#3ギルドに来たら、まずは冒険者登録をしよう。
#3 ギルドに来たら、まずは冒険者登録しよう。
ヴェルズに言われた通り、真っ直ぐに進んでいくと、周りとは明らかに違う建物が見えてきた。
看板を見てみると確かにギルドであった。
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[ギルド・トレミス]
この町で唯一のギルドです。どんなジャンルの依頼でも受付、斡旋します。
ご用の方は受付まで!
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前回の召喚時にはギルドに所属することはなくて、聖騎士団に所属したので、ギルドのことはあまり知らない。それでと看板を見る限り、初心者でも入りやすそうなので、ちょっと安心する。
ふむふむと、看板を読んでいると、後ろからドン!という衝撃に見舞われた。普段こんなところで立ち止まっている人がいないからか、ぶつかられたようだ。
不意を疲れたので、思わず看板に顔をぶつけてしまう。
後ろを振り向いてみると、「あわわ、ごめんなさいです」と慌てながら頭を下げられたのだが、ついでに背中のリュックから大量の草をぶちまけられてしまった。
フードを目深にかぶってるし、前髪も長いので顔はよく見えないが、相当慌てているのが分かる。
うん、これはあれだな。ドジっ子だ。
しっかりとした大人達に囲まれてきたから、初めて会うようなタイプなので扱いに困るが、とりあえず「大丈夫ですよ。」と言って、自然に微笑みながら、ばらまかれた草を集めるのを手伝ってあげた。
カッコつけてみたが、顔が赤くなっているので、台無しなことを本人は気づいていない。
「本当にすみませんです。そして有難うございます。」
「いえ、こちらこそ。こんなところで立ち止まっていた自分も悪いですし。」
「そうだ、どうしてこんなところで立ち止まっていたのです? あっもしかして、この町は初めてなんです?」
「そうなんです。僕はユウキというのですが、この町に来たばかりで、これから冒険者登録をしようと思っていた所なんです。」
「わぁ、ホントに初心者さんだったんですね!私はシラユキです。この町を拠点にしている冒険者です。じゃあ先輩の私がギルドを案内して上げますね。」
「本当ですか? 実はちょっと一人だと心細かったので、是非お願いします。」
「ふっふん、お姉さんに任せなさーい!」
さっきの失敗はもう忘れたらしく、意気揚々と、ユウキの腕を引っ張ってギルドの中に入って行くので少し不安になるが、やっぱり誰かと一緒に行動出来るのは心強い。
カランコロン!と音をたててギルドの中に入ると、思っていた以上に広い空間が中に広がっていた。
手をパタパタ振りながら、シラユキが色々な事を説明してくれる。
大きな掲示板、複数のカウンター、そして酒場も併設されているらしく、昼間っから酒を煽る冒険者もいる。二階にもスペースがあるらしいが、Cランク以上の冒険者のみ入れるらしいので、初心者には無縁な場所らしい。
言い方から察するに、シラユキはまだ入ったことがないようで、シラユキのランクが気になるが、ランク情報は個人情報なので、本人が直接話してくれるまでは、聞かないでおこう。
「じゃあ、まずは冒険者登録するよね?中央のカウンターがメインカウンターといって、依頼の受付から素材の買取りなんかをやってくれるところなんだけど、冒険者登録もしてくれるんだよ!私も薬草とかを売りたいからついていってあげるね!」
「そうなんですね。さすが何でも知っていますね先輩!ではよろしくお願いします。」
そうして、軽くおだててあげると、気分を良くしてくれるようで、意気揚々とメインカウンターに連れていってくれた。メインカウンターの近くまで行くと、こちらに気付いたのか受付の職員が話しかけてきた。
「お疲れ様です。ってあら?シラユキさんじゃないですか。お連れの人がいるなんて珍しいので、別の人かと思いましたよ。ついにシラユキにも春がきたのね!」
「もぉー、ネネさん。違いますって。からかわないでくださいよー。」
「ふふっ、違うのか、残念。じゃあ、誰なのか紹介してくれるかな?」
「うん。こちらはユウキ君。冒険者になりたいらしく、ギルドの前でどうしようかなと、うろうろしてたみたいだからつれてきてあげたの。」
ぶつかったことが無かったことにされている気が、するがまぁスルーして話に乗っかることにする。
「初めまして、ユウキといいます。北の方の町か来たので、右も左もわかりませんがよろしくお願いします。」
「うふふ、なかなか面白そうな新人さんね。はい、任されました。」
そういうと、冒険者登録するための契約を結ぶ必要があるらしく、その為の準備のために一度、奥の方へと消えていった。
異世界に召喚されて、もう5年以上が経つが、ようやく冒険者としての新たな一歩を踏み出せそうで、心が躍る。
そして、準備が出来たようで、カウンターの奥の部屋に通されることになった。
長くなるので、登録は次回に分けます。




