第6話
僕は今、ターシュ大王がいる、城の前にいる。
第1印象からすれば…うん、城だって感じだ。
何というか、城といえばってノリで連想する感じの、普通のまあそれなりに豪華な造りだ。
そこから、1人のおっさんがあるいてくる。
なんだか先生に似ている気がするのは気のせいだろう。いや、絶対に気のせいだ!そうだよ気のせいだよ!近くにつれて、先生だって感じるのは僕の目が疲れているからだろう。だってここは夢の中のはずだし!
おっさんは門を開けた。
「ようこそいらっしゃいました。
ユウキ様。
余は、この国の王である、ターシュです。」
「よろしく。
ターシュ大王様。
ところで、僕に用とはなんでしょうか?」
「はい。
ユウキ様にはこちらのことを知ってもらうとともに、これを受け取って欲しいと思いまして。」
おっさんーー改、王ーー曰く、僕はもぐたんから水晶をもらうらしい。
もぐたんのままじゃだめなのかな?
「それはもぐたんが持っているままではだめなんですか?」
「その話をするには、こちらのことを話さなければなりません。どうぞお入りください。」
王は僕に、部屋に入るよう勧めた。
見た感じは客室らしい。
僕はソファーに座り、反対側のソファーに王が座り、もぐたんは部屋の中を飛び回ったり歩いたり遊んでいるようだ。
「では、伝承についてお話いたしましょう。」
王の話をまとめるとこうなる。
それは、勇者と呼ばれる者の話だ。
その勇者という者は愛の国が負ける寸前のところで現れたらしい。
それは僕のように人間であり、この世界のことをなにも知らない人だったらしい。
しかし、その人は、もぐたんや王というような、この世界の妖精たちよりも知能が優れていて、その勇者が中心になって、作戦をたてて、この国は闇を追い詰めることができたらしい。
しかし、勇者はその時、闇を滅ぼすなと言い、姿を消したらしい。
この国ではそれが伝説の勇者だとかで、有名な話らしい。
だから、その勇者と境遇が似ている僕が勇者なのではということで、僕に水晶を授けたらしい。
「頼めるかね?」
「はい!
水晶はお預かりします。」
「どうか、この国を救ってください。」
「善処します。」
勇者の闇を滅ぼすなという言葉は気になるけど、まあ、頑張ってみようと思う。
一応夢の中だし。