関係の変化・・・サイド奏
朝・・・
いつも通りの朝・・・
日中と違いほんの少し肌寒い・・・
そんな朝・・・
きっと本当にいつも通り・・・
「違う・・・かな・・・少し・・・」
昨日の出来事
学校という限られた空間
狭い世界の中で人間関係の変化というのは格好の餌みたいなもの
誰がどうしたとか
誰かと誰かがつきあったとか・・・・
ただでさえ何かと面倒が詰まった日常なのに
それを一日の半分を過ごす空間・・・
なのに
(間違えた・・・距離感を・・・私は・・・)
きっと彼も迷惑なはずだ・・・
だって彼も静かな日々を望んでいた・・・
それなのに彼と関わったから・・・
奪ってしまったのだ彼の静寂を。
(でもあの時、本当に・・・心が・・・)
くすぐったくて笑いが止められなくて
そのまま出してしまったから・・・
ガラガラ・・・
タッタッタ・・・・
カタン・・・・・・
静かな教室に私が行動したことで起こる
そんな音だけが響いた。
座った椅子から見る風景は変わらない。
誰もいない静かな朝・・・
けれどきっと・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
ガラガラ・・・
教室のドアを開いた。
佐伯君が中に入ってくる。
「・・・・」
いつもはあるあいさつを私は今朝できなかった・・・
「・・・・」
タッタッタ・・・
静かな教室のなか彼の足音だけが響く
その音に耳を傾けながらも
私は目を合わせることなく遠くを見た。
それは以前の私・・・
誰もいない教室に私の居場所を作っていたあの時に・・・
そんなときにやってきた彼という存在・・・・
何となく挨拶して近くなった距離感・・・
「・・・・」
いやでもこれが本来の距離感。
タッタッタ・・・
教室内に響く足音
遠くなる・・・これでもとに戻るんだと思う・・・
きっと・・・・
「おはよ・・・・」
顔をさっと上げた。
そして声のほうに目を向けた。
「!?」
おどろき彼の顔を見た。
(どうして?)
あの朝私との関係で彼の静かな学校の暮らしを壊してしまった。
私はいい。
だってきっとこのまま教室で無言を貫けば終わる。
でも彼は程よくみんなとつながりそれでいてうまく立ち回っていた。
それはきっと彼と私の考えの違い・・・
それでも彼はああいったやり方で自分の居場所を作って
そして平穏を作っていたのだから・・・
(どうしようか・・・このまま無視をしたほうが・・・)
そんな思いが頭をよぎるが彼はまっすぐにこちらを見ている。
その彼に私は
「・・・おはよ・・・」
戸惑っていたが声を出した。
でも
わからなかった。
さっきと同じ考えが頭の中を回ってる。
「どうして?」
「え?」
小さな声に彼は反応する。
でもわかってないようだった。
だから
「どうして?」
次ははっきりと声にした。
「え?どうしてって・・・」
私の言葉に戸惑う。
わからなかった・・・
だから直接聞かないといけないって思っていた。
「昨日・・・あんなことあったのに・・・どうして?」
途切れ途切れ小さな声で聞く。
「あんなこと・・・まぁたしかに目立ったけど・・・それだけでしょ?」
彼はまるでたいしたことでないように話す。
でも
「私と・・・だよ?」
こんな暗くて周り壁を作って・・・何を考えているかわからない・・・
そんな女となにかと言われるなんて・・・
きっと気が休まらないし教室が彼にとって・・・
「なんというか・・・僕は気にならなかったけど・・・遠藤さんはいやだった?」
彼はいう
「いつも無口で陰気な私と変な噂とかになったら・・・嫌じゃないの?」
隠すこともせずにそのままを彼に聞いた。
そんな私の言葉に
「僕は遠藤さんのこと陰気だとかは思ってないよ?無口だとは思うけど」
笑いながら答えてくれた。
(なんで笑えるの?)
疑問は浮かんで心に残る。
けど
「君は・・・」
その疑問は薄れて
「本当に変わってるね・・・」
そういうと微笑んだ。
(あれ?)
気が付いたら顔がゆるんでいた。
(どうしてだろう?)
わからない・・・・わからないけど・・・
(きっとうれしい・・・そうなんだ・・・)
「でも変な噂?真実でないことがそのままなのは大変だから訂正しないとね」
彼は恥ずかしそうに言葉を出す。
その様子を見て私はまた微笑んで
「そうだね」
と短く答えた。
(なんだったのだろうか・・・さっきの私は・・・)
心の中でいろいろ考えていた私自身を笑った。
あまりに彼があっさりと私の予想を上回ってきて・・・
何事もなかったかのように壁を越えていった。
沈黙の間
彼は彼なりになにか考えていたのかもしれない。
それでも
「あんなこと・・・まぁたしかに目立ったけど・・・それだけでしょ?」
とか
「なんというか・・・僕は気にならなかったけど・・・遠藤さんはいやだった?」
ってその結果があの言葉たちに
そして短時間に詰まっていたのかもしれない。
ふと彼の顔を見た。
「佐伯君?なんかうれしそう?」
なんだか彼の顔がそう見えたから聞いてみた。
「うん・・・ちょっとね・・・」
やはりその表情はやはり嬉しそうで
「そうか・・・」
また短く答えた。
あまり言葉は必要ないように思えた。
だってもう結果は変わらない。
彼は別に何も思っていない。
私といるところを見られたからと言って彼の生活は変わらない。
彼の生活を変えることはないのだと知れて
気持ちが・・・
軽くなった。
良かったと心から思えた。
そしてほんのちょっと・・・
(んん、違うよ・・・・きっと・・・・)
何となく沸き上がった私の心に否定をして
静かな朝が終わっていくのを過ごした。




