4話 変化
いつも通り日常を過ごし帰宅。
「・・・あの」
まさに部屋の鍵を開けようとしたとき、後ろから声をかけられた。
?・・・鳴瀬さん?
「どうしました?」
「敬語じゃなくて大丈夫です。同級生ですし」
そういうあんたは敬語だが、という思考を読み取ったのか、
「私が敬語なのは、普段から敬語で喋っているからなので・・・」
エスパーかよ。
「エスパーではありませんよ。目で訴えてきたから答えただけです」
エスパーじゃん。
「・・・話がそれてしまいましたね。朝のことで話が」
「朝のことなら気にしなくていいぞ。俺がいなくても誰かが助けに来てただろ」
たまたま止めたのが俺だったというだけだ。
「それでも、実際に止めてくださったのはあなたですから。
・・・ありがとうございました」
感謝されるほどじゃないがな。
「・・・どういたしまして」
素直に礼を受け取っておく。別に感謝されるのが嫌なわけではない。
「じゃ」
「それでは、さようなら」
お互いに挨拶をして部屋に戻る。この一件があったからと
いって、距離が縮まるわけではない。この話はこれで終わりだ。
終わるはずだったんだが。
「おはようございます」
・・・どうやらいつもと少し違う朝が来たみたいだ。