第5話
「ぴよ大王!愛の王国の天使が増えています!このペースだと追い上げられてしまうかもしれません。」
「なんてことだ。・・・なんてことだ・・・。今まであんなに愛の力を信じるとかなんとかのんきにやってきた奴らがなぜ急に?!」ぴよぴよタケシ大王2世は動揺を隠せない。
わかりません。ただ、あいつからの情報なので確かです。」部下のぴよビリーは自信ありげに言った。
「そうか・・・。あいつはその理由を知っているのか?」
「はい。もぐのほうが有力な助っ人を見つけたとかで・・・。」ビリーはうつむく。
「そうか。ではあいつを愛の王国に送り込んでくれ。」
「かしこまりました。随時報告させます!」ビリーは走って行った。
「・・・。」王様はそのテカったおでこに深くしわを寄せて悩ましそうに肘をついた。
その頃・・・
僕が寝る前、
「いいペースで進んでいるのですっ!」もぐたんは両手おあげ飛び跳ねている。(なんだかかわいい)
「じゃあもう寝ようか。ん?この袋は何?」
「あ、それは今日一日で作った天使をビーズ状にして袋に入れといたのです!それを枕元に置いて寝るとチミと一緒に夢の世界へおくりこむことができるのです!」もぐたんは心なしか誇らしげに言った。
「理解理解。じゃあ電気消すよー。」電気のひもを引っ張り電気を消す。部屋が真っ暗になった。
「もぐ怖いから手をつないでもらえると嬉しいんだけどなー・・・」
「別にいいけど。」
そうして僕たちは手をつないだ。僕は上を向いたままあと何回こうやってもぐたんと寝ればこの冒険は終わるのだろうかとぼんやり考えていた。
「ターシュ大王がユウキに会いたいと言っておられるのです!」
「たーしゅだいおう??」聞き覚えのない名前だ。
「もぐのいるこの王国の王様です!言ってなかったっけー??」
「うん、初耳。」
「そうだったかー。じゃあいこう!」もぐたんはやる気満々だ。
もぐたんの小さな手に引っ張られながら、薄暗い空の下に立つ大きなお城に入っていった。
階段を上っている途中、なんだかいつものもぐたんと羽の光り方が違うような気がした。
まあ、気のせいか・・・。