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#16 薬草について学ぶ。

#16 薬草について学ぶ。


シール爺にアイテムバックを譲って貰った俺とシラユキは、町の外へ向かった。


そういえば、門番にデポジットとして金貨一枚を預けているんだったので声をかける。


「すみませーん」


「はいよ。って、ん?お前は確かヴェルズと一緒にいたやつか?」


「はいそうです。ユウキです。」


「あー、そうそう、金無しの勇者様だな。それで今日はどうしたんだ?」


不本意な2つ名だが本当のことなので反論できないのでスルーする。


「無事ギルドに加入したので、依頼をこなしに町の外へ行こうと。そのついでにデポジットの金貨を回収しに来ました。」


「そうかそうか。それなら手続きをするからちょっと待ってな。」


ということで、ギルドカードを提出して、手続きを済ませる。


「そうそう、ヴェルズさんだが何日か町を開けることになるとか言ってたよ。いないからと言って金貨を猫ババして逃げるなよ。」


「しませんよそんなこと。」


色んな人にお金を借りた状態なので、自分への信頼など無いのだろう。


冗談でもちょっと傷付くぞ。


それでも外に出れるのは、ギルドに所属したということによるものなのだろう。


因みに、借金を踏み倒したらどうなるかギルドでネネさんに聞いたのだが、ギルドで指名手配して犯罪奴隷として売り払うそうだ。


まぁどこにでもギルドはあるし、メンツを守る為にも、高ランクを導入してでも捕まえるから変なことを考えないことだと釘を刺されたのは言わずもがな。



無事に手続きを終えて、町の外へ出る。


「さてシラユキさん。これから、どこへ行くのですか?」



改めて依頼を確認すると

――――――――――――――――――――

依頼:薬草収集[ランク:F][期限:無し]

品質の良い薬草の納品をお願いします。

薬草[上][中]をギルド価格の倍で買い取ります。

――――――――――――――――――――

なのだが、薬草が生えている場所は自分は知らないのでシラユキに頼るしかない。


「えっーとですね、とりあえず森の中に入っていくんですが、ユウキさんはどこまで薬草のことを知っています?」


「食べたら、ちょっとの回復が出来たり、回復回復ポーションの材料になるということぐらいですかね。」


「そうですね。普通の冒険者としてはそれだけ知ってれば大丈夫です。でも薬草を採集する人としては不十分です。」


ということで、薬草についてシラユキ先生に簡単に教えて貰った。



まず薬草というのは植物としては特別なものではなくて、食用の植物なら何でも薬草になれる可能性がある。


では、何故普通の野菜とかでは回復しないのかというと、生育環境が重要で、魔物が生息している環境でなければ薬草にはならないらしい。


野菜を町の外で育てれば薬草になるが、人間の管理を外れると動物や魔物に荒らされて満足に育てられないし、町の外でも完全に人間の管理下に置くと、何故か薬草の効果はほとんど発揮されないらしい。


なので、費用対効果が低くなる野菜が薬草として使われることはない。


では、何が薬草としての条件なのかというと、人は食べられるが、動物や魔物にとっては毒になるということだ。


次に何が薬草として品質に影響があるのかだが、環境と生育期間、そして植物の種類らしい。


環境は先程も言ったが、人が住んでいる領域では無理で魔物の領域では薬草になる理由になるのだが、空気中のマナの含有量が多いほど質の良い薬草になるらしい。


次に生育期間だが、これは単純に大きくなるほど効能が高くなるということで、マナを取り込んで、回復の効能に変わるまでの期間が十分にあるかということ。


だが、マナの濃さが適切な場合はその限りではなく、良い環境では発育が良く、特定の場所に高品質な薬草が偏る。


だからこそ、薬草を収集する人は、自分しか知らない場所を見つけることが一人前の証と言われ、初めて見つけてギルドにその場所を登録すると、一定の期間はその場所の独占を許される。


最後に種類だが、植物によってマナを取り込める総量が決まっていて、それによっていくら環境が良くても高品質の薬草にならないものも多いので、ほとんどの冒険者は特定の植物を薬草として認識していることが多い。




「細かい違いとか、どの薬草を収穫すべきかは後で実際に見て覚えるです。」


「はい。」


「では、今回はギルドが把握して一般に開放されている区域に行くです。」


ということで、シラユキに連れられて薬草が生えている場所へ向かうことになった。


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