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安さが一番

「それはホブゴブリンだね。」


「ホブゴブリンですか…。」


 ダンジョンでの魔水晶を換金しながら、今日出会った奴について冒険者ギルドの受付の女性に尋ねる。


「時々低層でもでるんだよ。ホブゴブリン。基本的に中層の雑魚なんだけど、低層メインだと確かに危ないんだよね。でも、倒せない相手ではないんじゃない?」


「そうなんですか?」


「低層も後半になれば中層と同じくらいの魔物もでてくるし、正直あれくらい倒せないと冒険者としてはやっていけないわよ。…まぁ、初めて数日なんだし、気楽に頑張りなさい。はいこれ、銅貨ね。確認は大丈夫?」


「はい、大丈夫です。頑張ってみます。」


「張り切りすぎないようにね~。」






 あの気迫で雑魚……。まだ自分が殺し合いに馴れていないのが十分に理解できる。なあなあで済ませるわけにはいかないのだ。奴を、ホブゴブリンを確実に突破するために打開策を考えなければ。


 そのために僕は服屋へと向かった。


「いらっしゃい。」


 この服屋はこの町のなかでは大きく町民のほぼ全員がここを利用している。そのため今も店内は人で賑わっていた。


 ざっと店内を見渡すと、お目当てのコーナーが見つかる。


 そこには箱の中に乱雑に服が押し込まれていた。入っている服も、色褪せていたり、少し解れていたり。デザインが異世界人の僕からみても奇抜、もしくはダサかったり。所謂訳あり特価製品というやつである。

 ここに入っているものは全て銅貨2枚均一、交渉次第ではさらに安くなる可能性がある。


 僕からしてみれば格安スキル販売所のようなものだ。そこからいくつか服を探していく。






「はい、それじゃ銅貨6枚ね。」


「ありがとうございます!」


 結果として、上着やズボン、下着にローブなんかが10着近く買うことができた。

 スキル、群衆の一人のおかげであろう。おまけとして二、三着くれたのだ。


 とにかくこれでどんなスキルが生まれるのだろうか。ワクワクが止まらなかった。

 しかし興奮しているだけでは前に進めない。商業ギルドでの手続きは早々にしておかねばならない。


 少し浮かれ気分で僕は商業ギルドへと向かった。






「それでは、代金を受け取りましたので、本日より登録がなされます。町全体に情報が反映されてからの活動となりますので、二日ほどかかりますがよろしいですか?」


「はい、構いません。」


「それでは、二日後に再度ギルドへお越しください。その際にギルド証をお渡しします。こちらその際の控えとなりますのでお忘れなく。」


「はい!ありがとうございます!」


 これで今やるべきタスクはとりあえずクリアした。

 素泊まりの宿である鷲の羽根休めに戻り、今日買ってきた服を並べる。


「スキルガチャの時間だな!」

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