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「おい! テメェ止まれよ! 俺様の肩にぶつかってきただろ! 骨折れちまったよ! 慰謝料払えよ慰謝料! 」


「待て待て待て!可哀想だろう辞めてやれよ」


「でもよ、お前。俺の肩みてみ!赤くなってんぜ」


「おっ! 本当じゃん! お兄ちゃんこれは、やべーわ。コイツの肌めっちゃ白いのにここだけ真っ赤に腫れ上がってんじゃん。見える?ここ灯りすくねーからあっち行こうや、来いって」


「いでててて、ほらほら見てみろよ。俺様の国宝級の白い肌見せてやるからっって!!!なんだよ、テメェ……あ、お前なんだよその肌、黒いぞ。あり得ねー黒い肌なんて見たことも聞いたこともねーぞ…………うわぁぁぁぁぁー」


「ま、待てよ。逃げんなよ!おい!」




道行く人に絡みお金を稼ぐ、見るからに低俗な二人の人間は、絡んだ者のあり得ない外見に驚き恐怖を抱き、化け物を見る目つきで震えながら走り去っていった。



「あーあ、やっぱりこの街も駄目か。俺って此処で何ヵ国目だっけ。一、二、三、四ヶ国目かぁ~


 参ったな。この国も全滅かな……この、アルファードって街が、一番大きな街で確か城下町になるんだよな。ここで、駄目ならサッサと次の国に行った方が無難だな。


 次は何処に行こうかなっ……確か前回の国で、何ヶ国か先に海って言う、塩っ辛い大きな湖みたいなのがあって、そこは格別に食べ物が美味しいって言ってたな。


 そこに行きたいな。どーせいくなら美味い物食べたいし、って事で、今夜の宿探そうかな。受け入れてくれるとこあれば良いけどな。無理だったら又、何処かで野宿するか……


 フードで全面。顔覆ってると、なかなか宿って受け入れてくれないんだよな。やっぱり怪しいからな。でも、そろそろゆっくり柔らかいベッドで寝たいな。あったかい風呂にも入りたいし」



トボトボと肩を落として歩く少年の外見は、この国もそうだが、周辺の国にもこの少年の母国にも、普通に受け入れられない外見をしている。


 艶々の褐色の肌に、月光に輝く銀色の髪。瞳は黄金色と、とても珍しい色合いをしているのだ。


 珍しいというか、そう言う人間は今迄存在していない。この周辺の国々は白い肌を美点としており、美しい者は男も女も白く透き通った肌が第一とされている。


 日に焼けている者は、基本モテない。身分の高い者程、色白を良しとしていて、民主も自然と貴族に右へ倣えで、皆が、できるだけ日に焼けない対策をしている。



 


 この少年は、格式高い家に産まれたのだが、産まれ落ちてすぐ死産として申告された。


 難産で意識が朦朧としていた母親にも、死産と伝えられた。この赤子の見た目は父親と取り上げた医師しか知らない。この医師は、長年優秀な王宮医師をしていたのだが、今回の出産を最後に領地へ帰省して、のんびり過ごす予定でいたのだ。


 それを知っていた父親は、この医師に高額な金銭を渡し、人に知られぬように処分して欲しいと頼んだ。


 医師はそれを受け入れ、その子を抱き、静かに屋敷から去った。医師は帰省の準備も手続きも、全て終えていたので。そのまま領地に帰り、二度と王宮にもその屋敷にも姿を見せる事は無かった。


もう少し先にお相手登場になります

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