金がない
「なんと!!スキルなしがいたとは!!」
何でだ!?!?スキルならこのよく分からんスキルがあるだろ!!!
「この勇者召喚に失敗が混じっているのが知れたら他国にどう突っつかれるか分からん!!いいか!!今回召喚されたのは4人じゃ!!わかったな!!」
「はっ!!」
「であれば、そこの者は侵入者じゃ!!早々に追い出せ!!」
「かしこまりました!!」
「オラ!ついてこい!」
こうして物凄いペースで召喚追い出されテンプレートを攻略してしまったわけであるが、実際に体験してみると何も発現する暇もなく追い出されてしまった。まさか本当に無一文で出されるとは思ってもみなかった。
チートスキルであればここで上手くやって街でギルド登録俺TUEEEEなんだろうが、今の僕は日本人の休日である。
しかし、何故鑑定でスキルが見られなかったのだろうか。再度スキルを確認する。
スキル
<身は体を現す>
・外見に合った力を使うことが出来る。
<日本人の休日>
・ゆっくり休むことが出来る。安心のセキュリティで安眠をサポート。
一文増えていた。安心のセキュリティとは一体。しかし、これが鑑定を弾いていたのかもしれない。つまりこの姿でも一応ダメな訳ではないということがわかっただけマシだと考えよう。
さて、ここからどうするべきか。僕は途方に暮れながら街の中を歩く。テンプレでよくある森の中置き去りでなかった分幸運だったのだろう。
しかし、このスキルの検証も兼ねて服を買わなければいけない。しかし現地の金は一切ない。通行人に話しかけながらやっと服屋らしき所までたどり着いた。ドアを開けるとそこらかしこに服が並んでいた。ビンゴ、服屋である。
「いらっしゃい」
気の良さそうな女性が近づく。
「何か買ってくかい?」
「普段着が欲しいんですけど、お金が無くて…。」
「……あんたのその服、結構珍しいけどどこで買ったんだい?」
「……あー、これは旅の行商人から買ったもので…どことまでは聞いていないですね。」
「そうか、なかなか面白そうなデザインだからね。ならその服買い取ってあげるから、それでうちの服を買いなよ、大丈夫、ぼったくったりはしないさ、多分ね。」
愛想笑いをしながら服屋の話を聞く。ここまでは予想したとおりの流れだ。あとはこの服がどれだけの価値になるか。
「それじゃ銀貨4枚でどうだい?」
「もうちょっとあがりませんかね…?」
「銀貨5枚ならどうだい?」
釣り上げの潮時が分からないのによく冒険出来たものだ。とりあえず表情を考えて5枚でストップするのが得策かな?
「それでお願いします。」
「ほらよ、今すぐ脱げってのも忍びないからちょっと服持ってくるから待っといてくれ。」
服屋から銀貨5枚を手に入れた!!




