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「久々のお客だねー、なんの用かしら?」
僕は唖然としていた。スキルによってある程度は知っていたつもりだが、ここまでギルドに人がいないとは。イメージとしてはかなりワイワイガヤガヤ賑やかだと考えていたが、こんなに閑散としているのか。
ギルド内は外見と反して木造建築だった。如何にもギルドといった内装で、壁際には恐らく魔物関連の本がズラリと並べられている。
女性の横にあるボードは依頼ボードだろう。幾つもの紙がピンで止められている。
「すいません、ギルド登録したいのですが。」
「了解了解。それじゃ、こっちきてこの紙読んでね。」
女性は裏から1枚の紙を取り出す。
「これに冒険者のシステムとか諸々書いてるからそれ読んだら下に名前と戦い方とジョブ書いてね。」
「…すいません、ジョブをまだ持っていなくて…。」
「そっかそっか、ならジョブ決めが先だね。ここの3階にジョブ決めの為の簡易教会があるから、そこに行って決めてからまた来てね。えーっと、確かジョブ決めは銀貨1枚だったかな?」
「分かりました。ありがとうございます。」
礼を言うと僕は足早にギルドの階段をあがった。
そう、この世界にはジョブというものが存在する。ゲームに登場するジョブの認識であっている。人それぞれの適正にあったジョブにつくことができ、ジョブにつくと関連するスキルが得られる。また、剣士というジョブの者が素振りや剣術の練習、実践など研鑽を積むとジョブのランクがあがり、また新たなスキルが得られる。どこまでもゲームと一緒だ。
そんなジョブは神の眷属になることを意味している。先程の剣士であれば剣神、炎魔法使いであれば炎神、といったふうに、神から力を得るということである。
だからジョブを得るには教会に行く必要がある。ちなみに、このジョブは神の眷属になることのため、1度決めたら変えることは出来ない。神への反逆になるからだそうだ。
これもスキルによって手に入れた情報である。スキル様様だ。
「ようこそいらっしゃいました。今日は何用でございましょうか?」
「ジョブ決めに…。」
「なるほど、ごゆっくりお決め下さい。」
修道女のアルカイックスマイルに少し照れながらジョブ決めの為の祭壇の前に立つ。
(僕に適正のあるジョブは何ですか…!!)
頭の中で念じると目の前に夥しいほどの文字が現れる。
(もしかしてこれ全部適正あるのか!?!?)
剣聖や神官、その他魔王やらなにまでほとんどのジョブが現れているのではないだろうか。
(なるほど、ジョブチートか……、でも一個しか決めれないなら意味ないよな…慎重に選ばないと。)
加えて、どのジョブを選べばどの力が手に入るかは全く持って分からない。だから剣聖ジョブを選んだとしても必ず剣術系スキルが手に入るとは限らないのだ。
(あとは名前の雰囲気で選ぶしかないよな……。どれにしようか。)
慎重にジョブを選んでいく。
(……よし、決めた!俺は剣聖でいこう!とにかく即戦力なスキルが必要だ。剣聖ともなれば少なくとも戦闘スキルだろう。)
今後の戦いの上で必ず戦闘は必須になるだろう。銭を稼ぐためにもここは剣聖しかないだろう。
そう思い、祭壇の上に浮かぶ剣聖の文字に触れようとしたその瞬間。
スーッと下から半透明な文字が現れた。避ける暇などなく僕はその文字に触れてしまう。
<ジョブが道化師に決まりました。>
<貴方はロキ神の眷属になりました。>
<ランク0のため初期スキル<クラウン>を付与します。>
<今後も神への忠誠を忘れないように。>
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