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#24 薬師のウィズ

#24 薬師のウィズ


しばらくすると、家の中から人が出てきた。


白い法衣?のようなものを着た、ピンクの髪の。。。じゃなかった。あれは触手だ、ウネウネしてる。おそらく、タコの魚人なのだろう。


「あら?シラユキかい。怪我はしなかった?」


あっ、良かった普通の良い人っぽい。


「ごめんなさいです。」


「良いのよ、置く場所が無くて入り口の近くに置いてた私が悪いんだから。」


みんな、シラユキに甘いのは気のせいであろうか。。。


「あれ?あなたはどなたかしら?」


と俺の存在に気が付いたようでこちらに話しかけてきた。


「すみません。名乗り遅れました。シラユキのパーティーメンバーのユウキです。」


「ほう。お主がユウキか。噂には聞いているよ。」


「噂ですか?」


「そう。爆発したり、落とし穴に落ちたり、借金まみれだったり、初心者なはずなのに、巷を騒がしている面白い冒険者がいるってね。」


あー、心当たりがあるから何も言えない。。。


「さいですか。。。もうちょっと気を付けます。」


「あら?別にいいのよ、冒険者はそれぐらい、ハチャメチャのほうが面白いから。」


「それは不本意なのですが。。。」


「それはそうと、早く割れたビンを片付けてくれる?あなた、シラユキのパーティーなのでしょ?」


「はぁ。」


「あら?何か不満でも?それとも女の子に割れたビンを触らせて怪我でもさせるつもり?」


「いえ、直ぐに片付けます。」


すると、シラユキはウィズに連れられて奥の部屋に先に行ってしまった。


俺は一人残って後片付けをする。


仮にもこの後、教えを乞おうとしているのだから、素直にいうことを聞くに越したことはない。


「終わりましたよ。」


と置くの部屋に向かうと、シラユキとウィズが二人でお菓子を食べていた。


「あっ、お疲れ様。あなたも食べるかしら?」


「はぁ。まぁいいんですけどね。」


シラユキは後でお仕置きだな。と思うがまぁ実際に何か出来るわけではないが。


素直に一緒にお菓子を貰う。


「所で今日は私に用があるんですって?」


「はい。回復薬の作り方とかを教えてもらいたいのですが。」


「へー。それって私に何かメリットがあるのかしら?」


「メリットですか?」


「そうよ。あなたに教えても私にメリットは無いもの。それにあなたお金を持っていないでしょ。だからお金を請求することが出来ないもの。それなら何か、私にとってのメリットがなければ、教える手間をかける理由がないわ。」


それもそうだ。対価無しで教えてもらえる様なものでもないだろう。


「確かに、今の自分に払えるお金はないです。ですが、薬草を集めてくることはできます。」


とアイテムバックから、残しておいた[ジャスミン]を取り出す。


「へぇー確かに、仕入れが安定しないから、安定して供給してくれる人がいれば助かるわね。」


ウィズはギルドの契約薬師ではないので、ギルド以外の安定して薬草を持ってきてくれるルートはありがたいはずだ。


「でも、それぐらいならシラユキに頼めば言い訳でしょ?大々的に商売してあるわけではないから、量はそんなに要らないの。他には何かあるかしら?」


と言われたので取って置きを取り出す。


[ジャスミン:S]


普通はランクAのはずなのだが、一本だけSランクのジャスミンがあったのだ。


「これは?普通のジャスミンでなくって?」


「そうです。これもジャスミンです。なぜ今さらこれを出したんです?」


あれ?ウィズもランクが見えるだろうし、見えているはずのシラユキも、ランク違いに気付いていないみたいだ。


「えっと、これSランクなんですよ?」


「「なっ!」」


そんなわけないと二人して身を乗り出して確認している。


「私たちには違いがわからないのですが。」


「そうです、私の鑑定ではAです。」


うーん。スキルランクがAに達していないと分からない違いがあるのだろうか。


「ちょっと待っていて。」


とウィズが本棚から古い本を取り出す。


この本になら何か書いてあるかも。と古い薬物事典のようなものを読んでいく。


「なになに、えーと。!。」


「何か書いてありましたか?」


自分もこの世界の共通語を読めるようになっているが、獣人語とかのほかの言語は読めない。


「ランクAの薬草には稀に精霊が宿る時があるそうよ。なのでもしかしたらこのジャスミンには精霊が宿っていて、それがわかるのはスキルレベルがAからなのかも。」


と改めて見てみるも、ほかのものと差は分からない。


「精霊が宿っていたら何か違いがあるんですか?」


「うーん。精霊が宿るなんて初めて聞いたし、この本にも書いてないからわからないわね。」


「そうですか。」


「なら、ちょっとこれで回復薬を作って見ましょう。」



精霊が宿っているのに、そんな簡単に使っていいのかとも思うが、これで自分にメリットがあることを証明できなければ困るので素直に従おう。


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