前編
「クッソッッッッッ!!」
そう言って俺は地面を叩いた。
どうしようもない現実に打ちのめされ、何もできなかった無力感と、とある人物への激しい憎悪で頭の中が一杯だった。
俺は大切な人を寝取られた。
何故だ!?
同じ病院で同じ日に育ち親同士も仲が良く、家族旅行も一緒に行く程だし、隣の家に生まれ共に幼少期から育ち、幼、小、中、高と同じ学校へ通い、一度も別れる事無く同じクラス隣の席と奇跡が重なり、メカクレ後輩やチャラ男先輩やスケベ体育教師や近所のニートオッサン商店街のスケベ八百屋やスケベ肉屋やスケベ酒屋やスケベコンビニ店長やあいつの義理のスケベ義父やあいつの義兄や親戚のスケベ従兄弟共や田舎のロクデナシスケベジジイ共やハイスペックイケメンスケベ生徒会長やハイスペックスケベスポーツマン先輩や近所のスケベ整体師や町唯一のスケベジジイ医師やクズスケベ担任やクレイジーサイコレズ後輩やヤンデレレズ先輩やあいつのクレイジーサイコ実弟の魔の手からあいつを守り切って恋人になれたと言うのに!!!!!!
「この世は顔とムスコが全てだと言うのか…?」
その男達は突然、幼馴染をハイエースした。
ハイエースしたの意味が分からない?
いきなりすぐ横にハイエースを止めて、女を車の中に引き摺り込んで拉致するって事だよ。んだよ、分かれよ、言わせんなよ、泣くぞ。
そして幼馴染の映ったビデオレターが届いた。
もう怖すぎて見れなかった。
中に何が映っているのかなんて考えなくても解る。
ここまで数多の人間に狙われてきた幼馴染はきっとサキュバスか何かの末裔なのだろう。
神は俺を見捨てた。
いや、神など存在しないのか?
この街の全てが俺の敵なのかもしれない。いや、この世界の全てが俺の敵なのかもしれない。
女は信用ならない。
どれだけの愛を注ごうとも他の男に簡単に靡く。
男は信用ならない。
他人の女でも簡単に引っ掛けようとする。
あぁ、もう恋なんて………
「「「「待ち給え」」」」
!!?
「ヘッヘッヘッ……、ちょっと待ちなよ坊ちゃん?」
「そこから先はいけない」「愛した女を信用出来ないとは…」「一度でも惚れた女を他人に譲るのですか」 「少々、いや、かなり情けなくてよ?」「駄目だなぁ、お兄さん」「ちょ、お前マジダサくね?」「テメータマついてんのかぁ?ゴラァァ!!?」「最近の若いモンは…」「ヌフフ……まだまだですねぇ」「それじゃ姉さんは任せられないな」「アンタみたいなフヌケに先輩は勿体ない」「諦めんのかい?」「オイ!その程度の男か貴様は!先生は悲しいぞ!」「僕のライバルとしての自覚があるのかい?」「お、おい!い、愛しのレンレン取られて、い、いいのか、…!」「あなたがそんなだから彼女は「ちょ、多すぎ多すぎ多すぎ多すぎ多すぎ多すぎもうお腹いっぱいだからここでやめて!!?」
気を取り直して
「な!貴様らは!!」
そこに居たのはかつての敵共。
誰も彼も面白いくらいに、いや全く笑っている余裕は無かったが。
とにかく全員、幼馴染を奪い合ったやつらだった。
「今回の件、私達の中でもイレギュラーな事が起きましてねぇ」
「極楽の整体師、揉体触男……!」
その腕は万を超える女を快楽地獄へと突き落とし、幼女から女生徒、人妻から老女まで。職業年齢問わず、指先が体に触れるだけで絶頂へと至らせ、その店に通い続けてしまう術を持つ危険な魔術師。
ちなみに1時間で1000円という結構安めな値段で、女性だけでなく男性でも普通に凝りをほぐしてくれるらしい。経営難の時に興味があって少し通っていたら、近所のおばさま方がかなり来てしまって、怖くて通えなくなった思い出がある。
得意な施術は鍼灸だそうだ。
「お前のカノジョ、幼内恋仲ちゃんだっけ?あの子寝とった奴、うちらの中でもヤベーんだわ。」
「ヤリサーの帝王、酒使上桂!」
その性技でどんな引っ込み思案な女の子でも一週間後には黒ギャルに変えてしまうというこの地域では有名な槍使い。
あんまり絡みは無かったのだが大学進学の際、勉強が出来なさ過ぎるあまり担任から見放されてしまい、凄い音量で泣きじゃくっていたのが可哀想だったので受験日まで勉強を見てあげた事があるので普通に顔は知っている。
合格の連絡をスタンプと顔文字で送ってきてくれて少し泣いてしまった。
「ワタクシ達のように秩序ある行動すら出来ない程、あの馬鹿は手を広げてしまったのよ」
「花園の摘み取り師、女磨好世!?それはどういう事だ!」
同じ高校に通う彼女の周りは同性愛に目覚めさせられた女性で囲まれている。
理事長の孫娘である彼女は特権を使いクラスの男女比を1/9とし、クラスの幼馴染と僕以外を堕とし、既に全高の女生徒の3分の2が彼女と親密な関係にあるという。幼馴染の事は特に好みだったらしく普通に貞操を狙われていた。当然守り抜いたが。
ちなみに普通に性的な関係以外の友達が少なくて悩んでいたので普通に友達として結構話してたら、異性で唯一、肌に触れてもいいと許可を頂いたが、恋人を裏切る事になるのでお断りをした。
がその反応が逆に信用できるとかなんとか。
あ、幼馴染とは普通に友達に落ち着いたそうです。
「火遊びは火遊びだから許されるんです。それを仕事にしては遊びじゃ無くなる」
「遊具使いの調教師、遊谷捨流まで!?」
初等教育前のあどけなさと、持ち前の嗜虐心で数多の人妻や同級生の女児を開発、調教する天性のサディスト。
彼に掛かれば公園の遊具など大人の遊びの道具でしかなく、それこそ大人のおもちゃなど使ってしまえば、そこらの人妻など堕とせない方が難しい。性に対する知識がない女児ですら開発し、自分専用に書き換えてしまう。
この子は周りと比べて頭が良いのだが、親は育児放棄をしているようで、可哀想なので何ヶ月かうちで預かり弟のように可愛がっていた。
幼馴染も同様に彼を可愛がってたのだが、偶に見せる性的な視線を逃す俺では無かった。
速攻で彼を構い倒して幼馴染から離した。
マジ問答無用で。
「大勢の女を脅し、その体を使って多額の金を得る。」「それも風俗や映像関連ではなく、体が使い物にならなくなる程のもっと深い闇の性的商売」「連れ去られた女は二度と戻ってこない」
「商店街の鬼畜三兄弟!物売|ブラザーズ!」
物売家の兄弟は全員、自らの手掛ける商売で性的満足得ようとする。
長男は八百屋、次男は肉屋、三男は酒屋を経営している。
それは裏の顔で、長男は野菜を使って性的満足をし、次男は肉を縛る工程を応用して性的満足をし、三男は勿論お酒を使って性的満足をする。
標的は必ず、『現状に満足できてない女性』であるという。
なぜ幼馴染も狙おうとしたのかは謎だが、いつもより気合を入れて狙っていたのは近所だから知っている。
多分、俺なんかと手を繋いだり、勉強したりするのはつまらなかったのかなぁ………
ちなみに3人とも独身で40を迎えそうだったので、偶々知り合った同じく三姉妹の30手前の知り合いを紹介した所、めでたく去年三組とも子供ができたらしい。
普通に可愛い赤ちゃん達だった。
「一件、二件の話じゃないんですよぉ。なんか〜、もう街中手当たり次第ぃ、みたいな?」
「猫被り泥棒、愛叶触視、お前もか!」
可愛い後輩として近づく。
それは彼女の得意スタイルだ。
あらゆる部活の転々とし、全ての部活で殆どの男を手駒にし、女を手に入れる。
決して自分の身は危険にさらすことなく学校を手中に収め、その勢力は女磨には劣るが、女性陣の第2勢力として名を轟かせており、幼馴染へのガチ度はぶっちゃけ1番エグい。
父親は警察のお偉いさん、母親はヤクザの娘らしく、普通なら彼女こそ標的になってしまいそうだが、本当に頭の切れる彼女は自分を男役として使い、また、女は身も心も手に入れてから僕に仕立てるそうだ。
まぁ、この子もこの子で両親から愛情をあまり受けずに育ってきたので捻くれており、ビンタからの説教して缶コーヒー奢ってからバイクで遠い地方まで蕎麦を食べに行ってストレス発散の旅に行った。
満更でもない笑顔で『こ、今度はもっとマシな所にしてくださいよ!休めるところがいいです、私!』と言われたので『おけ、じゃマ○クでいい?』という会話をした所学校で他の女子生徒からいじめられたのを忘れない。
ちなみにその会話を幼馴染にも聞かれて1日に1日半、約、36時間の勉強という1日の概念を伸ばした勉強時間にされたのも忘れない。
そのおかげで今の僕(高校生)があります。
「 女を手に入れる為ならまだいい。しかし、手に入れた女をただ金儲けのために酷使するのは我らのやり方ではない。」
「ま、まさか……!」
俺はこの声を知っている。
一年の時から生徒会長を務めていた男。
風紀委員長を堕とし、生徒会顧問を堕とし、図書委員長を堕とし、保険委員長を堕とし、ほぼ全ての学級委員長を堕とし、美人女教師をクレイジーサイコレズから奪い、女子新入生をほぼ堕とし、OGの方を全員堕とし、婦人会のメンバーを堕とし、PTAの女性陣を堕とし、教育委員会の女性陣すら堕とし、全校生徒よりも堕とした女の数が多いとされる地域最強の男ッッ!!
「貴様に協力しよう。我々全員」
「全喰逝徒ォォ!!!」
正直、この男は最も厄介な男だった。
俺は勉強が得意ではない。
そもそも勉強が好きでは無かったので高校受験の時は幼馴染に監禁されて勉強をしていた。
解るまで机から離れることを許されなかったし、トイレはペットボトルを渡されていた。
風呂は濡れタオルを渡され、寝る時間は隣でずっと監視されていた。
そこまでの極限状態の中で得た知識でやっと合格できる程度に育まれたこの頭脳では生徒会入りなど到底不可能である。
その上帰ってゲームがしたくて帰宅部の俺はバレー部と生徒会副会長を務める彼女と必然的に放課後に話す時間が減ってしまったのだ。
いや、帰ると殴られるので校門で終わるまで待ってるけど。
運動においても俺はまったく才能がない。
何もない所で躓き、ボールは顔で受け止め、懸垂は握るだけに留め、走るときはジョギングを心掛け、水泳は浮き輪を忘れず、筋トレは幼馴染監修の元で幼馴染が許可できるラインの腹筋を作り、鎖骨が隠れない程度に筋肉量を抑え、日常生活に支障が出ない程度の筋力を身につけるぐらいでしか出来ない俺は、生徒会長に何一つ勝てなかった。
ていうかもうちょい筋肉欲しいんだよな。
いつも課題の束半分幼馴染に手伝ってもらわなかったら持ててなかったし。
奴は毎回全国模試2位。
その上部活は剣道部長で全国常連。
イケメン、高身長、細マッチョ、イケボ、金持ち、権力持ち。
幼馴染ですら「あの会長さん?良い人だよね。」というレベルだ。
正直いつ持っていかれるか気が気じゃ無かった。
イケメンは侮れないのだ。
作戦はすぐに決行された。
某市、某商店街
「いやぁ、まじあの娘正解っすね!」
「だろぉ?ボスの後輩って話だけどよ、他の女どもと比べても頭一つ抜けてイイ女だよな!」
「でもボス、最初は俺が味見するとか言って、全然連絡来ないっすよねぇ…」
「ばっかお前、ボスは体力バケモンだろーが。あの女を始めに、全員食べるんだよきっと」
「マジっすか!?パネェ!」
「こちら三匹の子豚。標的を発見」
「ここは2人の模様、どうぞ」
『では、運んでくれ。』
「了解」
埠頭 夜
「女どもどうなるんすかね?」
「さあなぁ……少なくともまともな働き方は無理だろうな。最低でもブタみてぇなジジイどもに蹂躙されるぐらいはあるだろう」
「ウヘェ、そんなの死んだ方がマシっすよ!」
「な ら そ う し て」
「「へっ?」」
『こちらオオカミ男、いばら姫が暴走して対象の捕獲は難しいな』
「まぁ、怒るだろう彼女なら」
『うわ……あれもうぜったい使い物にならないじゃんヤバ』
廃工場
「取引相手来なくね?」
「それ、ほんそれ」
「てか仲間来なくね?」
「マジで」
「ボス連絡取れなくね?」
「やばいよな」
「てかにゆずう少なくね?」
「「ていうか俺たちしか居なくね!!!?」」




