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最強ポーターは力を隠して冒険者の冒険を見守る~え?自分は戦わないのかって?蟻んこ一々踏み潰したって面白くないでしょ?  作者: まんじ(榊与一)
最後の仕事

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第14話 遭遇

「おらぁ!」


重戦士が手にする大型のバトルアックス。

それがポイズン・スティンガーの頭部に勢いよく叩きつけられた。

硬い甲殻を誇る蠍ではある、巨大な戦斧を圧倒的なパワーで叩き込まれては流石に一溜りもない。

ぐちゃっと鈍い音が響き、頭部がかぼちゃの様に砕け散った。


「ファイヤーボール!」


シーフがアシッドフロッグの後ろ足の膝に矢を突き立て、そこに魔導士の生み出した火球が炸裂する。

その業火は3メートルは有るであろう天井にまで届き、蛙をあっと言う間に燃やし尽くしてしまう。


フロッグは体液が酸で出来ている為、迂闊に近づいて攻撃すると手痛いしっぺ返しが待っているモンスターだ。

テリーは超反応で躱しまくっていたが、こうやって遠距離から仕留めるのが本来正しい処理の方法だった。


「スライムか!」


前方の壁面にゼリーの様な青い物体がへばり付いており、それがゆっくりと近づいてくる。

スライムだ。

そのゼリー状の体にぽっかりと穴が開いたかと思うと、中に魔法陣が浮かび上がった。

そこに火球が生まれ、それはまるで弾丸の様にパーティーに向かって射出される。


「任せろ!」


ゴメスが前に出て巨大なタワーシールドを構えた。

火球が炸裂し、焔と爆風が吹き荒れる。

だがゴメスは揺るぐ事なくそれを盾で防ぎきって見せた。

ミノタウロスの自爆対策を担う男が、この程度の爆風如きで怯むわけもない。


「ファイヤーボール!」


再びスライムの穴に魔法陣が浮かぶ。

だが火球が生み出されるよりも早く、先に魔導士の魔法が炸裂する。

スライムは全身が炭化し地面に崩れ落ち、そして消えていった。


「ふぅ……これで終わりか……」


魔物との連戦を終え、人心地付いた様にパーティーの緊張がゆるむ。

だが迷宮はそんなに優しい場所では無い。

彼らの直ぐ傍にまでもう、最大の難関が近寄ってきていた。


それに最初に気づいたのがシーフの二人だ。


「デカい足音が近づいてくるぞ!」


シーフの言葉に、緩みかけたパーティーの緊張が引き締められた。


「気合を入れろ!ここが正念場だ!ジャン!アレン!ニクス!お前達の魔法が頼りだ!先制でぶちかませ!ポーターは少し下がってろ!」


ゴメスが大声で指示を出す。

その声に反応するかの様に、通路の奥から雄叫びが響いてきた。

それは人の本能に恐れを抱かせる化け物の咆哮。


気の弱い物ならば、それだけで気絶しかねない。

実際ポーターの1人はその場で尻もちをついてしまった。

その顔は恐怖で引き攣っている。


「神よ!どうか我らに雄々しく戦う勇気と幸運を!ブレイブハート!」


神官が魔法を詠唱し、聖なる波動がその場にいる人間に降り注ぐ。

精神の安定と恐怖を軽減する魔法。

雄叫びから来る本能的な恐怖で、動きが鈍らないようにするための対策だ。


「くるぞ!」


迷宮の奥からミノタウロスがその巨体を表わした。

両手には人間サイズの巨大な戦斧が握られ、その眼は血を思わせる狂気じみた赤色に染まっている。


「ファイヤーボール!」


奥から迷わずゴメス達へと突っ込んで来る人牛の化け物に、魔導士達が放った3発の火球が飛んだ。

だがミノタウロスはそれを躱すことなく、構わず突進してくる。


火急が炸裂し、通路を業火が埋め尽くした。

まるで炎の壁だ。

だがその壁を突き破って、ミノタウロスが姿を現す。


「ぐおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」


ミノタウロスは業火に身を焦がされがらも、雄叫びと共にパーティーへと突っ込んでくる。

その突進速度に陰りはない。


「止めるぞ!」


ゴメスがタワーシールドを構えて一歩前に出た。

その背後には3人の前衛が控える。

走り込んできたミノタウロスが、その勢いのまま両手に持った巨大な斧をタワーシールドへと叩きつけた。


「ぐうぅぅ!」


鈍い金属音が響き、弾き飛ばされそうになるゴメスを背後の3人が支えて凌ぎきる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「やるなぁ」


今までもいくつかのパーティーがミノタウロスと戦う姿を見て来たが、その攻撃を正面から受け止めているのを見るのはこれで2度目だった。

1度目は探究者のリーダーであるカリスと、自称超戦士ことボーゲン・バーゲンという男の二人だった。


「あの時は二人でミノタウロスの突進を受け止めたんだっけか」


今回は4人だが、正直それでも大したものだ。

それ程までに、ミノタウロスのパワーは抜きんでていた。


「これは期待できそうだ」


同行できなかったのは残念だが、外野席から観戦を楽しませて貰うとしよう。

俺はワクワクしながら画面に喰い付いた、

悪くない、もしくは面白いと感じて頂けたならブックマーク評価の方をお願いします><

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