#22 夜活-その1
#22 夜活-その1
宿に戻り、ご飯をたべてからシラユキとはお別れした。
初めて依頼をこなしたばかりだし、明日は薬師の所へ紹介して貰うことになっているので、今日はもうゆっくり休もう。。。
と普通はそうなるのかもしれないが、自分にとってはこれからが、本番の時間だ。
というのも、今の自分の状態だと、不測の事態が発生したときに対処できない可能性が高い。
なので、なるべく早く、戦闘に関するスキルの取得と、出来れば魔法を扱えるようにはなっておきたい。
ということで、訓練をする必要があるのだが、朝の訓練でわかる通り、何が起こるか分からない。
コントロール出来ない力など、剥き出しの刀の様なもの。危なっかしくて扱いに困る。
もちろん、過ぎたる力を衆人の目に晒すわけにもいかないし、巻き込む可能性があるので、おいそれと人に見られる場所で訓練するわけにはいかない。
だからこそ、人が活動しない夜の時間はもってこいだ。
それに[夜目]スキルを習得すれば、暗闇でも全く問題無く活動することが出来る。
[夜目]とはその名の通り、暗闇でも見えるようになるスキルだ。
ということで、さっそく[夜目]スキルを習得すべく、部屋を暗くして目をならし、周辺が見えるようになるまで待つ。
地味だが、これが[夜目]のスキルを習得する条件の一つだ。
初めはランクFの低級なので、効果があまりないが、例のごとく、スキルを再び使うと、直ぐにランクAの[夜目]にまで達したので、さっそくランクAの[夜目]を使い効果を確認する。
するとはっきりと回りが見えて、夜という事を忘れてしまいそうになるくらいだ。
よし、これで夜の冒険者活動、略して夜活を始める準備はできたので、さっそく新たにスキルを覚えて使えるようにしていきたい所だが、まずは現状確認をしよう。
先ほど、ギルドでギルドカードを更新して貰ったので改めて確認しておく。
表
――――――――――――――――――――
名前:[ユウキ-ナルセ]
ランク:[F]
称号:[初心者冒険者][薬草ハンター]
所属:[トレミス]
――――――――――――――――――――
裏
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ステータス
状態:[異常無し][神の祝福]
能力:[体力D][魔力D]
スキル:[取得の心得S][気配察知A][聞き耳A][薬草鑑定A][投石A]
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[夜目]は今取得したばかりなので表示されていないが、これまでに取得したスキルが表示されている。
変更点は取得したスキルが追加されているのもそうだが、ランクがFに上がり、称号が追加されている。
ランクが直ぐに上がったのは、冒険者ランクのFが依頼を達成したことがあれば成れるランクで普通の冒険者であれば直ぐになるので、自分が特別早くランクが上がった訳ではない。
因みにランクのGというのは、身分証明書として、ギルド登録する人もいるので、そういう依頼は受け付けないでただ所属しているだけの人を表す為に設定しているらしい。
そして称号だが、こちらの取得条件は分からないが、薬草の1日での採集記録を塗り替えたので、ついたのだろう。
この称号はギルドが独自に設定しているので、ギルドにかかわり依頼の達成状況で色々と変わっていくみたいだ。
でも、ギルド職員が自由に変えれるものではないみたいなので、良かった。
ネネさんに、つけられたらどんな酷いものになるやら。。。
さて、これから新しいスキルを身に付けるのと、魔法の訓練場所の確保をしなければいけない。
とりあえず宿の外に出たが、右も左も分からないこの場所で適当に動いても迷うだけ。
ということで、活躍するのがギルドで貰ったこの町とその周辺の地図だ。
もちろん、この地図も有料で借金が増えたのは言うまでもないし、製版技術が無いので、こういう紙媒体の資料はいい値段する。
ネネさんに更に借金をするなんてバカ何じゃないですかと罵倒され、半分涙目になりながらも、これは必要経費だと割り切って購入した。
購入したといっても、お金を実際に払ったわけではない。ギルド関係の施設であれば、お抱え冒険者はその場でお金を払う必要はなく、月末にギルドに作成した口座から引き落とされる仕組みだ。
なので、口座に金のない自分は依頼報酬を稼いだとしても、まずは口座に貯めていかなければならないから、現金は持っていない。
でも、ネネさんがそこを厳しくしてくれるから、いいものの、現金とか持ち始めると市場に置いてある変なものを、片っ端から買ってみたくなるので、良かったと思う。
話がそれたが、早速地図を開いて確認してみよう。
地図を確認した結果をまとめると
町に入る門は4つで、聖都市セントラルに続く道が一つ。他の中継都市に向かう道が二つ。南西にある未開拓地に通じる魔の森に向かう道が一つだ。
基本的にはセントラルから離れれば離れるほど、魔物の領域に近づいていき、強い相手が増え、例外はダンジョンや迷宮の特別なスポットだ。
ジャニュアの町の周辺には大きなダンジョンや迷宮は無いが、小さなものであれば存在していて、今日、薬草を採った所にあったダンジョンはセントラル側の魔の森の中にある。
なので俺はまだ、セントラル側の門しか通ったことはない。
そして、シール爺がいるゴミ山は南西側の町のスラム街にある。
強い魔物が襲撃してきても、ここで時間を稼ぐ腹積もりなのだろう。
他にも町のことを、調べていくが特に面白そうなことはなく、隠れて訓練できそうな場所も無い。
町の外に出て訓練する場所を見つける、もしくは作ってしまうのが手っ取り早い気もするが、頻繁に夜、町の外に出ると変な目で見られかねない。
となると、シール爺に頼むのがベストなのかなと思う。
シール爺なら、自分の事を知っているし、何か良いアイデアを持っているかもしれない。
ということで、早速シール爺の所へ向かいたいのだが。。。
一人で行っても爆破されかねないよな。。。
はぁー、仕方ない、また今度、シラユキに頼んで着いてきて貰おう。
ということで、夜活の1日目は町を彷徨いて終わってしまった。




