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大浴場にて

お腹いっぱいになったシャアルは部屋に戻ってベッドに横になった。



「美味しかったな。もう少しこの国に滞在して、此処でご飯食べようかな~ やっと安心して泊まれる宿も見つけられたし、他国へはいつでも行けるしね。急ぐ旅でもないし、しばらくこの地でゆっくりしようかなぁ。


 って、風呂に入りたいな。身体中少しベタベタする。確かランミーさんが、屋上に大浴場があるって言ってたな。この宿に泊まると、いつでも入って良いって言ってたよね。きっと、この時間なら、誰も居ないかな。お風呂入りたい……


 最後に入ったのは、山の湖に飛び込んだぐらいだもんね。綺麗な水で冷たくてサッパリしたけど……やっぱりあったかいお湯に入りたいな」



しばらく考えたシャアルだったが、お風呂への誘惑に耐えられなくて、着替えを一揃え持ち、大浴場があるだろう場所へ向かった。人が居ないで下さいっと、祈りながら。階段を登っていった。




「うわぁー此処だね。浴場へ人が居ないか見に来たけど、すっげ~眺めだ。この宿、自体が少し高台にあったから、その五階になるから、街を見下ろす感じになるんだ。人チェックもしたけど、誰も居ないね。よし! 今のうちに入ってしまおう。絶対気持ちいいね」



シャアルは、一番入り口近くの脱衣所で服を脱いで、棚に置いた。手には、特別大きな布を持って外の湯へ向かった。何かあれば素早く全身覆い隠せる程の大きな布だ。


 そこは、改めて見ると囲いの無い場所で、薄闇に月と星がキラキラ瞬いていた。とても大きな露天風で、岩等も至る所にゴロゴロしている様な作りになっていた。


 月明かりに、シャアルのシルバーの髪とゴールドの瞳が輝き。スラリとした褐色の肌は、少年と青年の間の危うい色香を醸し出している。背中とお尻の曲線は素晴らしく、少しでもその気のある人間が見ると、全身くまなく撫で摩り、囲って誰にも見せたくなくなる程に滲み出る魅力とエロさを垂れ流している。


 シャアルが、その見た目の色合いが原因で顔と全身を覆い隠しているおかげで、これまでのシャアルはその秀麗な造作に惹きつけられた大人からの、性的被害を受けなかった。


 シャアルは知らなかったが、そういう事も危惧していた為、育ての親は他人に顔を見せない様に、キツくキツく言い含めていたのだ。


 最悪、誰か来ても、布で隠し岩に逃げ込めば見られることはないと、安心してお風呂を楽しむ事にしたシャアルだ。


 シャアルは、備え付けのいい匂いのする石鹸で長旅の汚れを隅々まで洗い流し、ピカピカになった自分に満足して湯の中に入った。




「気持ちいい~最高だよ。あー生きてるっていいな……おじいちゃんにも入らせてあげたかったな。俺、恩返しできなかった…………」



身体と心が落ち着いたら、今迄我慢していた涙が溢れてきた。この旅は、兼ねてから計画はしていた。育ての親のおじいちゃんと、一緒に旅立つ計画だったのだ。


 シャアルが、安心して顔を出して過ごせる場所を見つける旅に出る事を、楽しく二人で色々計画を立てていた。


 他国の美味しい物、綺麗な場所を見て周り、様々な人と出逢い、シャアルという異形の存在でも快く受け入れてくれる人達を探す旅。そして、シャアルの特技を活かせる場所も。


 シャアルは、涙を隠す為にお湯の中へ潜った。誰もいない広い広いお湯の中を、綺麗なフォームで魚のように泳いだ。


 泳ぎ疲れて、お湯から出ようと立ち上がった時、急に頭が痛く気持ちも悪く、クラクラして、お湯の中に倒れ込みそうになったシャアルを、逞しい腕が抱き留めた。


読んでいただきありがとうございました^_^


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