クラウンとピエロは違うらしい
「おやジョブが決まったようですね?」
「はい…。ありがとうございました。」
「貴方に神の御加護があらんことを。」
修道女を背に僕は教会を去る。後ろ姿はまさに敗北者そのものである。まさか、あんなエロサイトの広告みたいなジョブに決まってしまうとは…。一度決めたら変えられないこともかなり辛いし、何より道化師ではこれから戦うことが出来ないではないか…。
「おっ、帰ってきたね。ジョブは無事決まったかい?」
「え、ええ。」
「ん、浮かない顔だね。まぁどんなジョブでも冒険者にはなれるから安心していいよ。それじゃ、さっきの続きといこうか。」
僕は出された紙にあるがままを書く。
「道化師のジョブか……。うーん、なるほど、まぁマイナスには働かないからさ、気楽にいこうよ、戦闘以外の依頼もあるしさ。」
気だるげだった受付の女性からの励ましが逆にダメージとなっていく。
「とりあえず、ツカサね。これからよろしく。これ、ギルドの印ね。無くしたらその時点で冒険者の資格は剥奪だから、忘れないでよ?」
「分かりました…。」
「とりあえず、その服装じゃ色々と危ないから、隣の武具屋に行ってみなよ。」
「はい、ありがとうございました。」
「かなりショックだったんだね…。」
僕はギルドを出た。そりゃあショックにもなるだろう。剣聖から道化師にランクアップだよ。よかったね。今頃剣聖チートで俺TUEEEEウハウハハーレムだったのに。いや、ハーレムは嫌いだからいいんだけど。
とにかくさっきのクラウンというスキルを確認しないと。
……。
スキル
<身は体を現す>
<町民の心得>
<群衆の一人>
<クラウン>
・道化師の初期スキル。どんな状況でも想像するクラウン姿に変身することができる。スキルを解くと元の姿に戻る。
…これだけ?本当にクラウン姿になるだけ?と頭を抱える前に僕に一筋の煌めきが走った。
(クラウン姿になった時に身は体を現すを使えば何か増えるんじゃないか!?)
そう思ったが吉日。路地裏に行き、早速スキルを発動する。
<クラウン>発動!!
瞬きのうちに僕の服装がガラリと変わっていたのがわかった。まさにクラウンといった服装。黄色に青の水玉、白い手袋、ダボ着いた大きなズボン。
鼻に違和感があり、触るとそこには赤い玉があった。本当にクラウンの姿になったのだな…。鏡がないため確認出来ないが、恐らく僕の想像したクラウン姿になっているだろう。
そしてここからが本番だ。
<身は体を現す>発動!!
……。
スキル
<身は体を現す>
<クラウン>
<道化の嗜み>
・あらゆる作業の効率、ならびに習熟度があがる。
<サーカスの一員>
・身体能力が向上する。
<戯けた存在>
・周りから馬鹿にされやすくなる。周りから嫌われにくくなる。
成功だ!!!!




