プロローグ おつかれさまでした
東京上空。
宇宙から降り注ぐ無数の隕石が東京をめがけて落ちていく。
数分後には地獄と化すだろうその場所で、少年は一人、空を見上げた。
空へと浮かび、一気に加速して東京スカイツリーよりも高い空へと飛ぶ。
手を広げ、光が両手からあふれ出すと、無数の光弾となって隕石を打ち抜いた。
しかし、まだ宇宙には、直径50キロを超える巨大な隕石が待ち構えていた。
隕石の岩肌が開き、血走った目が現れる。
口が開くと巨大な牙が並び、おぞましい鳴き声が地球の大気を揺らした。
少年は全身を黄金のように輝かせると、巨大隕石へと飛んでいく。
そして、巨大隕石は砕け散った。
降り注ぐ残骸も、周囲の小惑星も、すべてが光りとなって消えていく。
その中で、少年はただ一人、青い地球を眺めながら宇宙を漂っていた。
ボロボロになり、指一つ動かせない体となっても、その顔に悲壮感はない。
やりきった。
達成感があった。
守りきった
安堵に顔を緩ませた。
ただ、青い地球を眺めながら、少しだけ泣いて。
少年は息を引き取った。
そして、それをどこかで見ていた少女は、優しく画面をタップした。