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#7 先輩の話を聞いてみる その1

#7 先輩の話を聞いてみる その1



食堂に戻ると、シラユキが女将さんと話ながらご飯を食べていた。


そういえば、そろそろ日が傾いてくる時間なのだが、再召喚されてからろくに何も食事をとっていなかった。


シラユキ達が座っているテーブルにつくと、思い出したからか、腹の虫が盛大になったので、とりあえず自分も食事をとることにしよう。


シラユキが食べている、スペシャルメニューが凄い美味しそうだったので、自分も同じメニューを頼んだ。


「ところで、ユウキ君ってどういう冒険者を目指してるのです?」


「どういうのとは?」


「それは魔物を倒すとか、素材を収集するとかが一般的だけど、冒険者の資格があればいろんな所に行けるから、それを活かして商売する人もいるし、技能を活かして人助けをする人など色々です」


「ああ、確かにギルドでもそんな話をしてましたね。」


「初めの内はいろいろと経験して、それから今後を決めるのもいいと思うけど、早めに絞って経験を積んだ方が良いこともあるんです。」


「へぇーそうなんですね。何となくこうしたいというのは、あるんですがまだ決めかねている所もあるので、シラユキさんはどんな冒険者なのか聞いてもいいですか?」


「私はですね。。。」


そういって話を色々聞いてみるとシラユキさんは採集系のクエストをこなすのがメインらしく、ダイヤとクローバーの星を持っているらしい。


星は4つの系統に属したギルドで貢献度によって与えられるもので1(ひとつぼし)から10(とおつぼし)まである。


2星までが駆け出し冒険者と言われ、5星までが中級、9星までが上級そして10星は神級と言われる。


1から9までは、1つづつ星が増やされて、10星になると大きな星に置き換わる。


シラユキは4星のダイヤとクローバーを持っているとのことだ。


魔物の素材を集めることは出来ないけど、薬草や魔石などをギルドに納めること、そして薬草を使ったポーションを作り出して、困っている人を助けることでダイヤとクローバーの貢献度をあげてきたらしい。


大きなことをしてきた訳ではないけど、こつこつと継続していくことで、評価をあげたらしいが、それで中級の一歩手前にまで達するとはシラユキは実は凄い冒険者なのかもしれない。


自分が勇者をやってたときは、討伐系のクエストしかこなしていなかったので、今回は別のことをやりたい。また、魔道具を作って生活レベルを上げるという目標が出来ていたので、物を扱い、人助けするというのが、自分がなりたい冒険者像だろう。


その事を伝えると。


「そうなんだ。なら私と同じダイヤとクローバーの冒険者で私と同じです!それなら一緒にクエストをこなせます!」と喜んでくれた。


こんなに、駆け出し冒険者の世話をしてくれるなんて、何か裏でも有るんじゃないかと思い、どうしてか聞いてみると。


冒険者の中で討伐系のクエストをこなさない人は少ないらしく、それも戦闘能力が低いだけでなく回復役にもなれないシラユキをパーティーに加えてくれる人がいなかったこと。そして、一人でクエストをこなしていくことに限界を感じ始めていた時に、偶々ぶつかったのが自分で、しかも駆け出しで優しそうな人だったので、ピンときたそうだ。[無知な初心者ならパーティーを組んでくれるのでは?]と。


まぁ、都合の良い考えだとは思ったが。一人でいるのは心細いので自分にとっても悪い話ではない。


それにここジャニュアの町は初心者が好んで訪れる場所ではないので、これからもパーティーを組んでくれる人はいないだろう。


一人だけで4星にまでなった冒険者には失礼かもしれないが、シラユキはなんだか抜けている所があるので、放っておいたらダメな気がする。


なので


「ぜひ、パーティーを組んでください。先輩が持ってる知識があれば自分の目標に早くたどり着けると思いますし、それなりに腕には自信があるのでお役にたてると思いますよ。」


「ほんとです?」


「勿論ですよ。むしろ願ったりかなったりです。」


「直ぐに足手まといになるかもですよ?」


「そんなことないですよ。一人で4星にまで達する人がそんな謙遜しなくても。」


これまで、断られ続けてきたのだろう。そのなかで色々とあって卑屈になってるのかもしれない。


いくら戦力にはならなくても、一人で星4までいくのだから、引く手はあるだろうにと思っていると。


「そうですね。。。」


そういって、シラユキが少し考えるように下を向く。



「わかりました。それだけ言ってくれるなら自分も隠し事は出来ないです」


そう言ってフードを外すと、そこにはウサミミがあった。


ピコピコと動く耳を見て思わず「かわいい。」と漏らしてしまったがそういうことではない。


いや、むしろそういうことなのだろう。獣人のそれも小動物系は、その可愛さゆえに貴族達の愛玩にされることが多い。


人属の中には、獣人属は総じて下に見るものも多く、差別されることが多い。そして、奴隷として扱われることの多い人種だ。


正規の理由で奴隷落ちする獣人も多いのだが、小動物系の獣人はその見た目ゆえに、非正規のルートで奴隷にされてしまうことも多い。


だからこそ、自衛の為にシラユキはフードで外観を隠していたし、パーティーを組めずにいたのだろう。


ヴェルズのように強い獣人ならばそんなことはないのだろうが、総じて獣人属にとって生きづらい世の中であるのだ。


100年前もそうだったが、今もそうなのであろう。



なので、何と言って良いのか言葉に詰まっていると料理が運ばれてきて、アラミスさんが、冷める前に食べなと言ってくれたので、とりあえず食べることにする。



かわいい。と言われてモジモジしているのはとりあえず無視して良いだろう。





――――――――――――――――――――

名前:[シラユキ]

ランク:[D]

称号:[素材の探求者]

所属:[トレミス@ジャニュア]

――――――――――――――――――――


シラユキにはウサミミがあった。

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