帰り道・・・サイド奏
タッタッタッタ・・・
タッタッタッタ・・・
彼の足音と私の足音
心持ち同じようなリズムで鳴る。
「「・・・・」」
(なにか話した方がいいかな?)
無言で歩く間どうしたらいいか考える。
(そういえば佐伯君がこの時間にいるなんて・・・・なにかあったのかな?)
彼の方をちらっと見た。
彼は・・・?
(あれ?なんだか視線を感じるけど・・・?)
彼は真っすぐ前を見ているはずなのになんだかたまに・・・
すこし視線を気にしてみた。
すると
ちら・・・・ちら・・・・
彼は何度かに一度こちらを見ていた。
(??・・・・ふふふ・・・)
最初はわからなかったがきっと彼はこっちを気にかけているんだ。
(普段だとこういう行動はなんだか盗み見られているみたいで嫌いだけど・・・)
実際彼は盗み見ているのかもだけど
彼の場合はなんだか歩き回るリスみたい。
きっとおかしくないかとか何話そうかとか
いろんな事考えて挙動不審になってるだけ・・・
そんな風に考えるとなんだか頼りなくて
それにやっぱりなんだか胸がくすぐったい・・・
キョロ・・・キョロ・・・・
不規則にそしてほんの一瞬・・・・
「?どうしたの?」
私はまるで知らなかったように彼に話しかけた
すると
「い、いや!!!なんでも!!!」
慌てふためていているのがわかった
そんな彼はやはりかわいくてもう少しからかいたくて
「?そうなんだ・・・」
私はわざとらしく首を傾げた。
そんな私の行動に彼は声を裏返して顔を真っ赤にしていた。
からかいがいがある彼の行動に
(やっぱり・・・子猫よりリスみたい?小動物の方があっているかな?)
そんな思いを頭に浮かべていた。
横を見てみると
彼は下を見て歩いていていた。
その時
「気持ち悪いよな・・・」
ぼそっと一言小さな声でつぶやいた。
その言葉に私は
「ふふふ」
つい笑いが出てしまう。
「え?」
彼は私の笑いが意外だったのか少し間の抜けた声で反応する
それがまた私には新鮮でつい
「やっぱり君は面白いね」
言葉を抑えることはできなかった。
そして笑うことも。
「聞こえてた?」
「うん、聞こえてるよ?」
さっきのことを確認しながらもなんだか恥ずかしそうに話す。
「そう・・・だよね・・・横でごめん。」
「どうして?かわいいよ?」
「か!かわ!?」
彼は私の言葉に確実に動揺していた。
それに言葉を言いなおそうと必死になって
言う言葉を詰まらせる人なんて初めて見た。
「ふふふ」
私はまた笑ってしまった。
彼には悪いとは思ったがどうしてもこらえきれなかった。
「遠藤さんは・・・変わってるね?」
ふいに彼が話す。
「え?」
私はやってしまったと感じた。
「前に僕のこと変わってるって言ってたよね?」
「うん・・・そうだね・・・もしかして嫌だった?」
そうだ・・・そうだよね・・・普通こんなに笑われたら嫌な気分になるに決まってる。
(私は・・・私は・・・・)
後悔の念が私を押しつぶす
「違う!違うんだ!!」
そんな後悔の念が私を押しつぶし尽くす前に彼の声が聞こえた。
そして
「遠藤さんはそんな変わっている僕をその・・・・」
少しの間・・・
私には少し長く感じる
でも
「かわいいなんていうのはきっと遠藤さんだけだよ?だからね?」
そういって彼は顔をふせた。
「「・・・」」
なんだろう?
やっぱり・・・。
「・・・ごめん・・・変なこと言って・・・」
彼がいう
その言葉に
「そうじゃない!そうじゃないけど・・・なんだか・・・その・・・・」
私は急いで否定していた。
なんというか体が反応したような感じだった。
「なんだか、私・・・君の前だとなんだか・・・私・・・変みたい」
「!?」
彼は再び顔を伏せる。
(私は・・・私は・・・いったい何を・・・・)
自分の行動に驚いた。
思っていた変なのは私だって
自分が自分ではないようなそんな感覚が彼といると私を支配する。
(どうしたら・・・いいのかな?・・・)
わからない・・・
でも
その感情を悟られるのが恥ずかしいという気持ちがあって
私は普通という名の仮面を顔に張り付けた。
(・・・うん・・・とりあえず・・・今日はもう・・・・)
「佐伯君?」
私は彼に声をかけた。
「あ、どうしたの?」
彼は不意をつかれたように返事をする。
その彼に私は
「私、今日行くところあるからここで」
本当は行くところなんてないのに私は歩く方向と違う方に指を指す。
そんな私に彼は
「そうなんだ、ごめんね。忙しいときに」
(ごめんなんて言わなくてもいいのに)
だってこれは私が逃げるための口実
だから
「んん、楽しかったよ。またね。」
私からの精一杯の感謝の言葉
こんな私のひと時につきあってくれた感謝の言葉。
タッタッタ・・・
私の足音がやけに響いてた。
「またね」
なんて言ってしまったけどその機会はあるのだろうか?
彼はきっと今日やあの時みたいに彼は受け入れてくれるのだろう。
その彼の気持ちに甘えてもいいのだろうか?
(わからない・・・わからない・・・)
けど
今は今日余韻を大切にしよう。
だってここからは
(現実が待ってるから・・・)
気持ちに区切りをつけて
少しの遠回りをして帰路についた。




