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最強ポーターは力を隠して冒険者の冒険を見守る~え?自分は戦わないのかって?蟻んこ一々踏み潰したって面白くないでしょ?  作者: まんじ(榊与一)
最後の仕事

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第10話 ゴーレム

「おかえりなさいませ。ご主人様(マスター)


ダンジョンの心臓部に着くと、配下の女ゴーレムが俺を出迎える。

まあゴーレムと言っても、見た目は人間と大差ない造りをしていた。


髪は黒のロングを後ろで束ね、顔はまるで彫刻の様に整っている。

そして体は一言で言うなら、ボンキュッボンだった。


更にその豊満な肢体は、布面積の少ないハイレグビキニの様な服にパレオ巻いただけの格好であるため、非常にエロい。

臀部から生えた小悪魔の様な尻尾がそれを更に助長している。


ああ、言っておくけど。

このデザインはゴーレム自身が勝手にコーディネートした物だ。

最初は土人形の様な見た目だったのだが、力を与えた所、勝手に自分でこの姿へと変わってしまった。

決して俺がスケベ心からこういった形にしたわけではない。


そもそも俺には性欲がないからな。


神によって完全なる生物(チーター)となった俺には寿命という物が存在せず、完全であるが故に、子孫を残す必要もくなってしまっている。

その為、性欲は著しく減退してしまっているのだ。


「レム、何か変わった事は?」


異常が無いか尋ねた。

彼女――レムにはこの深淵の洞窟(ディープダンジョン)の管理のほぼ全てを任せてあった。


まあ何か異変があったのなら、彼女の方から知らせて来るので聞くまでも無かった事ではあるが、一応確認だけはしておく。


「特にございません」



因みに、彼女の名前はゴーレムのレムの部分からとってある。

適当に付けた名前にしては悪く無い名だと思う。


「そうか」


俺は中央にある、黒い大きな椅子に腰を下ろす。

ダンジョンの心臓部は半径10メートル程の円状をしており、その中央に備え付けられた椅子が俺の納まるべき場所となっていた。

まあ玉座と言っていいだろう。


俺が指を鳴らすと、形成され湾曲に走る壁面に映像が浮かび上がる。

ダンジョン内の様子が詳しく表示される360度モニターだ。

俺が指を軽くスワイプさせると、壁面に移る映像が横に滑っていく。


「大型パーティーか」


映像の一つにパーティーの姿が映し出されていた。

その中に、バルム・シーの姿がを見つける。


パーティーのメンバーは、重装を身に着けた戦士風の男が6名。

身軽な恰好のシーフ系が2名。

それに魔導士3名に神官1名の計12人パーティーだ。


1パーティーにしては明かに人数が多い。

恐らく2-3パーティーの連合だろう。


引き連れているポーターはバルム爺さんを含めて4名。

全員がかなりの量の荷物を背負っているので、相当先まで進む事を視野に入れているのだろう。


「最後の一稼ぎしたい気持ちは分かるが、偉くリスクの高いパーティーを選んだもんだ」


どれだけ入念な準備を重ねようと、ダンジョンはそれを嘲笑う可の様に冒険者達をすり潰す。

そしてそれは先に進めば進む程より顕著になって行く。


「最悪、死んでもいいって事か……」


バルムが20年もポーターを続けて来れたのは、その慎重さ故だ。

だがそれは養うべき――償うべき相手がいたからこその慎重さだった。

それがなくなった今、彼にとって自分の命はそれ程気に掛ける物では無くなってしまったのだろう。


「気になる冒険者でもおられるのですか?」


「いや、古い知り合いの最後の仕事ぶりでも見ておこうかと思っただけだ。後、肩は揉まなくていい。邪魔だ」


頼んでもいないのレムは俺の前に立ち、前かがみになって肩を揉んできた。

転生前なら谷間に視線が釘付けだったのだろうが、今の俺にとっては画面を遮る邪魔でしかない。


「あら残念」


何が残念なのやら……まあどうでもいい。

再び視線を画面に戻すと、モンスターとの戦闘が始まっていた。

パーティーはそれを苦も無くスムーズに処理する。


「連携はまあ、悪くはないな」


動きを見る限り、連携は上手く取れている様に見える。

まあまだ浅い場所で魔物が弱いため破綻が見えないだけかもしれなが、少なくともある程度訓練を行っているのは間違いないだろう。

適当に人数を集めて奥に進もうとしている馬鹿の集団ではなさそうだ。


「さて、どうなる事やら……」


俺はダンジョン内を進むパーティーを見つめ、一人呟いた。

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