5話 ほんの少しだけ変わった日常
「おはよう」
挨拶は返す、礼儀です。
…というか無視は人としてどうかと思う。
鳴瀬さんは学校の方へと足を進めていった。たかが挨拶、されど挨拶。隣人とのコミュニケーションは大事だからな。俺も学校へ向かうとしよう。
「よっ、周」
「おはよう、翠」
学校へ向かう。いつもとは少し違う日常だ。ただ、
「たまにはこういう変化も悪くない」
思わず口に出してから、失敗に気付く。マズい、と思ったが、時既に遅し。
「何かあったのか〜?」
ニヤニヤした顔で翠に迫られる。ウザい。
「何もない、こっちくんな」
「ひどい!?」
翠を押し退けながら高校へと進む。今日を乗り切れば休みだ、
テンションが上がってきた。
「今日は単語テストを行う。抜き打ちだから実力がはっきり分かるな」
…テンション下がってきた。
「いやー、まさか抜き打ちテストがあるなんてな。実在したのか抜き打ちテスト」
本当だよ。このご時世に抜き打ちなんてするもんじゃないぞ。
「ちなみに点数は?俺はギリギリセーフだけど」
「ギリギリアウトだ」
ちくしょう。十分な時間さえあれば…後の祭りだが。
まあ成績上位を狙っている人ならこたえたかもしれんが、俺は違うからな。
なんて言うんだっけこれ、合理化?
なんのために抜き打ちテストなんてあるんだ…