#26 決断する。
#26 決断する。
ウィズは何がなんだかといった様子でこちらを見ているし、シラユキはアワアワしているので、頼ることは出来ない。
精霊と会うこともそうだが、霊峰ジーフに行くそして、精霊の楽園へ入り、精霊王に会うなんて、話が行きなりすぎる。
二日酔いのシラユキがこの話についてこれるわけはない。
なので、決めるのは自分一人でとなるのだが。。。
よし。決めた。
「断る!」
『「「え!!!」」』と三人揃って驚かれる。
「いや、だってそんなところにこんなぺーぺーの冒険者が行けるわけないでしょ。運良く霊峰ジーフの麓にたどり着いても、聖騎士団に追い返されちゃいますよ。」
「それもそうだろうが。。」
「行くだけ行ってみてもいいのではないです?」
とウィズもシラユキも願いを叶えるべきだと言ってくる。
『そうだよ、精霊の私が頼み事をしているんだから、叶えてくれるのが普通じゃないかしら?』
「いや、叶えられるなら叶えるけど、今の自分たちには無理です。」
『精霊眼を持っているものが、実力が低いからとか言うつもりでは無いでしょうね。』
「そうですよ。自分はまだランクFの新米冒険者ですよ。」
『冗談でしょ!』といわれるが事実だ。
しょうがないので、ギルドカードを見せる。
『むむむ、確かにランクFでは、流石にジーフへたどり着くのも難しいかも。。。』
「そえですよ、それに自分は借金があるから、この町から長期間外に出ることは出来ないんだから。」
「そうでした、そんなことをしたらユウキさんはネネさんに。。。」
「ちょっ、何をされるんですか。気になるので言うなら言ってくださいよ。」
『そう。なら仕方ないわね。。。よし決めた。あなたがランクを上げて強くなるまで、私がサポートしてあげるわ!』
「!」
『何か不満があるのかしら?変に気を使うと思っているのなら、私にとってはあなたが強くなるのを待つ時間なんて、合って無いようなものだし、なんだか面白そうだから、付いていくだけだから、気にしなくていいのよ?』
「うーん。シラユキさんはどう思いますか?」
他の人は姿形を見ることができなくても、光る珠は見える。そんなものを連れて歩いていたら変な目で見られかねない。
「そうですね、困っている精霊の頼み事は聞かなきゃ後が怖いです。それに私は精霊眼を身に付けられるチャンスを失いたくないです。」
この世界では精霊が出てくる物語は多いし、さまざまな伝承としてナマハゲみたいな扱いをしているものもある。だから、断るのは怖いのであろうし、その後のチャンスがというのが本心だろう。
「。。。はぁ、分かりました。では俺のランクが最低でもシラユキに追い付いて、借金を返したら、ジーフに向かう。これでいいですか?」
『あぁ、それで問題ないよ。』
ということで、妖精ジャスミンが俺たちのパーティーメンバー?になることになった。
ウィズが蚊帳の外だったので、ちょっと不満そうだ。でもこればっかりは仕方がない。。。
と思ったが、回復薬の作り方を教えてもらわなければいけないので、助け船をだそう。
「ところで、精霊眼を身に付けるのに人数制限はあるのですか?」
『いや、別にそっちの二人に教えてもいいよ。』
「ホントに!」とウィズが喜んでいる。
これで、自分がここでウィズに色々と教えて貰うのにメリットが出来ただろう。
「所で、どうやってついてくるつもりなんですか?流石に常に光る珠が着いてきているように見られるのは困るんですけど。」
『それは大丈夫よ。任意の人にしか見えなくすることはできるから。』
といって、ジャスミンが俺のほっぺにキスをする。
すると、俺以外には見えなくなったのか、シラユキとウィズが辺りをキョロキョロし始めた。
『ね?すごいでしょ!』と自慢してくる。
『でもこの効果は精霊眼の持ち主にはないから、君には効果が無いみたいだけどね。』
だからこそ、他のジャスミンの薬草と共に持ってくることが出来たのだろう。
「あの、そろそろ私たちも認識できるようにしてほしいです。」とシラユキが言ってくる。
どうやら姿だけでなく、声も聞こえなくなるようだ。
ということで、シラユキとウィズにもキスをして見えるようにする。
『これでよし。なら精霊眼を身に付ける特訓を始めるわよ!』
とジャスミンが話を進めていく。
「「お願いします!!」」
本当は回復薬の作り方を教わりにきたんだけど、今日は出来そうにないな。と諦めるしかないだろう。
こんなにやる気になっている二人を止めるのは大変そうだし、焦って回復薬の作り方を学ぶ必要もないしな。
「...よろしくお願いします。」
ということでジャスミンの指導が始まることになった。




