番外編 ハロウィン
10月31日
そう、今日はハロウィンだ。
ちょっと浮かれていると、
「今日はハロウィンなのです。」
「そうだね」
もぐたんも浮かれているみたいだ。
向こうの世界でもハロウィンはあるんだな~
「今日は、お互いに攻めちゃいけないのです。」
「へえ」
「やっぱり、争いたくはないのです。」
ちょっと意外に思った。
もぐたんは、知っての通り、争いの渦中にいる。
だから、争いはあって当然だと思っていると思っていた。
「今日は、パーティーを開くのです!」
「それは楽しそうだね。」
「楽しみです。」
もぐたんの笑顔を見て、ますます楽しみになってきた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「「トリック・オア・トリート!」」
「うわあ、ほんとだ!!」
先ほど___
いざパーティーを開くとなり、食材をどうしようか迷っていたら、
「さあ、トリック・オア・トリートっていうです!」
「え?」
「言ったら、お菓子がでてくるです!
魔法の言葉です!」
って感じで半信半疑で言ったらほんとにでてきた。
びっくり___
「それはわかったけど、パーティーは何処でやるの?」
「お城です。いくです!」
「うん」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「よく来てくれた、ユウキ殿」
「どうもです」
「おじゃまします、なのです」
3人(?)だけだけれども、仮装して、それらしく、楽しむ。
僕は、ゴースト。典型的なおばけかな。
もぐたんは、魔女。魔女というよりも、魔女っ子とか魔法少女みたいな?もしくは、ゆるキャラ?ってかんじ。
大王は、死神。うん、なんかかっこいいかも?いいなあ。ぼくもそうすればよかったかなあ?でも、改めて見ると、敵陣の長だったなんてことがあっても信じちゃうような見た目だ。
「挨拶は、儂がしよう。
今日は、戦の中で数少ない休日。
日々の疲れとストレスをここで癒してくれ。
それでは、只今より、ハロウィンパーティーの開幕でーす。」
「「ぱちぱちー」」
お菓子っお菓子っ
まず目に入ったのは、チョコレートケーキだった。
そこで気づいた。
この服装だと、食べにくい。
「もぐたん、大王、ちょっと着替えてくる。」
「わかりました。」
「わかったです。仮装じゃなきゃダメですよ。」
「はいはい」
ええーっと、着替えする部屋はっ…っと…
廊下を歩き、中庭に出る。
「ひっ...」
そこには、見慣れた姿があった。
そこには、僕のようなものがいた。
ふと、思い浮かんだ。
ドッペルゲンガー。
ずっと前に友達から聞いた話だと、自分にそっくりなドッペルゲンガーと目を合わせると、死んでしまうらしい。
絶対に目を合わせない、そう、おびえる心を抑えながら誓った。
決して、信じたくはない。
しかし、もぐたんとこの世界にいる時点で不思議な現象が起こってもおかしくない状態になった。
心の底では信じてしまっているかもしれない。
でも、そんなことはあり得ないと思いたい。
気が付けば中庭を抜け、廊下に入るところだった。
油断して、顔を上げてしまった。
目が合った。
もう終わりだ。
顔を上げなければよかった。
いや、後悔してもしょうがない。
バタン…
自分でも倒れたのが分かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「チミ、起きるのです。」
僕は死んだのか…。
もぐたんの声が聞こえる。もぐたんは神様だったのか…。
「チーミ!」
目を開ける。
もぐたんと大王がいる。
「起きたです!」
「良かった。」
「ん?」
ここは天国でも地獄でもなく、さっきまでいた、パーティー会場だった。
生きていたのか…
「遅いと思って様子を見に行ったら倒れているのを見て、びっくりしたです。
光の力を使って、いろいろ確認したら、ショックで倒れたってわかってびっくりしたです。」
「心配かけてごめんね。」
それにしても、ショックで気絶って…
なんだか恥ずかしくなってきた。
「安心したところで、パーティーを続けるです!」
それから、目が覚めるまで、僕たちは精いっぱいパーティーを楽しんだのだった。
ついでに、僕だけは、恥ずかしさを紛らわすためにも…




