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#20 ギルドに報告する。

#20 ギルドに報告する。


薬草を集め終えて、町に戻ってきた。


最初に町へ入るときは、手続きに時間がかかったが、今回はすんなり入れた。


ギルドカードが身分証明書になっているようで、コンソールみたいなものにかざすだけで通してくれた。


駅の改札を通るぐらいあっさりしていたので、便利なものだ。


1周目の時は、そこは聖騎士団の威光さまさまで、馬車から降りたことはない。完全に顔パス状態だった。


なので門番に止められるというやり取りをするというのは逆に嬉しかったもする。


冒険者をやってるなという実感がある瞬間の一つである。


そして、最大の冒険者としての実感が湧く瞬間である。依頼報酬を受けるためにギルドにやって来た。



どうせならネネさんに報告をしたいのだが、今は手を離せないとのことなので、少し待つことにする。


とりあえず依頼を振り返ると

――――――――――――――――――――

依頼:薬草収集[ランク:F][期限:無し]

品質の良い薬草の納品をお願いします。

薬草[上][中]をギルド価格の倍で買い取ります。

――――――――――――――――――――

である。


出来るだけ持って帰って来てといわれたが、その想定以上は取ったと思う。


「ところで、ギルドに買い取られた薬草って、回復薬(ポーション)を作る材料になるんですよね?」


「そうです。ギルドの認可を受けた薬師に格安で卸されて、作られた回復薬はギルドに優先的に売られてるです。」


「そうなんですね。所でその認可を受けた人でなくても良いんですが薬師の知り合いはいないですか?出来れば自分も回復薬を作ってみたいので。」


「うーん。知り合いがいないことはないですが、ネネさんに聞いた方がいいんじゃないんです?ギルドの推薦を貰えたら、何かと便利ですし、優遇されるです。」


「そうかも知れないですけど、取ってきた薬草の一部を納めずに、自分で使う用にするって言ったら怒られるかなと思って。。。」


「それはネネさんに相談しなくても良いんです?」


うっ、まぁ隠し事にはなるので、バレたら怖いが、努力は見せないからカッコいいのだという、無駄なポリシーを貫きたい。


まぁ、直ぐにでもバレるだろうけど。。


「これ以上は迷惑かけられないですし、出来るようになってから、報告したいなと思って。駄目ですかね?」


「まぁ、いいんじゃないですか。ユウキさんも男の子って感じです。」


うん、シラユキに子供扱いされるのは何だかな癪だが、まぁ放っておこう。


とそんなこんなで話をしていると、ネネさんが一仕事終えて、こちらにやって来た。


「シラユキさん、ユウキさん、お帰りなさい!採集は上手くいきましたか?」


「ハイです。ユウキさんが思った以上に凄かったです。」


「あらあら、いう人によっては卑猥な言葉なのに、シラユキさんが言うと全然そんな感じはしないわね。」


うん。それは同意するが、『もー』とか言って怒ってるシラユキが、ポロっと色々と暴露しそうなので、場所を変えてもらおう。


ということで、奥の応接間に案内してもらう。


「それでは、結果を報告してくれる?」


ということで、採集してきた薬草を取り出す。


流石に量が多いのでその場に無造作に出すのもあれなので、箱を幾つか用意してもらい、仕分けていく。


「あれ?もしかしてユウキさんも[薬草鑑定]のスキルを持っているんですか?」


と聞かれたので、ちょうど良いので、シラユキに知られていることを全て話す。


「へぇー、あなた召喚者だったのですね。それに、聞いたこともないスキルを持ってるなんて凄いですね!」


「その事なんですけど、他の人には秘密にしておいてもらえませんか?出来れば聖騎士団にも秘密にしておいてもらいたいのですが。」


「あら?訳ありなのかしら?確かに、ユウキという名前の召喚者が現れたらややこしいことになりそうですもんね。」


「そうなんですよね。あとは色々と察していただけたら、嬉しいです。必ず損はさせませんので。」


「それはそれは、気になりますけど、隠し事の一つや二つぐらいは誰でも有りますしね。この話はここだけにしときましょう。」


ギルドマスターとかに報告をしないという決断を簡単に出来るとは、本当にネネさんは何者なんだろう。。。


「そうしてくれると助かります。」


「まぁ、はぐれ召喚者とか聞いたことがないので、あなたが犯罪者ではないとかは調べさせてもらいますけどそれは良いでしょ?」


「はい、勿論です。でも、くれぐれも聖騎士団にバレないようにお願いします。」


「ふふっ。任されました。」


とネネさんと話していたら、薬草の仕分けが終わったみたいだ。


「終わったです!」


と言ってシラユキは頬を膨らませている。


ごめんなさい、途中から完全に任せっぱなしでした。


まぁ、怒ってもネネさんと違って怖くないから安心だが。


「あら?何か失礼なことを考えていませんか?」


「いえ、ソンナコトナイデスヨ。。。すみません。」


心を読まれてしまった。下手なことは考えない方がいいなこれは。


「それでは、査定をするのでちょっと待っておいて貰えますか?」


「はい。」


「まぁ、シラユキさんが分けてくれたのでランクに間違いは無いでしょうから、直ぐに終わりますよ!」


と自分が手伝ったことは無かったことにされてしまったが、サボったので仕方がない。


それに信用があるのはシラユキの方なので、シラユキが選別したと言った方が業者に引き渡す際の信頼性が高いのだろう。


「ネネさんが鑑定するんですか?」


「いえ、ギルド専属の鑑定士がいるのでその方に頼みます。でもあなたの方がランクが高いことを伝えると嫌がられるかもしれませんね。」


まぁ、上のランクの人にしか分からないこともあるので間違えてしまったら気まずくなるもんな。


「クレームとか入れないんで大丈夫ですよ。その鑑定結果を信用しますから。」


「ふふっ。話が早くて助かるわ。こういう職業は信頼が大事だから間違えたとかなると、どうなるかわからないもの。」




ということで、鑑定が終わるまで、もう一度しばらく待機することにしよう。



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