

彼女が歌い終わるまでの間その感動とは別に

僕の中では【無】な時間が流れていた。

たぶん、頭がオーバーヒートした・・・

そんな感じ。

どうやってこの感情を処理したらいいのかわからなかった。

そんな中彼女は歌い終わりマイクを置く

そして僕に向かって

「変じゃなかったかな?」

そう小首を傾げた。

その姿を見ながら僕をどう答えたらいいのか戸惑う。

そのわずかな間をおいて

「うん、よかった!」

力いっぱい答える。

本当はもっとたくさんのことを伝えたかったでも、

それを話すのはとても恥ずかしくて僕にはとても難しい。

だから僕はただよかったということを伝えたくて力を言葉にこめた。

たくさんのことを伝える代わりに一つのことをただ強く・・・

そんなことしかできない自分がなんだがとても情けない

その情けない僕の答えにも彼女は

「ありがとう」

と嬉しそうに答えてくれた。

「ありがとう」なのは僕の方だった。

こんなつたない僕の感想を案内笑顔で答えてくれて・・・・

(本当にまいったな・・・)

こんなに心をとらわれるなんて思ってなかった。

人にこんなに関心を持っていかれるなんて思ってなかった。

予想外のことが起きている僕の心は本当になんていいかわからない

うれしいようなくすぐったいような不思議な感じをこの日はずっと引きずっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ