寝起きのアレコレ
やっと話の続きがつながりました。一種のスランプ。゜(゜´Д`゜)゜。
シャアルは今。何故かとても立派な馬にリーヴァイと、騎乗している。
あろうことか、これから王族が住まうお城へ向かうと言うのである。
この赤黒い艶々の巨体馬はブレスと呼ばれるリーヴァイの愛馬である。小物野獣等は前脚で、後脚で大物野獣を仕留める威力を持つ、特別な馬?
シャアルは、大事なフードはきちんと奥深くまで被り、顔はしっかり隠している。馬から落ちない様に、逃げ出さない様にキツくキツくリーヴァイに抱き締められている状態だ。
シャアルの朝は、目覚めた時から衝撃的だった。
目を開けると、ブルーの色彩一色だったからだ。意識がハッキリすると、美形で精悍な顔がドアップで現れたので、大声で叫び出しそうになった程驚いたのだ。
ブルーの色彩はリーヴァイの長めの髪。普段は後ろで無造作に結んでいる髪を解いていたので、大人の色気満載の顔との相乗効果で、大変な事になっていた。
それでなくても、シャアルは他人との関わりが殆ど無く育ってきている。おじいちゃんもなかなかに整った顔面の持ち主ではあったが、リーヴァイには王族による高貴さと自身に満ち溢れた脂の乗った大人の色気等、到底普通の街人や貴族には到達出来ないオーラを持っていた。
それを、寝起きの状況で目の当たりにしたシャアルは、すぐ様ベットから飛び出したい気持だったが、身体中をリーヴァイに絡め取られている状態では、身動きもできなくジタバタジタバタうごめくだけになっている。
リーヴァイは、実は起きていて。その状態を悪趣味に楽しんでいた。又は、幸せを噛みしめていたのかもしれない。
「あ、あの!リーヴァイさん。あの!リーヴァイさん!起きてもらえますか。あ、あの……リーヴァイさんリーヴァイさん。俺なんで……このベットやこの部屋って、俺のじゃない……リーヴァイさん。リーヴァイ」
「おはよう。シャアル」
「あっ!おはようございます。リーヴァイさん。あの……俺、状況がわからなくて……まずは、起きたいです。手と脚を離してもらえませんか……」
少し顔を赤らめて、シャアルは訴えた。
「そうだね。もう朝だね。起きないと駄目だね。そっか朝だもんね。起きようか。それにしても、お互いよく寝たね。凄く睡眠不足を解消できたよ。シャアルを抱き枕にすると私はよく熟睡できるみたいだ」
リーヴァイは、シャアルと目と目を合わせて極上の笑顔をニッコリ。シャアルは真っ赤になってしどろもどろで、何故かお礼を言っている。
「あ、ありがとうございます。熟睡できて嬉しいです……俺も、ね、眠れました」
「そっかシャアルも、私と寝ると熟睡できるんだね。一緒だね。それでは、これからも宜しくだね。ねっ」
「えっ?えっ、一緒って、あの……俺」
「シャアル、たちまちまずは王宮へ行かないか」
「お、王宮ですか?何故?王宮。俺、別に用事ないですよ。悪い事もしてないですし」
「昨日、シャアルの話を聞いて、魔法を使えるんだと思ったんだ。それもきっと風魔法ではないかと思ってね」
「風魔法……」
「医療や治療の知識で魔法使いの事も教わらなかったかな」
「知ってます。知ってはいますが、俺が魔法使い……」
「まあ、詳しくは城に居る専門家に話を聞いてみようと思ってね。私の知り合いに丁度専門家が居たからね。どうかな?まずは、自分の能力や知識を知るのは大切なことだと思うんだよ。そこから、又色々これからの事を考えて行くというのはどうかな?」
「お城ですか?俺こんな見た目で大丈夫かな?殺されたりしないですか?おじいちゃんが、地位が上がれば上がるほど差別が酷いって言ってました。自分自身におごりがある人間が多いって。俺、こんなんでも、生きたい……」
リーヴァイは、少しだけシャアルを緩めていた手を強め、ぎゅぎゅっと又抱き締めた。
「ヴッ……リーヴァイさん。苦しい」
「あっ!すまない。ついつい力み過ぎてしまったな。悪い。けどな、シャアルの不安な気持ちもわかるし、お爺さんの言ってる事も理解できるし嘘だとは言わないが、大丈夫だから。私がついている。
シャアルの立ち位置を確立してしまえば、能力や魅力のある者は自然と敬われるってものだ。中には馬鹿な奴らもいるには居るか、そんな者見なければいい。下でごちゃごちゃ言われても、気にしなければ良いんだよ。
まあ、細かな事は気にしなくて良いから私と一緒に気楽に遊ぶ気持ちで城に行ってみよう。なっ」
と、強引に押し切られたシャアルだった。