デメリットは必ずある
目の前にある木箱を開けると、中には先程のゴブリンの素材が入っていた。
(ゴブリンの素材って何があるんだ……なんだこれ?)
中には小さく濁った水晶が1つと、銅貨が3枚入っていた。
この水晶は、魔核である。魔物の体内で生成されるもので、中には魔力が内包されている。どういった仕組みで生成されるかは未だ不明だそうだが、この世界では燃料として扱われているらしい。
水晶と銅貨をマジックバックに入れ、また先へと進む。まだ先程の感触が掌に残っていた。その気持ち悪さに付き合っていかねばならない。これは慣れるしかないのだ。そう割り切るほかなかった。
「それにしても、物にも適用されるのか。」
先程ゴブリンを殺めたあのなまくら剣を掲げる。見た目こそ変わっていないが、鋭さや威力は見た目にふさわしく剣そのものである。むしろ他の物よりも切れ味が良いのではと思うほどであった。
「まぁ他の剣を知らないんだけどね。」
こうしてダンジョン1階をどんどん進んでいった。ゴブリンが数匹その間に現れたが、気持ち悪さを押し殺し何とか全員倒すことが出来た。しかしもはや精神状態は限界値にまで達しようとしていた。
「とりあえず今日はこの辺で帰ろう。」
ある程度の稼ぎも得た。剣の使い方にも慣れ始めた。十分な収穫と言えるだろう。
(でも最後に一つだけやらなきゃいけない。)
格安で買ったリビングメイルの死骸。それを着て戦う。
(どんなスキルが手に入るのか分からないけど、今後の戦力を確認しておかなきゃならない。)
マジックバックからリビングメイルの鎧を取り出し、周りを警戒しながら装着する。こうした行為は1階層では魔物があまり出現しないこと。出現したとしても簡単に処理できるからできるのであるが、本来であればこうした行為をすべきではないことだけは確かだ。
「なかなか仰々しいな…。」
鎧を見に纏った加賀美はまさに物語からでてきた騎士のようだった。白銀の鎧は神聖さを醸し出している。見た目だけは強そうではある。
しかしこの鎧は木の棒で歪み、これを着る少年は一般人なのだから、物事は外見だけで判断してはいけないだろう。
(それじゃあいくぞ…<身は体を現す>発動!!)
……。
スキル
<身は体を現す>
<クラウン>
<潔白の鎧>
・あらゆる魔を打ち払う鎧。全ての魔法を無効化し、あらゆる攻撃を跳ね返す。
<王宮剣術の極意>
・王宮剣術の全てを会得する。
<神聖魔法>
・神により認められた者だけが扱うことを許される魔法。神の力の一部を借り、人智を超えた事象を引き起こす。
<聖騎士の威圧>
・王族以外の全てを威圧する。騎士団や王族以外からとても嫌われる。
<偽りの騎士>
・中身の伴わない偽物の騎士であるため、本来の力を使えるのはごく僅かである。
………チートだけども!!!!




