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最強ポーターは力を隠して冒険者の冒険を見守る~え?自分は戦わないのかって?蟻んこ一々踏み潰したって面白くないでしょ?  作者: まんじ(榊与一)
帝国からの冒険者

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第36話 心配

「ノックバック!」


突進してくるミノタウロスを、レイドの特殊な魔法――相手を大きく吹き飛ばす魔法――が足止めし。


「エレメントセイバー!」


「バーンクラッシュ!」


「アースエッジ!」


ヴァルキリー達の魔法の連打で、ミノタウロスを一方的に滅多打ちにしてダメージを与える。


「ぐおおぉぉぉぉぉぉ!!」


全て高威力な魔法であるため、見る間にミノタウロスの体力が削られていく。

早々に通常の戦闘を諦めた迷宮の主は、全身を赤く染め、全てを吹き飛ばそうと自爆を試みる。


だが――


「ウォールバリア!」


「リィンフォース!」


3人による結界魔法。

更にそれを強化する魔法が重ねられ、ミノタウロスの自爆は完全に抑え込まれてしまった。


ノーダメージの完全勝利だ。


「いやー、完勝ですね」


「これぐらいどうって事は無い。さあ、先に進もう」


拍手して称えて見たが、その反応はそっけない。

態と冷たい態度をとって、此方の不安を煽っているのだろう。


迷宮を抜けた所でいったん休憩。

短時間にも拘らず、また見張りを任された。

レイドだけではなく、この辺りからヴァルキリー達の言動も余所余所しい感じになって行く。

初めっから作戦として全体で決めていた事なのだろう。


水の神殿に入ると、彼らは水音を立てない様ゆっくりと奥へと進んで行く。

出来るだけ余計な魔物を刺激しないためだ。

まあ俺はそんな事一切気にせず、じゃぶじゃぶ行かせて貰うが。


「ミテルー。もう少し音は何とかならないのか?」


すると文句を言われてしまった。

多分これは作戦抜きでの純粋な苦情だろう。


「無理ですよ。荷物を背負ってますから」


此方は大荷物を背負っているのだ。

膝まで水のある場所で水音を立てずに歩くのは無理だ。

精々頑張って、音におびき寄せられ魔物退治を頑張ってくれ。


「敵です!」


探査魔法を担当しているヴァルキリー――赤毛赤目のコニーが周囲に警戒を促す。

身長は170センチぐらいだろうか。

年齢二十歳の巨乳の持ち主だ。

ミスリルで出来た胸当て越しにもそれがはっきりと伝わって来る。


ヴァルキリー達は残念ながら、初めて会った時の様なビキニアーマーを身につけてはいない。

全員長袖長ズボン。

その上から胸当てなどの普通の軽装備を身に着け、腰には剣を帯同している。

一般的な冒険者の出で立ちと言っていいだろう。


「ウィンディーネか!」


水中から水の乙女(ウィンディーネ)達が姿を現した。

魔物は周囲の水を刃へと変え、此方へと突っ込んで来る。

思ったよりも素早い動きに防御魔法が間に合わず、7人はバラバラに散ってそれを躱す。


勿論俺は、そんな中気にせず棒立ちだ。


「ウィンドカッター!」


フィニーが躱しざまに風の刃を放つ。

それは俺のすぐ横を通り過ぎていったウィンディーネを追尾し、真っ二つに切り裂いた。


「エナジーバースト! 」


その姉であるフェニーが、続いてエネルギー弾を放つ。

それは2体の中間で爆発し、魔物を纏めて吹き飛ばした。

魔力自体は2つ下のフィニーより劣ってはいるが、その精密なコントロールは大した物だと感心させられる。


「はぁ!」


残った最後の一体を、魔法を纏わせたレイドの剣が切り裂く。

周囲に静けさが戻り、戦闘はあっという間に終了した。


「ミテルー大丈夫!?」


フィニーがに駆け寄って来る。

ウィンディーネの一体が俺のすぐ横を通り過ぎたので、心配してくれたのだろう。


「ああ、問題ない。基本的に魔物は無害なポーターよりも、冒険者への攻撃を優先するからな」


魔物達も危険な相手かそうでないか位の判断はする。

当然危険度の薄い相手は基本後回しだ。

尤も、砂鮫の様に取り敢えず手あたり次第に襲ってくるような魔物もいるにはいるが、そういう種類は基本少ない。


「それよりいいのか?俺を不安にさせる作戦なんだろ?」


俺はレイド達を指さした。


此方の危機感を煽って情報を引き出す作戦だ。

それなのに俺の心配をしては意味がなくなってしまう。

言われて気付いたのか「あっ!?」とフィニーが声を上げる。


本当に分かり易い子だ。

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