召喚されたけど
「よくぞまいられた勇者達よ!!!」
次に目を開いた時、目の前にはいかにも国王といった風貌の男性が立っていた。周りには全身を鎧で固めた兵士であろう人達が何名も加賀美を、いや加賀美達を取り囲んでいる。
加賀美を中心に恐らく同じく召喚されたであろう人々がいた。明らかに場違いな服装の彼らがこの世界の者ではないことを物語っている。
「何なんだいったい!?」
疑問を口にしたのは加賀美と同じ場所に立っていたスーツ姿の男だった。まさにできるビジネスマンといった出で立ちであり、顔も堀が深く美しい。身長も180はあろうか、モデル顔負けのルックスであった。
「ここはどこよ!?」
次に口を開いたのは女学生だった。歳は15、6か、顔にあどけなさが残っている。しかしスタイルもよく、何処ぞのアイドルグループの一員と言われても遜色のない可愛らしさである。
「これはもしや異世界転移では!?」
興奮した様子で喋る男は加賀美…ではなく、眼鏡にアニメキャラが描かれたTシャツの男だった。しかしその服装に似合わず、髪の毛は金、瞳は青でゲームから飛び出してきたような目麗しい顔立ちをしていた。
「………」
警戒するように周りをジッと見つめているのは、ジャケットを着た女だった。芸術の域にまで達していると感じさせるほど整った容姿とは裏腹に、その目には獰猛な獣を宿している彼女は咥えている煙草の火を消した。
「おいおい嘘だろ……。」
そんな周りにいる人達をみて絶望しているのが加賀美である。スウェット姿の彼はルックスだけ言えば人並みである。中間であることは悪いことではないが、その基準は周りが圧倒的なまでに高い時意味をなくす。
(なんで周りがこんな美人さんばっかなんだ!?!?!?)