18話 放課後、お隣で。
「…おかえりなさい、秋くん」
「ただいま…いるかこれ?」
流れで言ったものの気恥ずかしさが勝つ。
挨拶は大事なことですよ、と諭された。その通りではあるので、頷くことしかできない。
「それじゃあ座って待っててください。いろいろ持ってくるので」
言われるがままに椅子に座り、あたりを見渡す。
前回入ったときはあまり見なかったからあれだが、すごい綺麗に整頓されてるな…
俺もそれなりに部屋は片づけているつもりだが、それにしても綺麗だ。
「お待たせしました、今朝焼いたクッキーです。お口に合うといいのですが…」
感心していると、ふわっと香る甘い香りとともに、蒼さんが戻ってきた。
「…これ、食べてイインデス?」
若干カタコトになってしまった。動揺なんてしてないが!?
「ふふっ、秋くんにあげるために作ったんですよ?」
お礼ですから、とテーブルに皿を置く蒼さん。
「い、いただきます…うまっ!?」
口に入れた瞬間広がる香りと、程よい甘さ。俺なんかじゃとても真似できないおいしさがそこにはあった。
「お口に合ったようで何よりです、そこまでおいしそうに食べられると嬉しいですね」
そのまま隣に座ってくる蒼さん。椅子がそこにしかないから仕方ないのだが、心臓に悪い。
「…改めまして。」
コホン、と一息つき、こちらを向いてくる。
「先日はありがとうございました。」
「いいって。困ったときはお互い様だろ?…俺もしょっちゅう助けられてるしな」
照れくさくてなかなか言えてなかった気がする。お世話になりっぱなしだし。
「秋くんは…」
何かを言いかけてやめる蒼さん。
「俺は?」
「…いえ、えっと…」
何かに葛藤している様子。どうしたんだろう。
小さく頷いている。まとまったみたいだ。
「秋くんは、好きな人とかいるんですか?」




