第1話
あの日は平凡な退屈な一日だった。あの日はーー。
あの日は珍しく恐ろしい夢を見て起きたのだった。
その夢の中で空はどんよりと曇っていた。
そらとはなんだろう。自分は一体何者だろう。
そんな事をぽけーっと考えていた。
その時だ。何だか奇妙ではあるが見た目はかわいい妖精らしきものが目の前に現れた。
「お前はだれだ?」
僕は怪しみながらそいつに聞いた。
「おまへはだれだ?」
そいつは首を傾げそう言った。
「僕の名前はユウキ。っていうか、こっちが聞いてるんだけどな。しかもおまへって。。。」
「私のなまえはモグたんだよ。愛に満ち溢れた王国から来たの。」
「へえ。それ自分で言うんだ。」
「うん。モグね、今日チミに頼みたいことがって来たの。」
どうやらこのモグなんちゃらというやつは一人称がモグで、二人称がチミらしい。
「モグのいる世界にはね、闇と愛の派閥に分かれていて、ずっと対立してきたの。そしたら、とうとうあと一口で飲み込まれるーっ!って感じのとこまで愛の派閥が追い込まれっちゃって。」
「それで僕に助けてほしい、と。」
「そう!」
「でもなぜだ?なぜぼくに?」
「誰か助けてくれる人いないかなーってお空をとんでたら、チミが助けてくれそうな顔してたから。」
まあ、こいつと一緒に冒険するのも悪くない。手伝ってやるかぁー。
「分かった。一緒に戦おう。」
僕はモグなんちゃらに微笑みかけた。
「え、いいの?やったぁーー!チミを信じてよかったよぉー。」
モグなんちゃらは僕の何十倍も、いや何百倍もの笑顔で喜んだ。
「ユウキ、よろしくね~!」何だかこいつが急に可愛く思えてきた。