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道化師としての可能性

 ジョブのランクを上げる方法は一つ。ジョブに纏わる行動をとることだ。剣士であれば剣術を、魔法使いであれば魔法の実践を。道化師であればパフォーマンスを。……のはずだが、僕は今ゴブリンを倒しただけなんだけど。

 そう悩んでいると後ろから拍手が聞こえてきた。


「凄いなあんちゃん!ピエロの癖にやるじゃないか!!」


 見た目が剣士の男が拍手しながら近づいてくる。


「道化師ジョブってのはハズレだって聞くがよくもまぁ頑張ってるよ!名前なんて言うんだ!」


「ツカサといいます…。」


「ツカサか!俺はバロン!冒険者だ!よろしく!」


「よろしくお願いします…。」


「なんだよ、ピエロのくせに元気ないじゃないか!」


 バロンはガハガハと笑いながら僕の背中を叩く。


「今度サーカスとかやる予定あったら教えろよ!!見に行くから!!」


 こうしてバロンは笑いながら去っていった。


「嵐のような人だったな…。」


 今ランクアップしたのはバロンという観客がいたからかもしれない。

 道化師のジョブが割と使えると分かったからには、これはランクを上げていくしかないかもしれない。とにかく今手に入れたスキルの確認だ


スキル

<ジャグリング>

・手にもてる物であれば大抵はジャグリングできるようになる。慣れてくればジャグリングしている物を狙った場所に投げることも可能。


 文字通りだな。試しに持っていた銅貨でジャグリングをしてみる。2枚、3枚、4枚、5枚、6枚…………30枚。

 持ち合わせている銅貨全てをジャグリングできてしまった。これはなかなか凄いスキルである。


 それに道化師で公演をして儲けることも可能か…。1度それもやって見る必要がありそうだ。今のジャグリングとこのクラウンの身体能力であれば、少しくらいはウケそうな気もする。漫画の読みすぎで異世界で金を稼ぐなら冒険者というイメージがついていたが、この道化師として稼ぐのも悪くないかもしれない。


 僕は今後のことを悩みながらダンジョンを後にした。



      △



「…みた!!凄くないあの子!さすがだよ!無理に手に入れた甲斐があった!!」


「その件についてはワシも納得しておらんからの。」


「もう、頭まで固いんだから〜、柔軟に生きよ?ね?」


「ね?ではないわ!!他神の眷属を無理やり奪うなど言語道断じゃぞ!!!」


「もーうるさいなーっ!おっ!あの子道化師としてもやってくのかな?!やったーー!」


「クソーー!!!」



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