スキル付与
「どんなスキルになるかは正直僕でも把握出来ないんだよね。」
「と、申されますと…?」
「スキル付与ってさ、所謂ガチャガチャみたいなもので、何が出るかはランダムなんだけどさ。僕の管轄外の世界のスキルもガチャガチャの範囲に入ってるんだ。だから、すっごいハズレもあるし、僕達レベルに匹敵する強力なスキルも入ってるわけよ。」
「ガチャガチャ……ですか。」
何を隠そうこの加賀美。ガチャガチャに関しては戦績が宜しくないのである。ガチャガチャだけではない。運要素の絡むもの全てが平均的なのだ。福引ではポケットティッシュではなくティッシュ箱。ソーシャルゲームであれば☆3。だからこそ彼はスキル付与のシステムがガチャガチャであることに絶望した。
「終わった…。」
グッバイ僕のチート人生。改めてよろしく平凡な人生。
「それじゃあこれを回してね」
目の前に福引の抽選機が現れる。
覚悟を決めるしかない…。それに今までのあの中途半端な戦績は今日のための布石かもしれない。
加賀美はそう思い込むことで自分を奮い立たせた。
抽選機の持ち手を握りゆっくりと回す。
ガラガラガラガラ……
永遠とも思えるガラガラが、加賀美の消耗した精神をより傷付けていく。
頼む…頼む!!!
抽選機からでたのは白の玉だった。
「これは珍しい…。それが君のスキルになる。どういう力かは、着いてから確認してみてくれ。」
「珍しいということはかなりレアということですか!?」
「それじゃあね~。」
「ちょっ!!」
また目の前が真っ白になった。